ハウルへの夢
冷房のガンガン効いた部屋で、アイスを食べながらハウルの動く城を観たい!
毎年この時期にやってくる欲求。初めてハウルを観たのは確か小学校高学年の頃。ということは、私は年に一度は欠かさずハウルの動く城を観ているのだ。
街を埋め尽くす人の波をかき分けるようにして進む路面電車。ソフィーの部屋から臨む汽車の煙。大きな帽子を被った陽気な貴婦人。時に太陽の中で優しくそよぎ、時に巨大な生き物のように吹き荒れる風。魔法。可愛い仲間たち。圧倒されるのはその世界観。
そして、なんといってもソフィーとハウルの出会い、空中歩行!素敵な男の人に手を取ってもらいながら空を歩くなんて、女の子なら一度は憧れるのではないだろうか。
でも、現実にハウルはいない。それどころか、ハウルに描かれていることのほとんどは身近な現実に存在していない。
どこまでいっても画一化された街並み。人工管理される自然。鳴り響く無遠慮な機械音。憂鬱な顔で歩く人々。搾取されゆく時間と心。
なんで私の住んでる世界って、こんなに味気ないんだろう。ため息をつくばかり。
だから私はせめて年に一度、ハウルの世界に救いを求めているのかもしれない。息苦しいこの世界に支配されてしまわないように。
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