ヘン・テコ その2

ある日また、ヘンテコのいる世界にやってきたぼくは、すぐにヘンテコの家を探した。

家の呼び鈴を鳴らすと、楽しそうにヘンテコが出迎えてくれた。

ぼくは学校で挨拶をしたこと

そしたらみんな困っていて、気まずい空気になったこと

を早口でしゃべった。

「ヘンテコのせいで、恥ずかしい思いしたよ。
余計クラスの人と仲良くなりづらくなっちゃったじゃないか。」

静かに聞いていたヘンテコは、反省してるのかなと思った。

しかし、

話を聞き終えるとおなかを抱えて笑い出したんだ。

腹が立って仕方がなかったぼくがにらむと、ヘンテコが言った。

「いやー、ごめんごめん。
まさかすぐにやってみると思ってなかった。
ヘンナノは勇敢なんだなぁ。」

「笑い事じゃないんだよ。
ぼく、学校行くのそれから毎日恥ずかしいんだから。」

だんだん悲しくなってきた。

カップにこの日はキラキラ輝く飲み物を注いだあと、

ヘンテコは笑って言った。

「ヘンナノはすぐ友達ができるよ。でも、その元気いっぱいの挨拶は一回でやめちゃだめ。
何回も続けるんだよ。」

「そしたらますます変なやつって思われるじゃないか。」

「変なやつになれるなら最高じゃない。」

だめだ、ヘンテコは変なものが好きなんだ。

アドバイスを聞き続ける限りどんどん変になっていく。

ぼくはそう悟った。


翌朝教室に着いた時、ヘンテコの言葉を思い出した。

元気いっぱい挨拶を続けるーーーか

もうこの間の一回で変なやつになってるだろうし、あと何回か試してみても変わらないだろうな

なんでかそう思った僕は、
この日も元気よく挨拶をした。

返事はちらほら返ってきたけど、まだみんな戸惑っていた。

それからぼくは1週間、元気いっぱい挨拶を続けた。

そしたらだんだんと挨拶が返ってくるようになった。

特に驚いたのは、今まで隣の席だったのに全く話したことのなかったトシくんが声をかけてきたことだった。

「おはよう、君静かなやつだと思ってたけど、面白いな。」

トシくんに言われて驚いて、そして嬉しかった。

それからトシくんと毎日しゃべるようになり、休み時間ついに校庭であそぶ輪のなかに誘ってもらえた。

鬼ごっこやサッカーをしたんだけど、とっても楽しかった。

気付いたら挨拶は、意識しなくても自分から元気よくするようになっていたし

トシくんや、トシくんと仲の良い友達がぼくより元気な声で挨拶を返してくれて

朝からすっかり楽しい学校生活に変わった。

そして、家に帰ってお母さんに嘘じゃなく本当の友達の話ができるようになった。

もしかしたらヘンテコって、すごいやつかも。

また会えたら、お礼を言おう。

そう思いながら、またあの世界に行けるのを心待ちにしていた。

でもその日以降ヘンテコに会えることはなかった。



✳︎ひとこと✳︎

最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
この物語はもしかしたら続いて長編になるかもしれないんだけど、いったんここまで😌

ふざけた友達ヘンテコのおかげで、

悩んでたことがいつの間にか消えている

そんなお話にしたくて書きました😊

今後の作品もお楽しみに✨

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