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ポートレイトを考える

今後も仕事として写真に携わっていくのなら
Instagramを充実させていこう、と覚悟を決め
昨夏からタグ、フューチャーアカウントの分析
自分の好みの探究など…
それなりにデータを見ていく内に
自分の目指す方向性が見つかりました。

私なりの見解を備忘録として
書いていこうと思います。

ポートレイトについて

今回の記事でとにかく書きたかったのが
このポートレイトについて、です。

私の中で好きとそうでない写真が
明確に分かれるにも関わらず
その理由が長く不明で
ようやくひとつ納得する解に
辿り着けたからです。

ポートレイト自体は大学時代に
友人と出掛けては撮らせて貰っていたくらい
写真としては好きなジャンルです。
ただ、いわゆる雰囲気写真が好きなのであって
人物を全面に出したポートレイトが苦手でした。
(撮るのが上手下手はここでは論点にしません。)

ここで私が思う雰囲気写真についてお話しします。

写っている人物が風景として溶け込んでいて
その場所の空気や奥行き、色や匂いを
空間として切り取っている写真
且つ、撮影者の存在感がゼロであること

何より私が重要視しているのが
撮影者の存在感です。

撮影者の眼は、その写真を見る方の眼です。
なので、100通りの見方ができる写真が
私が思う雰囲気写真です。

もちろん、撮影者がいるのですから
そこに撮影者の意図は必ず含まれています

でもその意図を強要せず
見る方が自分の経験やその時の気持ちによって
なんらかの意図を感じてくれれば
私はそれが嬉しいと思うのです。

初夏の青空の下
広い田んぼで田植えをしている方を
写した写真があるとします。
ある方は「日本の原風景っていいな」と思い
またある方は「おばあちゃんちみたい」と思う。
「今年の夏は田舎に帰ろう」
「小学生の時、田植え体験をしたなぁ」
「まだこんな風景が残っているんだ」
1枚の写真で感じ取って頂ける雰囲気が
多ければ多いほど、私は幸せだと感じます。

例えば人物の顔が写真の半分を占めていても
撮影者の存在感が無ければ雰囲気写真だと思っています。

とても大きな口を開けて
笑っている人の写真でも
その横なのか、手前なのか…
どこかにその笑顔を作った理由が存在するわけで
それが空間の奥行きだと思うからです。

雰囲気写真の説明が長くなりましたが
まとめると私が撮りたいと思うポートレイトは
空間ごと切り取った写真であると言うことです。

(補 足)
人物をしっかりと写すポートレイトに対して
ネガティブには捉えていません。
写る人物の魅力を最大限に表現することに
私自身が只単に興味が無いだけです。
写真を見る側では好きです。

風景写真について

先述のポートレイトに引き続き
雰囲気重視ではあるのですが
人物とは違い風景に明確な意思が無い分
少しだけ強めに意図は表現します。

それが絞りで作るボケだったり
シャッタースピードで作る時の流れだったり
明暗で作る心理描写だったり

風景はそれ自体に口が無い分
私の場合、只撮っただけでは
何も感じない写真になりがちで
後々見返した時に「つまらん!」のです。

なので、スナップ写真は大の苦手!
これが私の面倒臭いところなのですが
写真1枚撮るにもいちいち恋心を震わせます。
キュン!とした瞬間でなければ
シャッターが切れない体質なのです。

まとめ

①ポートレイトは雰囲気写真
 (主観:客観=1:9)
②風景写真はキュンとした瞬間の写真
 (主観:客観=5:5)

これが私の目指す写真の方向性です。

他にも15年以上仕事として
物撮りをしてきましたが
これは人物主体のポートレイトと同じで
写したモノの良さを表現することが重要なので
仕事として割り切って撮影をしてきました。
今では好きな写真がハッキリしたので
一時期よりもすんなり物撮りが撮れるようになりました。

これから本を作っていく上で
この方向性を見失わないよう
常に目の前に掲げて取り組んでいこうと思います。

ぼやき:最近目にするコメントについて

instagramを泳いでいて目にするのが
「自分の写真の方向性が分からない」のコメント。
15年写真と携わってきた私でさえ
はっきりと理解できたのが今です。

とにかく色んな写真を見て
好き嫌いの分類をして
その好きと思った写真の共通点を見つける。
それが自分の写真の方向を決める最短距離だと思います。

15年かかった私が言えることは
先人がいるのだから15年もかけるんじゃないぞ!ってこと。
他人に方向性を聞いても返ってくる答えは
「自分で探すしかありません」だと思います。
とにかく好きをいっぱい集めて
自分をのびのびと表現できる方が増えて
素敵な写真が世の中に溢れて欲しいです。

2020.1.28

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