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映画「こちらあみ子」のお父さんに対する感想

井浦新さんについて

今、井浦新さんにハマっていて、関連作品を手当たり次第に観てるけど、いつも途中から新さん目当てで観てることを忘れて、気づいたら作品に観入ってる自分。

映画「こちらあみ子」も新さん目当てで観たけれど、ビジュアル的に「好きだなあ」って思う瞬間もあったけど、観終わった感想は「うわー、いい映画だった!」で、そのあと「ん?あれ?あのお父さん、新さんだったよね?」みたいな。

それだけ良き作品からオファーが来てる?新さんが出ると良き作品になる?両面ある?いずれにしても、いつも誠実に役柄と取り組んでおられるスタンスとか、それをできるだけ言葉で伝えようとされているところがたまらなく好き。

あみ子のお父さんについて

さて、作品の中の新さんは完全にお父さん!やっぱり髪型かな?あれは森井監督のお父さんの髪型らしいけど。それとも眼鏡?ダブッとした服装?あとは動き?なんというかどっしりもっさり。どこからどう見てもお父さん!

主演が演技未経験者の場合、脇をベテランで固める、というのがセオリーらしいけど、新さんも尾野さんも、がっつりと芝居はせず、あみ子にそっと寄り添う感じ。一菜さんをいかに自由に泳がせるかがポイントだったとか。しかも監督の指示とかじゃなくて、それを察してやるところがすごい。

また別のインタビューで新さんは、あみ子の父親はあみ子に対してどこか自分に似ている部分を感じていたんじゃないかと考察してて、すごく面白いと思った。

活弁シネマ倶楽部のインタビュー動画で、MCの方があみ子以外の登場人物について、それぞれを主人公にしたらまったく別の物語ができるとおっしゃっていて、それってどの登場人物もみんな人間的な深みがあって魅力的だということかと。

お父さんも、昔、あみ子のように周囲との不和があったのかとか、最初の奥さんとの出会いと別れとか、再婚に至った経緯とか、お父さんが最後まで口にしなかった家族への想いとか、ぜひ観てみたい!

「あらすじ」には、「優しいお父さん」って書いてあって、確かに優しいなと。あれだけあみ子に振り回されてても大声をあげて怒鳴ったりしない。でもその反面、子供を叱ったりとかもできない人なのかなと。たった一回、拳で畳をなぐりつけてたけど。優しいけど、もう一歩、相手に踏み込めない人。言葉を飲み込んでしまう人。何かをちょっとあきらめてしまっている人のように感じた。きっと色々あったんだと思う。

お父さんのあみ子に対する態度を冷たいと感じる人もいるかもしれないけれど、あみ子のためにあれこれ誕生日プレゼントを用意したり、お母さんが大変なことになっても買ってきた夕飯を一緒に食べたり、学校の先生にもきちんと対応したり、あみ子が怪我をしたときも慌てて病院に運んだり、愛情深い人なんだと思う。

そう思ってしまうのは、ファンの欲目というか、新さんの人柄がにじみ出ているからかもしれないけど、新さんが演じる役柄はいつも多面的なのだ。ってか、この世に単なるいい人とか悪い人とかいないし。

印象に残ったシーンについて

新さんのお芝居で印象に残っているシーンは、お父さんとお母さんの寝室で、あみ子が亡くなった赤ちゃんの話を始めて、お父さんがあみ子の肩のあたりをトン、トンと押して部屋から追い出すシーン。

お化けがこわいと言って部屋に逃げ込んで来た娘を追い出すなんて!と思うけど、お父さんもお母さんとあみ子の間にはさまれて、まずはお母さんとあみ子を引き離すことを選んだお父さん。この時、お父さんはずっと無表情だったけど、そこはかとないやるせなさが伝わってきた。

あのときお父さんの心、自分でもどうしたらいいかわからないくらい大きく揺れていたんじゃないかと。はたからは冷静に見えても、心の中はパニックというのは、子育てあるある。あみ子も相当不器用だけど、お父さんもかなり不器用。

お父さんが最後にあみ子をおばあちゃんのところに連れて行ったのも、あれは育児放棄とかではなく、家族にとってよかれと思ってのことじゃないかな(原作にはそのあたりの事情が説さりげなく書かれていてかなり納得した)。

新さんが言うように、お父さんは決して子供に無関心とかではない。お兄ちゃんについても、実はお父さんからなにかはたらきかけをしていたとかか、そんな裏設定はないのかなあ(あったらいいなあ)。

おばあちゃんの家と言えば、お父さんがあみ子に〈お引っ越し〉のことを説明してるシーン!部屋に大きな蛾が入り込んできて、一菜さんは思わず逃げ出してフレームアウトしたけど、新さんはずっと芝居をつづけてた。座布団で虫を追い払ってから、あみ子に話しを聞くよううながしてた。シナリオでは二人でトランプをしながら話をするって書いてあるから、あれって完全にアドリブだよね。このシーン、なんとも言えないリアリティがあって、そしてお父さんがちゃんとあみ子と向き合ってて、ぐっときた。いつまでも見え続ける車のテールランプとそれをジッと見送るあみ子の様子も切なかった。

あー、あとさゆりさん(お母さん)を初めて子供たちに引き合わせるシーン、すっごく幸せそうでよかったなあ。その後とのギャップがたまらないけど。

それから予告編でも流れる、あみ子が大声で歌ってるところに「あみ子ー!」って声をかけるところがすごくお父さんっぽくって好き。

追記

原作を読んで、あみ子だけじゃなくて、お父さんも原作から抜け出だしてきた人のようだと思った。本当にすごい。


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