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ソーシャルVRアプリ「Bigscreen」CEOが発信「Facebookの30%の"VR税"が業界を苦しめる

Facebookが運営する「Oculus Store」でアプリ配信を行う際、開発者は売り上げの30%をプラットフォーム利用料として支払う必要があります。

VRアプリ「Bigscreen」を開発・提供するBigscreen社のCEO、Darshan Shankar氏は「この仕組みが一部のデベロッパーの成功を妨げってしまっているのではないか」と指摘しています。


この「売り上げの30%」というのは、Oculusアプリ内決済システムの手数料が30%とされていることからきたものです。

Oculus Storeのプラットフォームを利用することで、ユーザーは既存の保存された支払い情報を使用する便利さと、カードの詳細を毎回共有する必要がない、という安心感を得ることができます。

しかし、Shankar氏は自身のTwitterとThe VRDownloadのインタビューで「アプリサービスを提供する側からすると、この30%(Shankar氏は”VR税”と表現しています)は大きな負担となりかねない」と指摘しました。


例えば、Bigscreenは3D映画のレンタル提供を行っていますが、映画スタジオへの分配が映画スタジオが売上の60〜80%を占めるため、ここにVR税が入ると、もはや持続可能なビジネスではなくなってしまう。Bigscreenの利益はわずか10%、スタジオへの分配が80%の場合は10%の損失を残してしまうケースすらあると主張しています。

また、Facebookは、FandangoやNetflixのような大企業とは特別な契約を締結しており、こういった手数料の支払いを免除しているはずだと推測し、指摘しています。このような状況では大企業はVRコンテンツで利益を上げることができますが、中小企業は競争に参加することすら難しい、と業界の成長の妨げになることを危惧しています。

Shankar氏は、通常のアプリ配信でプラットフォーム利用料として30%の手数料がかかることはアプリ提供や広告宣伝費として公正性があるが、この仕組みをアプリ内購入に適用されると崩壊する、と主張した上でさらに、デジタルサービスだけでなく、実店舗も不採算にするという事実に注意を呼びかけました。

例えば、家具会社がVRアプリを作成して、自社の製品を実際の規模で表示できるようにした場合はどうなりますか?実際に購入できるようにするには、毎回Facebookに30%以上の手数料をペイメントする必要があります。


こういった問題はFacebookだけが抱えているものではありません。2020年夏頃、人気ゲーム「フォートナイト」を開発したEpic GamesとAppleがアプリ内課金をめぐって紛争したことは記憶に新しいのではないでしょうか。

Epic Games、Spotify、Netflixなどの企業は、この30%の「税金」を回避するために、顧客が直接購入とサブスクリプションを行えるようにしたいと考えています。


デベロッパーはOculusストアの場合、「SideQuest」を使って任意の支払いシステムでアプリを配布できますが、SideQuestを利用するにはOculus製ヘッドセットの他にPCが必要となり、アプリの更新なども手動で行わなくてはいけません。ほかにもWebXRアプリという選択肢がありますが、VR空間内で支払い情報を入力するのは手間になります。

こういった問題の解決に向けて、Facebookが提供しているWeb上での決済を簡単にする共通規格「Payment Request API」が将来的にOculusブラウザで使われる可能性があります。


参考:https://uploadvr.com/bigscreen-ceo-facebook-vr-tax/

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