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『投資家の日常は、いとをかし。』 #7 2024年4月 前編 テキスト版

こちらのポットキャストのテキスト版です。


renny:「投資家の日常は、いとをかし」。このポッドキャストは投資信託中心で投資歴20年の僕rennyと、個別企業の株式投資を中心に僕以上に投資歴の長い投資家の吉田さんとですね、投資家の日常で「いとをかし」、つまり興味深かったことをお話するポッドキャストです。


最近の株価動向について

renny:ここ最近の株価は特に日経平均を見てると不安定で、1000円ぐらい下がる日もあったり、今日4月25日も結構下がったんでしたっけね。そのあたりはフォローされてますか?

吉田:そんなに下がってたんですね。日経平均はあんまり見てないので。

renny:株価指数としてはもし仮に見るとしたらどこをご覧になったりするんですか?

吉田:純粋に自分が関心のある企業の株価しか見ないですね。

renny:いわゆる株価指数っていうのはあんまり見てないって感じなんですね。

吉田:ニュースで騒いでる時に見るくらいですね。日経平均が4万円を超えたんだとか。

renny:なるほどね。僕の場合は日経平均が下がってると、ちょっとこれは買わなきゃ、みたいな感じで見ててですね。実は4月に日本株のファンドを、今買うときかもしれないと思って、つみたて投資枠の日本株のファンドを少しだけ買い足しました。買ったらまたドカンと下がってですね。やっぱりタイミングを見て買うのはよろしくないな。

吉田:そうですね。

renny:自分でもやっちゃいかんと分かっているのですが。どうしても最近の日経平均、さっきおっしゃった4万円超えてたのを見てると、こんなとこでは買えないだろうと、どうしても思っちゃってですね。少し落ちたところで拾いたいなと思って、ここだと思ったら、もっと下がったみたいな。投資信託はタイムラグが出ちゃうじゃないですか。

吉田:1日、2日はズレますよね。

成行と指値。どっちで買う?

renny:だからそういう意味でETFっていいなと思ったりします。吉田さんはETFに投資されたりしますか?

吉田:ETFは2回投資したことがあって、最近初めてアメリカの長期国債のETF(Vanguard Extended Duration Treasury Index Fd ETF)を買ったのと、あともう1回はリーマン・ショックの時に、リーマン・ブラザーズが倒産した次の日とかにS&PのETFを買ってみたっていうその2回だけですね。

renny:ETFはそんなに使われてないというか、なんていうんでしょうあれですよね。今回買われたすごい超長期の国債のETFってどういうふうな買い方をされたんですか。指値をしておいてという感じだったんですか?

吉田:最近、アメリカの利下げが遠のいたとか、今月そういう話が出てきて、国債の価格が下がったので使ってみようかなと思って。今、アメリカは夏時間なので、夜の10時半からニューヨーク市場が開くんですよ。私11時には寝ちゃうから夏時間の時しかアメリカの株は買えないというか。起きている時間に成行注文して寝たいんです。

renny:成行で買われるんですか。日本の会社の株式に投資される際は、指値と成行のどちらなんですか?

吉田:成行でしか注文しないですね。このぐらいまで株価が下がったらメールが届くみたいな形にしてあって、もしメールが来たら証券会社のホームページ開いて成行注文っていう流れです。

renny:そうですか。やっぱり僕は全然ダメですね。なんかやたらと株価を見て、そこよりもちょっとでも安くならんかと思って、指値注文をして、やっぱり約定してなかった、みたいなことを繰り返してます。タイミングって難しいなと思うことが多いんですけれども、やっぱり成行なのかな。だからほどほどのところまで来てれば、いくらで買っても一緒じゃないか、っていうことなんですね。

吉田:そうですね。もうそんな変わらないんですよね。100株とかだったら株価が多少動いたとしても5000円ぐらいの差だったりするんで。

renny:なるほど。今回、日経平均が1000円とか下がって、何か投資しようかなってところまできましたか?

吉田:2月ぐらいに持っていたNTTの株を1回全部売却して、そのうち買い戻そうとメール通知設定してたのが届いたので、これから少し買い戻していこうという感じです。

2024年3月期の決算発表を前に

renny:今月は中東情勢の影響が大きかったのかなと思うんですけれども、一方でゴールデンウィーク明けもう月末ぐらいから、3月決算の会社の決算発表が続きますが、吉田さんは2024年3月期決算って、どういうところに注目というか、ここは気になるとか、こういうところを見たいというのはありますか。

吉田:為替レートについてどういうコメントをするかぐらいですかね。来季の見通しとか1ドル何円の想定で決算予想を出すのかなというのは、ちょっと興味があるかな。

renny:来季の業績予想がどういうふうに出てくるのかが、たぶん今回の決算発表で一番注目されるんじゃないかな。為替が1ドル150円台の後半まで行ってますしね。決算発表される頃には予算は作られているでしょうから、その前提っておそらく1ドル155円ではないでしょうね。

吉田:そうですよね

renny:最近、個別の会社の株式を持つようになったんで、決算発表を気にはしなきゃいけないのかなとは思ってます。僕が持ってる企業は比較的時価総額が小さいので、あんまり為替はあんま関係ないのかなとは思います。全体の雰囲気に影響されるところもあると思うんで、今の感じだと、5月もいくらで買おうか?って考えなきゃいけない月になりそうかな。そんなことを毎月やって何やってるんだろうと思いますが。

ひらまつとヒューリックの運営する軽井沢の宿へ行く

renny:このポッドキャストでは吉田さんのグルメのお話もお聞きしてますが、今月はこれはよかった!という食事はありましたか?

吉田:今月はあんまり食事に入ってなくてですね。16年ぶりに風邪を引いて、普通の風邪なんですけど、やっぱり全然風邪引いてなかったから重くなっちゃったみたいな状況でして…。

renny:なるほど。あんまり外にも出かけられなかったんですか?

吉田:でも軽井沢へ旅行には行きました。もう私の笑いのネタでしかない、ひらまつの株主優待でホテルに泊まったんです。

renny:ひらまつのホテル事業が何か変わるとか発表されたんですよね。

吉田:ホテル事業を始めて8年ぐらいだと思うんですけど、ホテルの建物と土地を全部売却して、資金を確保した上で運営だけ継続するみたいな形になるそうです。

renny:逆にそんな資産持ってたんですか?

吉田:持ってましたけど、借金だらけでした。

renny:なるほど。軽井沢はいかがでした。

吉田:何がいいのかわかんない観光地でしたね。

renny:でも人出は多かったんじゃないですか?

吉田:いやそうでもなく。もともと、ひらまつの株主優待は閑散期にサービスしますよ、みたいな感じなんですよね。観光客もまばらだし、なんで軽井沢って人気の観光地なんだろう?と不思議でした。

renny:やっぱり軽井沢って避暑地だから夏の暑い盛りがやっぱり人が多いって感じなんですかね。

吉田:そうなのかな。でもだいぶ昔、夏に行ったときも結構暑かったですけどね。

renny:でも避暑地のイメージありますよね。軽井沢には縁ないからよくわかんないですね。

吉田:新幹線で結構簡単に行けるというのはあるけど、何で人気があるか謎ですね。

renny:なるほどね。ブログを拝見してたら、ヒューリックさんの話も書かれていましたね。

吉田:ビル賃貸がメインの事業のヒューリックが、今後人口減少でオフィス需要とかも減っていくだろうから、新しい事業をということでリゾート開発に乗り出しているんです。小さめの高級宿「ふふ」シリーズをバンバン建設していて、去年12月にオープンしたばかりの「ふふ軽井沢」に泊まりましたが、そこは良かったですね。

renny:それって開発っていうことは1から建物を建ててる感じですか?

吉田:1から建物を建ててあんなスピードで新しい宿をオープンしていると、働く人を集めるのがすごい大変だと思うんですけど、特に気になる部分もなく、ちゃんと回せてたなと。(補足;いま国内で日本料理の料理人が不足しているらしいです。海外との取り合いにもなっているとか)だから、ひらまつのホテルと比べると、ヒューリックの方が全然良くて、やっぱりホテルの質は会社の業績次第なんだなって思いましたね。

renny:そうなんでしょうね。最近、ホテル行く機会も少ないから、なんかいまいち全然イメージがつかないというか旅行もあんまり行ってないです。やっぱりコロナで出不精になったというか、他にもいろいろ事情ありますけど、やっぱりホテルもずいぶん変わったんでしょうね。

吉田:変わりましたね。コロナのGoToトラベルとかあった頃に、どんどん高級な宿に泊まってみたんですよ。すごい割引になるから。コロナ後にまた行きたいなと思ったんですけど、どこもすごい値上げをして、1人5万円では泊まれない宿ばっかりになっちゃいました。(補足;GoToトラベル高級宿めぐりで一番感動したのは、修善寺の「あさば」でした。コロナ後にだいぶ値上がりして行けてません。。。)

renny:今、ビジネスホテルでも昔とは違うステージになってると聞きますからね。確かに需要と供給のバランスを考えた時に、需要が多いんでしょうね。

吉田:そうですね。

なぜタイパを追い求める?

renny:読書のお話なんかもしたいなと思うんですけれども、この1ヶ月ぐらい吉田さんお読みになった本で、面白かった本は何かありましたか?

吉田:面白かったというか、ちょっと追いかけてみたテーマがあって、タイパとかコスパ重視の世の中って言われてて、これっておそらく投資の世界でも、オールカントリー一本でいいやみたいな何か関係あるのかなと思って、いろいろ本読んでみたんですよね

renny:何か「をかし」は見つかりましたか?

吉田:時間に追われるっていうのは別に、最近になって始まったことでもなくて、振り返ってみると私達1人1人が時計を持つようになったのって1980年代ぐらい。そして分刻みのスケジュールになっていく象徴的な出来事が、1985年に総理大臣が昨日こんなことをしましたって新聞に載る欄があって、あの欄が分刻みのスケジュールになったのが1985年なんだそうです。

renny:それは知りませんでした。

吉田:そこから時間に追われるようになっていって、あとは今のタイパって言われてるのは、みんなが同じものを好きになるみたいな時代じゃなくなっちゃって。たぶん私達が子供の頃って、みんな同じファミコンのゲームをしていたりとか、同じアニメを見ていたり、私たちの世代だとドラゴンボールとかですかね。

renny:視聴率が30%というのが当たり前の時代ですよね。

吉田:共通の話題がたくさんあった時代だったんだけど今の人って、個性とか多様性の時代というか、それぞれいろんなものに興味を持てる時代っていうんですかね。共通の話題がないから、とにかくいろんなものを見ないといけない。

renny:なるほど。一つ見ておけば十分だったのが、かなりフラグメント化しちゃって、いろんなものに唾つけとかないと共通の話題が見つからない。

吉田:それでドラマやアニメで倍速視聴みたいな話が出てきたっていうことらしいんですよね。あとは就職活動のときのエントリーシートに書けるような、何かしらの個性を手に入れなきゃいけないからと、いろんなものを倍速で見て、学びたいみたいな話もあるようです。

renny:吉田さんは倍速とかってやられます?

吉田:絶対無理です。この遅いしゃべり方からしても、無理なのが明らかかと。

renny:僕もう1.3倍ぐらいまでかな。要はいろんなものをに触れておかなきゃいけない、選択肢が広がってたくさんあるだけにまんべんなく触れておく、というところから、倍速を産んでいるってことなんですかね。

吉田:そうですね。あとは何かしらの専門分野を持ちたいみたいなのがあって焦ってる。

renny:オルカン一択みたいなものとどういうふうに繋がってくるんすかね。倍速っていえば倍速かもしんないすよね。

吉田:時間をかけずにとりあえず乗っかれるっていうのは倍速かも。あとは流行化しはじめたから、共通の話題になりつつあるのかな。

※補足…タイパ関連で読んだ本はこちら↓

今福啓之「投資信託業界歴30年の父親が娘とその夫に伝える資産形成の本音の話」

renny:ここで本のご紹介をしたいなと思うんですけれども、星海社さんから出た本で、「投資信託業界歴30年の父親が娘とその夫に伝える資産形成の本音の話」という本が先日発売されました。著者は今福啓之さん。日興アセットマネジメントさんにお勤めでタイトルめちゃくちゃ長いですけれども、吉田さんもお読みになったということで、少し感想をお聞きしてみたいんですけれども。

吉田:1ヶ所だけいいなと思ったところがあって、「投資に複利効果なんてないから」という章。たしかにこれぐらいのペースで殖えますよ、と複利で説明しがちじゃないですか。でも実際にあんなふうにはならない。そうわかっているけど、何となくあれで説明しちゃうんですよね。金融庁の積立投資のシミュレーションも複利になっていて、私も金融庁のあのページを使って説明したりしてたんで、良くなかったなって反省しました。

renny:いや、僕この本で一番感じたのは、タイトルがその業界歴30年のお父さんがですねその家族に対して伝える、というようなことで、自分よりも長く生きるであろう娘さんと旦那さんに伝えたいことの本音ということで、僕も子供が2人いるんですよ。何を伝えるべきなのか、最近よく考えることがあって、参考にしたいなというのが一つありましてね。この本で書かれているのはインデックスファンドでいいんじゃないというトーンもあって、それはそうなのかもしれないなとは思いました。ただこの本に書かれてるのは、自分が何をやってるかっていうようなことはわかった上でやりましょうね、と言われてるのはすごくいいかなと思いました。あともう一つは帯に「新NISAで焦る前に読むべき本」と書かれていて、それこそタイパの話で、NISAの話が盛り上がっててみんなやらなきゃいけない、と思われてるようなところもあるんじゃないか、という話になりましたが、この本は焦って簡単に始めないことが大事ですということを書かれていて、全くその通りかなと。新NISAは期限がなくなったので、1800万円の枠を長い期間に分けてやってもいいし、いつまで持っててもいい、っていうことになったんで、日経平均4万円がどれぐらい適正な評価なのかっていうようなことがわからずに、イケイケどんどんで始めちゃうよりは、ゆっくりやる方がいいんじゃないかなというようなことは思いましたね。

吉田:うん、そうですよね。新NISAが始まって複利効果を得るためには1月に成長投資枠を全部使い切るんだ、みたいな謎の話が出てきたりしてて、あれなんだったんだろう?と思いましたよ。

renny:そうですよね。積立投資が毎月1日に集中して買いがたくさん入るんじゃないか、そこで株高になるっていうアノマリーが起きるんじゃないか、みたいなことを書いてる人がいましたね。そうかもしれないなと。1月の第1営業日に全部枠を埋めた方がいいとかっていうようなことは、たぶんこれからも毎年言われるだろうし、新NISAは売却すると翌年に枠が復活するから12月は利益確定で売り注文がいっぱい出るんじゃないかなという話もありますよね。今年に関しては11月にはアメリカ大統領選挙もありますし、11月12月まで待つのも良かったのかな。でもこの本も書いてありましたけど、タイミングを計るのは一番やっちゃいかんこと。でもどうしてもやりたくなっちゃう。また、この本で「コンセプトファンド」っていう言葉を使われててですね、アクティブファンドの中にもベンチマークとかそういうのとは全く違って、あるコンセプトに向けて投資する、という表現をされてて、これはこのポッドキャストでもお話してた、僕の言ってた「プロセスファンド」とも繋がるかなとは思いました。巷に並んでる本はNISAをどんどんやりましょうよ、という本が多い中で、急いで始めなきゃっていう本じゃないところに良さがあるんじゃないかと思いました。

後編に続く

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