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ESG投信の先駆け2ファンドの明暗を分けたもの

環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)
の要因を勘案して投資判断を行う「ESG投資」は、2006年に責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)が起源。最近、日本でも「ESG」を冠した投資信託の新規設定が相次いでいるが、これらの先駆けとも言える1999年設定の投資信託が2本存在する。

日興エコファンド(1999年8月~)

損保ジャパン・グリーン・オープン(1999年9月~)

当時の経緯には詳しくないが、おそらく1997年12月に地球温暖化防止会議(COP3)が京都で開かれ、国内で関心が高まった流れで「環境」「エコ」「グリーン」をテーマにした投資信託が設定されたのだろう。

この2本の純資産総額(=投資家から預かる投資資金の総額)を推移を振り返ると、

ESG投信の先駆け2ファンドの明暗を分けたもの

最初の数年は両者ともに、日本の投資信託ありがちな、設定当初2年程度でピークを迎えてしぼんでいくという展開。しかしその後は両者の明暗が分かれる。損保ジャパン・グリーン・オープンは持ち直し、横ばいかやや増加の傾向の一方、日興エコファンドは低迷を続け、償還期限の2024年8月が延長されることなく、このまま終焉を迎えるだろう。

なにが両者の明暗を分けたのか?

私は情報開示の質が明暗を分けたと解釈しており、かなり分かりやすく差が現れているので説明は不要だろう。ぜひ直近の月次レポートを読み比べて欲しい。

また、損保ジャパン・グリーン・オープンは月次レポートと合わせて、環境関連の最新のニュースを伝える「ぶなの森 ニュース」を毎月発行。年に1度の運用報告書合わせて、「環境問題への取組状況(組入全銘柄)」のレポートを発行し、投資先1社あたり数百文字でまとめている。

損保ジャパン・グリーン・オープンが資産形成に最適な投信かどうかはまた別問題だが、同投信の情報開示を通じて、日本企業の環境問題への取組を学ぶことができる点は大いに評価すべきだと思う。


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