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コモンズ30ファンドの月次レポートの歴史 月次レポート研究所のポッドキャスト 2023年11月 テキスト版

こちらのポッドキャストのテキスト版です。


コモンズ30ファンド 情報開示改善の歩み

renny:月次レポート研究所のポッドキャスト2023年11月の2本目は、コモンズ投信さんのコモンズ30ファンドを取り上げます。今月の1本目のポッドキャストではインデックスファンド、アクティブファンドという分け方ではない、別の形ができないかということで、企業の調査をしっかりやって、それをベースに投資判断していることが、自分たちの違いだと主張しているようなファンドをプロセスファンドと呼びましょう、というお話をしてきました。コモンズ投信さんのファンドはそのプロセスファンドに当たるかなと。この投資信託はご存知でしたか?

吉田:最近、最近iDeCoでこれをメインにしたんですよ。セゾン投信があんなことになっちゃったので、代わりのファンドということで。

renny:僕も実はiDeCoで使ってまして、全く同じようなことやったんですよ。セゾン投信のアクティブファンドを全部解約してこっちに乗り換えて、毎月買い増しているというような感じにしています。ただこのファンド自体は設定以来お付き合いしてました。2人の息子の名義でずっと積み立てをやってまして、今年上の子が20歳になったので引き渡したところで、その資産を彼がどういうふうにしてるのか僕あずかり知らないですが。だからそういうわけで僕が古くから知ってるというファンドになります。このファンドは2009年1月に設定されて、リーマンショックが終わった直後、金融危機の真っ只中ですよね。この当時の月次レポートが、今も閲覧可能になっているということで、この点は評価できますよね。

吉田:そうですね。

renny:過去のポッドキャストでも、昔の月次レポートに何を書いてたか、どういうことを発信してたか、というのは投資信託の財産だと吉田さんもおっしゃってましたよね。2009年2月の月次レポートを見てみますと、本文にあたる部分は1枚ぐらいのサイズで、2ページ目にはリスクとかお決まりの表が載せられています。まだ設定された直後なんで、こういうこともあり得るのかな。1ページ目では投資先が5社紹介されてますね。それ以外に書いてあるのは株式の比率が85.7%ぐらいで何社に投資してるかは分からないですね。1年後の2010年2月の月次レポートはどうなったか見てみると、、、ほぼ同じですね。もう少し時計を進めましょうか、2012年2月も一緒だな。。。

吉田:2014年までいったらレイアウトが変わりましたよ。

renny:本当ですね。設定から約5年、2014年1月の月次レポートになると、投資行動とパフォーマンスという見出しがつけられて「1月末の組み入れ銘柄は前月比変わらずの29銘柄となりました」と書かれていますね。あと「投資委員会において、新規買付候補1社、全売却候補4社を提案しましたが継続審議となっています」って、ここでずいぶん変わりましたね。

吉田:劇的に変わりましたね。

renny:投資行動についても、上位10社で入れ替わった会社の説明があったり、買い戻したとか買い増したと個別の投資先について書いてますね。4ページには、今月のトピックとして業績関連の説明やニュースが紹介されています。ただ今の体裁と比べるとここからずいぶん変わってると思うんですよね。3年後の2017年2月の月次レポートでは体裁はそのままですが、企業との対話ということで、味の素と丸井グループの統合レポートを読み解くイベントが紹介とかがされていて、人が関わっていることが読み取れる内容ですね。2020年に入ってレイアウトが変わりはじめて、今の形になるのは2020年8月ぐらいからですかね。この当時のファンドの規模が200億円と書かれていますが、現在は500億円近くなので、約3年で倍になってるんですね。基準価格も上がってのでその分もありますが、支持する人が増えてるのを感じますね。吉田さんはこちらのファンドご利用になっているとのことでしたが、月次レポート等の内容が影響したんでしょうか?

吉田:正直なところ、楽天証券のiDeCoの場合もうこれしか選択肢がなかったんですよね。セゾン投信以外でちゃんとしてるのどれか?となると、コモンズ30ファンドしか残らない。

renny:たしかにそうですね。日本企業に投資するアクティブのファンドって、そもそもそんなに選択肢ないですよね。

吉田:ないですね。日本株でTOPIX連動ファンドなんて投資しても意味がないので。

renny:消去法的なところもあったのですね。

吉田:あとは今年のはじめにデクセリアルズという会社に投資しようと調べていたら、コモンズ投信のYouTubeが出てきて、ひとつの企業を分析するみたいな動画で、へぇーこういうことしてるファンドなんだと良い印象が頭に残ってたんです。

renny:コモンズ投信さんのもう一つ別のファンドでたしかデクセリアルズを保有されていたんじゃないかと思います。デクセリアルズは以前このポッドキャストで、吉田さんが具体例を挙げられた会社でしたね。なるほど、きっかけは動画ですか。プロセスというか企業調査や投資判断のところが見えたことが、この会社に興味を持つことになったっていうことですね。

吉田:そうですね。

renny:投資先の会社を知ってもらおうという努力は、他にも熱心にされてる投資会社さんありますが、その代表例と言えますね。

三菱UFJアセットマネジメントは情報開示を縮小

renny:ちょっと話が変わりますが、最近見つけたファンドで、三菱UFJアセットマネジメントさんの優良日本株ファンド(愛称:ちから株)の月次レポートを見てみると、3ページ目に投資先48社がすべて載っていて、その比率まで公開しています。1位が大阪ソーダで8.1%というのはなかなか攻めていますね。

吉田:ぜんぜん知らない会社ですね。

renny:売買動向とかもう載っていて、情報開示が他に比べるとしっかりしてるなという印象でした。

吉田:三菱UFJアセットマネジメントといえば、ベイリー・ギフォードのレポートの翻訳ですね。

renny:でもね、この間、四半期レポートが出たんですけど、表紙がなくなってましたね。タイトルも「エジンバラからの便り」ではなくなっている。

吉田:ほんとうだ。体裁が変わってますね。

renny:中身はそんなに変わってないのかなと思うんですけど、力の入り方が何かちょっと変わっちゃったのかなと。

renny:あと三菱UFJアセットマネジメントさんにちょっと苦言を申し上げたいのはですね、月次レポートが過去の3ヶ月分しか掲載されなくなっちゃったんですよ。以前は1年分を見れたはずなんです。それが最近、すべてのファンドで3ヶ月分に変更になったっぽいんですけれども、これはちょっといただけない。それこそさきほどのコモンズ投信さんは、設定以来、十数年分のレポートをすべて公開しています。それに比べると直近1年分でも少なかったのに、たったの3ヶ月だけですから。もちろん他社さんで直近の1ヶ月分のところに比べればかなりマシですが、とはいえ12ヶ月分から3ヶ月分になるっていうのは、どうなんだろう。特にそのプロセスを見たいという投資家にとっては残念でならないなと思うんですよね。

吉田:これはお金を託すに値しないですね。

renny:サーバーの容量の問題で費用がかかりそうだから削ったのなら、しょうもないファンドを大量に作るからこんなことになるんじゃないかと。

吉田:そうですね。eMAXISだけを頑張ればいいじゃないって感じになっちゃう。

renny:唯一の救いはね、四半期レポートの公開等は引き続き更新していますし、四半期レポートの過去分はそこそこ遡れるので、その部分は評価したいです。これまで見れなくなったら、もう最悪だと思うんですけれども。ただ何の告知もなくバッサリやるのは、顧客本位と言えるのかなって思いますよね。だからベイリーギフォードさんには何の罪もないと思うんですけれども、三菱UFJアセットマネジメントさんには再考してもらえたら嬉しいなと思うんですよね。文句を言っておきながらなんですけど、今度12月6日にベイリーギフォードの個人投資家向けフォーラムがあるんですよね。

吉田:はい、申し込みました。

renny:僕も申し込みました。去年はオンライン開催で、なかなかいい内容だったので今回も期待したいなと。こういうことをやってくださるのは、非常にありがたいんですが、月次レポートの3ヶ月とかっていうのはちょっと…。四半期レポートについても、手間を省かれるようになってしまうと、ちょっとこのファンドをこれ以上持てないところもあるんで、ここのファンドを持ってる受益者としてははっきり申し上げておきたいなと。

吉田:ファンドの純資産総額がすごく減ったから、手をかけられなくなったとかいう事情があったりするのですか?

renny:いや減ってないです。そんなに資金が流出している感じではないです。ただこういうふうに見ている人もいるよということ強調しておくことが非常に重要かなと思いまして、はっきりとクレームをさせていただきたいと思っております。

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