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外資系IT社員のお財布事情

外資系IT企業で働く上での特徴に、日本企業より高めの収入があるのは、わりと知られているお話ですが、これまで見聞きした収入をちょっと分類してみると結構多彩な感じ。

  • 給料と賞与

  • ESPP (従業員持株会)

  • Stock Option / RSU

  • 出版/講演

  • 副業

日系企業でも同じかもしれないけれど、それぞれの種類についての記憶をたどってみる。

給与と賞与

言わずと知れた毎月の生きていくで必要な糧ですね。日本企業より安定感が低くてリスクが高めなので、同世代の同職種より10-20%高めなのが基本。

営業系職種だと狩猟民族の心をくすぐる、基本給部分は低めながら、コミッション部分を手厚くして、単年度とか単月度の個人の割り当て数値目標を達成するまでは理論上の月額給与が60-100%で変動するけど、数値達成後は月額給与100%+目標超過分の「売り上げx数%」が付与されて、場合によっては年度の終わりまで追加の売り上げ分は全て「売り上げx数%」が継続する、パチンコの確変みたいな制度も。

比較的ブラックっぽい日系IT営業から外資系IT営業に転職した友人は「売り込む先のお客さんはさほど変わらないし、売り上げへのでプレッシャーもたいして変わらないけれど、売り上げがたった後の報酬が圧倒的に良いのですごく楽」と申しておりましたが、別の日系IT営業から外資IT営業に転職した友人は、「お客さんへのアポも商談の進捗も含めて、箸の上げ下げじゃないけれどものすごく細かく管理されている感じが全く合わないわぁ」と言ってしばらくして別の会社に転職したので、このあたりの感覚は人それぞれでしょうね。

営業職以外もいわゆるOTE(On Target Earnings)が個人ごとに決定改定されていて、売り上げ目標は持たずとも、MBO(Management By Objectives)で年間の活動ゴールと成果目標を合意(年棒の5-10%程度)して、決まった年棒を月割りでいただくのですが、営業職と比較して安定感抜群。確変モード的な突き抜けた収入はないのですが、全社の年間成績(Globalの業績と日本の業績)に基づいて業績ボーナスの原資が決まってその後に、各人の業績貢献に応じた賞与付与率(年棒の10-30%)で年2回いただく感じでした。

業績が良い時にはみんなハッピーなんですが、業績が悪くなると、営業はコミッションがなくて悲壮な感じになるし、非営業職も賞与が期待できない上に、部署の統廃合とか社内異動含めたリストラの雰囲気が一気に押し寄せてきてる感があってよくも悪くも刺激的。
そんな時期には誰がどこに転職しそうとか、部署異動したとか、どこそこの部門向けに退職パッケージ出てるらしいぞとか、社内コミュニケーションが一気に内向きになるのはきっとどんな会社でも一緒かも。

ESPP(従業員持株会)

正確に言うと報酬じゃないけれど、福利厚生の一環で提供されている会社も多いんじゃないかな。
ESPP(Employee Stock Purchase Plan)は持株会みたいな仕組みって理解しているんだけど、毎月の給与から一定の割合を、原資として天引きで積み立てて、年2回自社株を割引価格もしくは積立額に会社が金額を上乗せして購入する制度で、購入タイミングで割引か上乗せがついているので、限度額いっぱいまでやっている社員がほとんど。

諸先輩方が国税の皆さんとあーでもないこーでもないと裁判等を通じて出てきた見解として、この割引分とか上乗せ分が給与所得扱いになるらしく確定申告が必要になるので、外資系社員のほとんどはが毎年確定申告する理由の一つになっています。

Stock Option / RSU

日系企業でも最近増えているって聞くことのあるStock  OptionとRSU(Restricted Stock Unit)は、入社時の雇用契約の条件だったり、年度の業績評価で結構重要なツールだったりします。

株式を報酬として付与する意味でどちらも同じなのですが、付与条件を達成した際にStock Optionが「指定金額で株式を購入する」RSUが「無償で株式を受け取る」権利って違いで理解しておけばいいんじゃないかな。

いずれにしても、付与したらすぐ受け取れるものでもなく、例えば「付与後1年経過したタイミングで付与数の25%を受け取る権利が発生し、残り75%はその後3ヶ月おきに12分割して付与される」とか条件が付いていて、簡単に言うと「君の事を評価しているので権限を付与する。長く働いて業績向上に貢献できれば、株価も君への報酬も上がってWin-Winだよね。」ってやつ。

ボチボチ新しい環境でこれまで培ってきたスキルを活かそうかな。とか考えることの多い優秀な人達を「待てよ。もうすぐRSUの受け取りがあるじゃん。ちょっとこれ受け取るまではこの会社で働いておこうか」なんて感じで束縛する「黄金の手錠」とか言われていたりします。

まあこれも業績が堅調な時にはいいんですが、不調になると効力は薄れるし、付与した全ての権利行使が終わると辞められてしまうので、追加で付与しなきゃ維持できないとかデメリットもある。

そうそうコレも行使価格と株価の差額が給与所得扱いになるんで、確定申告が必要なんですよね。

出版/講演

全員ではないけれど、自社イベントとか自社メディア的なものへの出稿とか講演は日系企業と比べて多い。いや、日系とか外資とか以前にIT系だからかも知れない。

もちろん自社だけじゃなく、外部主催のイベント登壇や出版社への寄稿や監訳なんかも含めて、それなりに実績を残していくとお声がけいただくこともあってお手伝いする場合もあるっちゃある。
そんな時に発生する謝礼だとか印税だとかは、それぞれの会社規定と内容次第ですが、会社受け取り/個人受け取り/辞退、あたりのいずれかで個人か辞退が多いんじゃないですかね。

金銭的対価より登壇者とか主催者とのネットワーキングや、イベントや書籍やメディアでの露出で、所属組織にもメリットが大きい上に、個人的な次の展開(転職なり、副業なり)に繋げる機会の意義の方が大きいので。

副業

コレはピンキリだし出来るものと出来ないものがあって、基本は会社規定による申請制度で、利益相反とか社会的規範とかに抵触しない範囲でやっている人も少なからずいるけれど、IT界隈は利益相反が心配なので別業種が多い。
日本法人のとても偉い人とかになると基本的にお金持ちの規模感が違いすぎて、何が本業なのかって感じでビルオーナーだったり、ワイン醸造所オーナーだったり、芸術家やスポーツ選手の個人スポンサーだったり、する方も少なからずお見かけしており全く参考にならない…

もう少し身近な層だと、売り上げ大幅達成でコミッション長者になった営業さんは、節税案件を探しまくって、物件大家さんとかちょっと前だと太陽光発電オーナー、自宅も資産価値が上がりそうな都内タワマン購入とか、聞いたかも。

変わったところでは、ジュエリーデザイナー、ダイビングインストラクター、加工食品製造、3輪自動車(トライク)開発、飲食店経営、あたりがいるのですが、やはり変わった人達が多いとみるか、外資系IT界隈のお仕事がむしろ副業なんじゃないかってみるかですが、個人的な結論としては「日本企業に適合出来ない人たちが集まりがち」ってことで。

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