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Pitta Diversity Policyにおいて、アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)は無くすべきか考えた

こんにちは。Pittaで組織開発などを担当している五木田(ごきた)です。
 
Pittaは2022年8月に、ダイバーシティに関するポリシー『Belonging(ビロンギング)』を公開しました。

私たちは「あらゆる特性・価値観・バックグラウンドを持つ人が同じ会社の中に等しく存在し、関わり合っている状態」をBelongingと定義して、DEIに取り組んでいます。

Belongingのイメージ図

基本の思想については、こちらの記事もお読みください。

ポリシー公開を機に、社内外でのアクションも継続的に行っていきたいと思い、そのひとつとしてアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込みや先入観)のトレーニングを行いました。

この記事では、XTalentさんにご協力いただいたトレーニング当日の様子や、私たちのアンコンシャス・バイアスに対する捉え方、Belongingとの関係性などをお伝えします。


Pittaにおけるアンコンシャス・バイアスの捉え方

アンコンシャス・バイアスとは

アンコンシャス・バイアスとは、人が無意識に持つ思い込みや先入観のこと。
※長いので、この記事では「UB」と略します

人や物に対して、過去の経験や一般論などをベースに、無意識で「この人/物は●●だ」と考えることを言います。

たとえば…

・「子どもがいる従業員は遅刻・早退・欠勤が多い」と思い、本人と丁寧に話をせずプロジェクトメンバーにアサインしない

・過去の経験から、これまでのやり方が一番よいと思い込み、目の前の事象を適切に分析せずに、過去を踏襲してプロジェクトを進める

など

また、後述するUBトレーニングでは、他者や事象に対してだけでなく、自分自身に対してもUBを持ちうると気づきました。例えば、ある女性が「家事と仕事を両立しなければいけない」と思うのは、「家事は女性がするもの」という古くからの考え・文化と、昨今の「女性の社会進出」といった動きが相まって、無意識のうちに社会的なプレッシャーを受け、自分に対してUBを持ってしまっているのです。

Belongingにおいて、なぜUBを学ぶ必要があるか

Pittaが目指したい「多様性」は、お互いの「違い」に着目して特別な取り組みをすることではありません。

逆にできる限りカテゴリ・属性を取り払って一人の人と向き合うことで、個人が心地よくこの組織に所属でき、なんの不安もなく目の前の仕事に集中できる環境を目指しています。

「カテゴリを取り払う」とは、男性・お子さんがいる人・障がいを持つ人…といった大きな主語で個人を捉えないということですが、さらに、そういったカテゴリに対する印象や先入観の紐づけに自覚的になることも大切です。

Belongingの実現に、UBの基礎学習は欠かせないものです。

UBはなくすべきものなのか

今回のトレーニングを行う前に、BizDevのメンバーから「UBの捉え方」に関する疑問をもらいました。

■そもそもアンコンシャス・バイアスをどのように捉えるのが妥当か

・無意識的にバイアスが入るのは仕方ないとして、それを悪だとするのか、それとも自覚的になろう、みたいな話なのか
・バイアスや思い込み自体を悪だと捉える場合、そのような捉え方をすること自体がバイアスではないのか?
・アンコンシャス・バイアスはなくせないと思うが、その前提でどちらの認識でいけばよいのか
 ・自分の中でバイアスをメタ認知した際に、自分はどう思うかは別としてバイアスに囚われてないように振舞えばOKなのか?(例えば、「学歴は優秀さに相関する」みたいな認識を本当は心の底で思ってるけど、相手には伝わらないようにコミュニケーションをとっている場合。※相手にそう思ってることは伝わってない前提)
 ・↑と比較して、そのバイアス自体が悪で間違ってると認識を改める必要があるのか
   ・たぶん、相手を傷つけないとかリスクテイクの観点であれば上で良い気がしていて、そうでないところにも目的があるなら、認識を改めるという態度になるのだとは思うが、どっちなのか

メンバーからのコメント

UBは「悪」で、自分のなかにあるバイアスを全てなくすべきか? というと、必ずしもそうではないと考えています。

UBをゼロにするというのはどんな人であれ難しいので、そうではなく

  • UBが入った意思決定や行動をしそうになったときに立ち止まれるか?

  • 無意識・無思考にならず、自覚的になれるか?

という点がむしろ大切です。

立ち止まって考えた結果、「UBはあったかもしれないけど、●●の理由で▲▲の意思決定をする」という結論になったとしたら、それはそれでよい場合もあるかもしれません。意思決定の過程でどういう議論がなされたかを大切にする組織でありたいと思います。

また、このメンバーが書いてくれた下記の解釈は、Belongingの考え方と重なります。

アンコンシャス・バイアスへの向き合い方って「目の前にある事象や人とちゃんと向き合おうよ(過去の経験や一般則がその人に当てはまるかは分からないよね?)」って解釈な気もしてきた

メンバーのコメント

アンコンシャス・バイアスのトレーニングをしました

このように、Belongingを進めるにあたってUBを学ぶべきと考え、XTalentさんに協力いただきアンコンシャス・バイアスのトレーニングを行いました。

目的は次の3点。上述した「UBの捉え方」なども併せてメンバーに共有をしました。

① 世の中にありうる事例を知り、誰もが持つ自分自身のUBに自覚的になる
② 他メンバーの考えを知る
③ Belongingに対する各自の考えを深め、目指す理想の解像度を上げ、今後のアクションや発信に活かす

事前にUBや組織の多様性に関するサーベイを実施し、当日はレクチャー・サーベイの結果共有・グループワークを行いました。

事前に行ったサーベイの結果はこちら。

※こちらのデータは、2022年7月時点のものです

Pittaメンバーに多かったUBは次の3つでした。

  • ハロー効果:あるひとつの側面に対する評価が、その人や物の全体的な評価に影響すること

  • 自己卑下バイアス:成功は外的要因によるおかげで、失敗は自分のせいだと考え、自分の能力などに対して過小評価すること

  • インポスター症候群:自分の能力を適切に評価せず、「自分にはできない」と思い込むこと

これはあくまでも傾向ですが、このようなサーベイを行うことで、自分たちが持ちうるUBを具体的に考えるきっかけになりました。

特に、一部の評価が全体評価に影響する「ハロー効果」は、プロジェクトのアサインや評価制度など、会社全体の文化やパフォーマンスにも関連するUBなので、今後は意識していきたいと思います。

組織のDEIに関するサーベイは、比較的高いスコアが出ました。

※こちらのデータは、2022年7月時点のものです

今後人数が増えていっても維持ができるように、Belongingを新メンバー向けのオンボーディングに追加して丁寧に対話したり、社内外でのアクションを継続的に行っていきます。

トレーニング当日のレクチャーでは「なぜ人はUBを持つのか」「企業においてなぜ重要なのか」といったテーマを、脳の働きや様々な研究結果・データなどから共有していただきました。
グループワークは、UBが何かしらの影響を及ぼしうるシチュエーションを想定したロールプレイング。

Pittaメンバーは普段から関心が高い人も多いからか、当日は多くの質問やコメントが出てきました。その中でも興味深かったのは「仮にDEIBやUBに関する取り組みを最大限やって、多くの人が納得する人員配置になった結果、男性の管理職が多数になった場合にどう捉えるべきか? それでも数値目標を達成させるために比率にこだわるか?」という問い。

また、男女比率についてはこんな疑問も出てきて、トレーニングの後もSlackで話が広がりました。

トレーニング参加者からの、いい視点の疑問

今後も継続的な思考・議論を

今回のトレーニングは、会社としてBelongingやUBと向き合うきっかけになりました。これを機に、どのように社内の対話やアクションの場を作っていくかが大事だと思うので、このきっかけを無駄にせず動いていきます。特に、トレーニングで出てきた問いは今後の組織設計や評価制度設計などにも関わってくると思うので、継続的に考えて議論していきたいです。

Pittaのダイバーシティポリシー『Belonging』や、今回のアンコンシャス・バイアストレーニングなどについて興味がある方はぜひPittaでお話しましょう。

取材やイベントのご相談、その他企業間でコラボレーションできそうなことがありましたら、下記よりお問い合わせいただけますと幸いです。

Pitta Diversity Policy『Belonging』お問い合わせフォーム

Pittaの働き方については、以下のページにまとめています。


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