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PRINCE2の紹介

【はじめに】

 PRINCE2というプロジェクトマネジメントのフレームワークがあります。日本では米国発祥のPMBOKが有名ですが、こちらは英国商務省発です。

【PRINCE2とは】

【名称】

 正式名称は PRojects IN Controlled Environments 2 といいます。
 「ぷろじぇくつ いん コントロルド エンヴァイロメンツ 2」といったところでしょうか。略して「ぷりんす2」といいます。

【いつ出来たか】
 沿革は以下の通りです。

1989年。イギリス商務局(OGC)が開発。
1996年。PRINCE2を発表。
2017年。5th Edition。
2020年。6th Edition
    (PRINCE2 2017を改名)

【試験制度はあるの?】

 プロマネ、とくれば資格試験が気になるところですね。はい、もちろん試験が各種存在しています。なお、参照した情報は2021年現在のものです。

  1. ファウンデーション
    エントリー資格
    受験資格:制限はなく、PM実務経験や教育に関係なく誰でも受験可能
    受験料:\41,496
    受験言語:英語、日本語
    更新:永続資格なので更新コストも発生しない

  2. プラクティショナー
    上位資格
    受験資格:
    受験料:\59,176
    資格は有効だがアクティブ認定(有効期間5年)のための追加試験がある

  3. アジャイル
    上位資格
    受験資格:次のいずれかの保有者
    ・PRINCE2ファンデーション、PMI、CAPM、IPMA level A/B/C/D
    受験料:
    受験言語:英語、ドイツ語、ポーランド語(2018年情報)

【特徴:PMBOKと比べながら】 

【ざっと較べてどちらが上という事はない】

 PRINCE2とPMBOKはそれぞれ異なる方向性を持った体系です。両者を比較した記事は沢山書かれており、概ね内容も似通っています。だいたい以下の様な内容になります。


【1. 性格の違い】

・PRINCE2 方法論 What you should doを説明
・PMBOK 知識体系 What you should knowを説明

【2. 内容の傾向】

 ・PRINCE2 規範的(Prescriptive)
 ・PMBOK 説明的(Descriptive)

【3. 何を説明するか】

 ・PRINCE2 やるべきことは何か(What to do)
 ・PMBOK 良い事例(Good practice)

【4. 何を答えてくれるか】

 ・PRINCE2 質問What、When、Whom
 ・PMBOK 質問How

【5. おもな使用地域】

 ・PRINCE2 英国、欧州、豪州、国連
 ・PMBOK 米国、加州、中東、豪州、日本

【6. 試験制度】

 ・PRINCE2 試験情報案内サイト
  ・ファンデーション
  ・プラクティショナー
  (アジャイルというのもありますが現時点で調べがついていません)
 ・PMBOK 試験情報案内サイト
  ・PMP

【7. 受験資格】

 ・PRINCE2
  ・ファンデーション なし
  ・プラクティショナー ファンデーション、PMPいずれかの合格者
  (アジャイルというのもありますが現時点で調べがついていません)
 ・PMBOK
  ・PMP 実務経験者、35時間以上の公式研修終了者

【8. 資格維持方法】

 ・PRINCE2
  ・ファンデーション 合格したら恒久資格
  ・プラクティショナー 5年に一度更新試験を受ける
  (アジャイルというのもありますが現時点で調べがついていません)
 ・PMBOK
  ・PMP 3年以内に有料セミナー参加など60ポイントを稼ぐ
       (一度に取得出来るポイントについてはモノによる)
   ・1年の猶予期間があり、この間に達成出来れば資格は維持される
    が更新までの期間が最長で1年短縮される。
   ・間に合わなかった場合は資格そのものが取り消される。

【所感】

 ざっとこんなところです。結構重要なのは、PRINCE2ファンデーション以外は資格維持にも費用がかかる事です。PRINCE2はアクティブ認定試験というのを受験する事で、資格保持者がアクティブである、というお墨付きを貰えます。資格自体はずっと有効であり、5年を過ぎてもこの試験を受ける事は可能です。PMPは更新までが3年と短めで、これを過ぎると最悪資格を失ってしまい、また受験からやり直しなのとは対照的です。

 試験のレベルはPRINCE2ファンデーションの方が優しいです。エントリー資格としてはこちらの方が向いているかと思います。また、PRINCE2では教義の中にスケーラビリティというのがあり、どんな規模、どんな内容のプロジェクトにも合わせる様に調整する事が守るべきことのひとつとして掲げられています。教義に合わせてプロジェクト管理を調整するのはなく、プロジェクトに合わせて教義を調整する、という点で、現実的だと思います。

 学びやすさという点ではPMBOKに軍配が上がります。PRINCE2の情報はほとんどが英語なので、有料セミナー等を利用する以外に余り情報源がありません。英語版のテキストも調べれば色々と見つかりますが、たいてい高価です。筆者はその中から無料で読める記事やYoutube動画などで情報を得ています。ただ、最新の状況がどうなっているかは余り見つけられず、Agile試験でその後日本語配信が始まったのかどうかなど、未確認のポイントも多々あります。

 こういうのもある、という事を知った、という事で、本稿を更に一歩踏み出すためのきっかけにしていただけたら幸いです。


PRINCE2の紹介2 につづきます。