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あなたの、私の、苦手なもの

ネット記事のコロナコロナコロナコロナ…という文字列の間に、「新種のヘビが発見され、"スリザリン"と名付けられた」というニュースがあった。
見出しの横にヘビの写真が載っていたので、記事の中身は読んでいない。

私はヘビが苦手である。
爬虫類、両生類は全般的に苦手なのだが、ヘビについては群を抜いている。
小学1年生の遠足で動物園に行った時は、お友達に手を引いてもらうことによって、端から端まで目をつぶったまま爬虫類館を通り抜けたし、高校の生物の授業では、爬虫類の話の時もお花のページを開けることにしていた。
実物に触れるなど言語道断、写真をチラッ見るだけでも嫌なのである。この拒絶反応の強さは、食べ物で言えば「好き嫌い」より「アレルギー」の部類に入る気がする。

無論、ヘビに非は無い。勝手に嫌って申し訳ないと思っているし、これについては完全にこちらの我が儘であって私が悪いし、この世にヘビ愛好家の人がいるのも知っている。でも、頼むから私に姿かたちを見せないでほしい。ネット記事やテレビに不意打ちでヘビが現れると、「何してくれとるんや!!!!!」という気持ちになる。

しかしここで怒ってはいけない。「自分が気に入らない」という理由だけで激昂するのは典型的なクレーマーだ。ヘビは公序良俗に反しているわけでもなければ、猥褻物でもない。嫌なら目を逸らす。それだけの話。それに、「ヘビが苦手」という人は一般的にも割と多いだろうから、自分の感覚がマジョリティーに属していることによって助かっている部分もあると思う。

もっと、「何故それが?」というようなものが苦手な人は、大変なんじゃないだろうか。もし牛スジがめちゃくちゃ嫌いな人がいたとしたら、私の前回の投稿は凶器となってしまう。申し訳ない。世界のどこかには、猫が大の苦手で、「Twitterでバズった画像まとめ」みたいなやつに日々恐れおののいている人がいるのかもしれない。実際、「天体の写真を見るのがとにかく怖い」みたいな人がいるという話は聞いたことがある。

苦手なものなど人によって千差万別であるから、各々が各々の苦手なものをスッッ…と避ける作業をする以外にないのだけれど、もし誰かから「〇〇が苦手だ」という旨の告白をされた場合には、寛容な心で受け止め、間違っても「こんなの平気でしょ」などと言って押し付けてしまうことのないようにしたい。これが死ぬほどヘビが嫌いな者の、せめてもの矜持である。

きっと、マスクが死ぬほど苦手な人もいるのだろうな…。

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