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John Patitucci著: Walking Bass: How to Play Walking Basslines On Any Chord Sequence - For Upright & Electric Bass(2021年初版)

ども。リーマンベーシストです。今回は教則本レビューです。

さっぱり巧くならないベーシストですので、他力本願で教則本を読むのが趣味みたいになってきました。それぞれ思惑があり作成しているかと思うと中々読みごたえがあります。当然繰り返しの練習をしないと意味はないのですが、、、、

さて、今回ご紹介するのは現代ジャズベーシストのバーチュオーゾ。ジョン・パティトゥッチです。日本amazonでも買えます。さて何が書かれているのでしょうか?

まずは導入から。ジョン・パティトゥッチ自身のお言葉です。ちょっと長いです。ははー。

(訳)はじめに:オールドスクールであれ、モダンな表現であれ、あらゆるジャズの場において、ベース奏者の貢献は音楽の基礎を築くために不可欠です。どのベーシストがどのように演奏するかによって、曲のフィーリングやグルーブ感が大きく変わることは誰もが知っています。しかし、ベーシストは、音符の選択やリズムの変化によって、曲の和音構造や雰囲気を変えることもできます。ジャズのベースラインを作るときには、この2つの側面を意識する必要があります。単純にコードを繋いでチェンジするだけではなく、曲の構成を考える必要があります。そのためには、構成を考えなければなりません。ベースラインを演奏する際には、メロディをしっかりと表現できるラインを作ることに集中し、そのラインを強力なグルーヴ感とスウィング感を伴って前進させる必要があります。この本では、それを実現するためのヒントと、私が使っているジャズ用語を紹介します。私の目的は、あなたが偉大なベース・コンポーザーになり、グルーヴとスウィングのセンスを向上させることです。そのために、スタンダード・レパートリーの何百もの曲で使われている、ジャズで最も一般的なコード進行を取り上げます。コードが元の形から大きく変化していても、このコード進行上でうまく機能するメロディックなベースラインをたくさん学びます。メロディアスなベースラインを作曲することは一生の課題ですが、私自身もいまだに取り組んでいます。ここで、ロン・カーターとレイ・ブラウンに敬意を表さなければなりません。彼らがウォーキング・ベースラインを演奏しているのを初めて聴いたとき、私は「これができるようにならなければならない!」と思いました。また、私を指導してくれたもう一人の素晴らしいベーシスト、ルーファス・リードの影響も認めます。とはいえ、ここで紹介したアイデアが、あなたの音楽家としての成長を助け、さらなる探求と創造へのインスピレーションとなることを信じています。最終的な目的は、あなたが楽器の上で自分の声を見つける手助けをすることです。この本は、Dメジャーのシンプルな2-5-1-6 進行に基づいています。この基本形をもとにハーモニーがさまざまに変化したときにベースラインをどのように変化させればよいかを説明しています。これらの変化には15の段階的なバリエーションがあり、本書が進むにつれて、ハーモニーはよりカラフルで複雑になっていきます。各セクションの最初には、コード進行にどのような変更が加えられているか、また、これらのハーモニーの選択がなぜ機能するのかを説明しています。メロディックなベースラインを何十種類も学べるだけでなく、モダン・ジャズでよく使われるフレーズの数々を知ることができます。新しいリハモを導入したりすることで、メロディックでリズミックなインプロヴィゼーションの新しい可能性が広がります。各セクションのコード・チェンジには、より多くの変化した音や拡張された音が含まれており、「伝統的な」チェンジから離れていきます。最終的には、コードをよりモード的に考え、各小節をそれ自体が音の中心であると考えるようになります。このアプローチは、古いものから新しいものまで、ジャズのレパートリーの広い範囲で効果的に演奏するための準備となるだけでなく、複雑に見えるコード進行を素早く解読し、それらがどのように構成されているかをよりよく理解するのにも役立つでしょう。各章では、メロディックなベースラインで構成された32小節のエチュードを提示し、コード進行の進め方を説明しています。最後の例は、ライブでコード進行を渡されたら、私が演奏する場合を記載しています。グルーブ感やスウィング感を高めるために、装飾音やゴースト・ノートや他の手法をもってアップライト・ベースの言語を表現しています。次のページでは、本書に付属する無料のオーディオサンプルのダウンロード方法をご紹介します。それぞれの例題の音を正確に聞くことで、学習効果が高まるので、ぜひダウンロードしてみてください。それでは、さっそく始めてみましょう

あー、長かった。要は2-5-1-6の進行をリハモした例を15個出してそれぞれジョン・パティトウッチだったらどう演奏するか、その例を提示してくれているってことですね。なんという親切な。確かにエチュードのリハモをみるとわけわかんない。これはかっこいいぞ。

音源はこちらからフリーでダウンロードできます。上の”Download Audio”をクリックし、”Bass”をクリックしてこの本を選んで、自分のメアドを登録するとダウンロードできます。買う前に聴いてもいいですね。

(訳)2 beatを理解するために:
この本の各章は、2つのセクションに分かれています。1つ目のセクションでは、ツービートで演奏するアイデアを紹介し、2つ目のセクションでは、従来のウォーキング・ベースラインを紹介しています。"2ビートで演奏する"というのは、ジャズの初期の開拓者たちにまでさかのぼります。簡単に言うと、小節のすべての拍に音があるウォーキング・ラインを演奏する代わりに、2ビート・フィールは1拍目と3拍目を強調します。その後、ジャズが進化し、他の楽器(特にドラム)が2拍と4拍のグルーブを強調するようになると、ベースでこのアプローチを取ることで、音楽をスウィングさせながらも空間を作り出すことができるようになりました。ジャズの発展に伴い、現代のジャズ・ベーシストは1拍と3拍だけで演奏することはなくなりましたが、一般的にはハーフタイムで演奏し、ベースラインにメロディックなフレーズやフィルを加えていきます。2拍子で演奏することは、メロディが息をする余地があるため、曲の頭を演奏するときに効果的です。また、ジャズ・アンサンブルがソロを始めるとき、ベーシストがウォーキング・パターンを演奏するときにも、2ビート・フィールはどこかに行き着くことができます。ツービート・フィールは、AABA形式の曲(リズム・チェンジズなど)でも効果的に使うことができます。Aセクションはハーフタイムで演奏され、Bセクションはウォーキング・パターンに従います。ツービート・フィールは、すべての偉大なミュージシャンの演奏において重要な特徴となっています。レイ・ブラウンやロン・カーターは、半音階的な経過音やインターバル、ハンマリングオンやプリングオフなどの装飾を取り入れて、ツービート・フィールの演奏にスパイスを加え、私にインスピレーションを与えてくれました。イスラエル・クロスビー、ポール・チェンバース、ジミー・ギャリソン、デイブ・ホランドも私の演奏に影響を与えました。ビル・エヴァンス・トリオで自由に演奏していたスコット・ラファロやエディ・ゴメス(これも私に大きな影響を与えました)のようなベーシストは、先行していたレイ・ブラウンのようなプレイヤーの影響を受けながらも、自分の道を切り開いていきました。2ビートを効果的に演奏するためには、タイム感、フィーリング、グルーブ感、スウィング感をしっかりと身につける必要があります。グルーヴやスウィングを定義するのは難しいですが、それが起こっているときは誰にでもわかります。4小節間を歩くときにタイムを刻むのは簡単ですが、スペースがたくさんあるときには難しくなります。この分野のスキルを磨くために、練習に組み込める2つのエクササイズを紹介します。エクササイズ1は、シンプルな2拍子のベースラインで、12キーすべての2-5のコード進行を想定します。まず、メトロノームを使って、自分が演奏しやすい適度なテンポに設定します。この練習曲を演奏する際には、音符の選択、タイム、フィーリングの両方に注目することが重要です。しかし、なんの音を弾くよりもどれくらいの長さでどんなフィーリングで弾くかを優先してください。正しい音を弾いたとしても、タイム感(音の長さ)とフィーリングが優れていなければ、ベースラインは死んだ音になってしまいます。メトロノームを使う。ジャズのスイング感は、アフリカ音楽の6/8拍子に由来する3連符の微妙な引きと押しによって生み出されます。この3連符の感覚は、各ビートをより広く感じさせ、ある音はビートの後ろに、ある音はビートの前にフレーズする余地を与えます。すべての音を断続的に「数値化」された方法で弾くと少し硬すぎると感じますが、より広い三連符フィールを探求すると、メトロノームですらスイングし始めるかもしれません!一見すると、エクササイズ1は初歩的に見えるかもしれませんが、2分音符をスイングさせることができないならば、4分音符をスイングさせるのに苦労するでしょう。

うう、耳が痛い。たしかにウォーキングベースといえば四分音符が基本で、それに三連符フィールを加えるのが鉄板です。しかし曲の冒頭で2ビートで始めるのは当たり前なのにそのあたりが結構適当です。テンポが半分なのでなんかモッタリしがちなんですよね。その辺について書かれた教則本って他にみたことないな。

最後にこの教則本の結論を訳します。

(訳)おわりに:
この本の目的は2つあります。1つ目は、皆さんが学んだエチュードで示された、一般的なジャズの進行の上で、よく考えられたメロディックなベースラインを作曲するための私のアプローチを伝えること、そして2つ目は、グルーブの重要性を強化することです。2拍子のフィーリングを鍛えることで、タイムとグルーヴについての理解が深まったと思います。拍子とグルーヴは、すべてのハーモニーの伝達手段です。音楽に関する深い理論的知識を持ち、指板/フレットのすべての位置の音を知り、高度なアイデアを明確に述べることができても、時間とグルーヴが欠けているためにロボットのような音になってしまうことがあります。ジャズで人々がヒップだと思っていることは、主にリズムによって伝えられているのです - なぜならリズムがバックボーンだからです。今後は、アコースティック・ジャズ・ベースの巨匠たち、特にレイ・ブラウンやロン・カーターの音楽をできるだけ多く聴いてみてください。彼らは、音の長さを変えたり、ゴーストノートを弾いたり、ハンマーオンやプルオフでフレーズを表現したりすることで、面白みや動き、深いスウィング感を生み出しています。これらのアーティキュレーションがベースラインを生かすのです。自分の好きなスタンダードを1つ選び、複数のバージョンを聴いてみるのも有効な方法です。それぞれのバージョンで、ベーシストがその曲をどのように表現したかをチェックしてみましょう。彼らはどのようにアプローチし、音楽をどこへ持っていったのでしょうか?ハーモニーをどのように操ったのか?勢いをつけるために、あるいはフィーリングを引き締めるために、彼らは何をしたのか?その曲のお気に入りのバージョンを書き起こしてみましょう。何よりも、楽しんで、学ぶことをやめないでください。ベースの演奏、特にジャズベースの演奏は、一生の仕事です。できるだけ多くのソースから学び、インスピレーションを得てください。

いやー、いいこと書いていますね。溢れるレジェンドたちへのリスペクト。ほんとにジャズが好きな人みたい。ほんとにかっこいい。

中身はkindleでも買えますし洋書にしてはお手頃です。最近はなんでも安く手に入るようになって素晴らしい。

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ジョン先生の他の教則本はコチラ。

体系だったジャズベースを読みたい方はコチラ。



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