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トライタイプ549の桃太郎 ~序章~

ある日、桃が流れてきた。

桃の中の赤ん坊(ふむ…外界とはどのようなものか。今のこの知識の無い状態で外に晒されるのは甚だ不安ではある⑤)

婆(ほう…?巨大な桃が流れてくる。あのような桃は初めて見るぞ、興味深い。何とか持ち帰って調べてみたいものだ⑤)

婆は1人で持ち帰るのは難しいと判断し、爺を呼んできた。

爺「おお、これは珍しい。婆さんや、共に持ち帰り、どのような種類の桃なのか調べてみよう⑤」

赤ん坊(外が騒がしいな…俺が中にいることにはまだ気づいてないのだろうか。俺の存在をアピールしてみようか?④)
婆「すもももももももものうち(自己アピール)④」
爺「青巻き紙赤巻き紙黄巻き紙(自己アピール)④」
婆と爺は早口言葉に打ち興じながら、ふたり仲良く巨大な桃を家まで運んだ。


赤ん坊(ここは暖かく静かで居心地が良いな、ずっとこのままでも良いか⑨)
婆「爺さんや、いつもの夕げの時間じゃよ。桃の事はめんどくせーから明日でも良かろう⑨」
爺「まあそうじゃな。時間になると腹がすく。明日にしとこか⑨」


明日が来た

赤ん坊(よくよく考えてみるとこのままで良いはずがない。何よりここにいても知識が入ってこない。外界の情報が欲しい⑤)
婆「爺さんや、wikiで調べてみたところによると
モモ(桃、学名: Prunus persica)はバラ科スモモ属の落葉低木から小高木。また、その果実や花のこと。
概要 モモ
中国原産。食用・観賞用として世界各地で品種改良されて栽培される。春には五弁または多重弁の花を咲かせ…
~中略~
…この語源以外に、(専ら女性の)モモのような形をした尻を表現する際に使われている。
…とのことだそうじゃよ⑤」
爺「ふむ…ふむ、なるほど。桃とは斯様なまでに古くから人間の生活文化に深く根を下ろしている果実なのじゃのう…おもしろいおもしろい⑤」

赤ん坊(なんかイライラしてきたぞ…こんなベトベトした世界、自分からおさらばしてやろうか④)
婆「そうじゃ爺さん!この珍奇な桃が我が家にやって来た事を祝して、ポエトリーリーディングでも行おうか④」
爺「おっそりゃあ楽しそうだ。とっておきのポエムがあるんじゃよ、どれどれ④」

桃が割れた

赤ん坊「ダーーーーッ!!!!!」

婆「ワーーーーッ!!??!??」

爺「ワーーーーッ!!???!??!?」

ベトベトの赤ん坊が現れた!!

赤ん坊(爺と婆がおる、えらい驚いてやがるな…まあどうとでもなるだろ⑨)
婆(あか…赤ん坊が桃から出てきよった!!たまげたなあ…まあどうとでもなるか⑨)
爺(まあなんでもええやろ⑨)

赤ん坊「ま、こうなってしまったからには仕方がない。爺さん婆さんや、ひとつ我に相応しい名前を付けてはくれないか。名前とは存在を担保するものであり、何より自と他とを区分するものでもあるからな⑤」
婆「なるほど…確かに、名前を付ける事によって対象が他と区別されるということは日常に於いても実感として分かる。名前が無ければお主は単なるどこにでもいる平凡な赤ん坊でしかないからな。爺さんも、そう思わないかえ⑤」
爺「巨大な桃の中から突如現れた喋る赤ん坊が果たして平凡と言えるのかは大きく疑問であるが、まあ言いたいことは理解できる。さて、どんな名前が良いかの⑤」

赤ん坊「モーモモモーモ=モモ~Ⅱ世が良いな!!④」
婆「いやいや、弱いな!独自性を追及するならザブリエラドンブラコMomoヤッテキタyo太郎はどうじゃ?どうじゃ???④」
爺「どうもお前らは常識に囚われた発想しかできないようじゃのォ こういうのはシンプルが最も目立つのじゃ!桃太郎、これしかない!!④」

赤ん坊「イイヨー   鼻ほじ⑨」
婆「まあ(面倒だし)いいんじゃない⑨」
爺「うむ、(どうでも)いいよな!⑨」


こうして、桃太郎が誕生した。


(気が向けば続く)

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