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栄養サポートチーム(1)

ぴたっと筆が止まっているぴろ☆です(笑) とはいえ、仕事上の書類やスライド、様々な書類などは、そりゃ仕事ですからね、書いたり作ったり。Wordで書類を作ることは、本当に少なくなりました。あ、noteはWordで打ち込んだものを推敲して、コピペしておりまする。

 それで、先週と今週は結構忙しかったのです。11月末に、近隣の病院で、NST勉強会で私が講演、一方今週頭には、先方の病院の先生に来てもらって、いわば交換でこちらのNST勉強会で講演。

 はい?

初出だ?

そうですね、いけません💦 初出の略語はきちんと full sentenceで書かなくては。

 NST:Nutrition Support Teamというのは、日本語ですと「栄養サポートチーム」といいます。今日はこの話題にしましょうか。よくよく考えたら、書いていなかったな。

 栄養サポートチームについてお話をするには、まず衝撃的な話をしないといけません。病院の食事というお話。入院すると、当然1日3回病院食、というのがもれなく出てきます。もちろんご病気や治療や検査で絶食が必要な時は出てきませんが。普通はお盆にのって、給食の台みたいなのに乗せられて出てきます。一応紙が乗っていて献立が書いてある場合もあります。うちは、なぜか週の献立がデイルームに張り出してあるだけです。なんか不親切、と個人的には思ってますが、ペラペラの紙が捨てられるのを考えたら、ペーパーレスに近づけてる、と言えなくもないのかな?

 で、その食事ですが、どうですか?入院したことのある方。美味しいですか?

ふつー。まずい。めっちゃ美味しい!

このどれかだと思いますが。では、その食事を食べて、元気が出てきますか、病気が治るような気になりますか?これも個人差があるよね。

なにはともあれ、病院で出てくるんだから、それを食べてれば少なくとも栄養不足になることはないよね。

ほんと?

 それを調べた先人がいました。その方は、論文の題名をこう書きました。

“The skelton in the hospital closet”(病院というクローゼットに隠された骸骨)と。(Butterworth CE, Nutrition 10(5) 442,1974)

拾い物画像です…


もはや原本は読めていないのですが、つまり、入院患者の30~50%に栄養障害を認めた、というアメリカの論文が発表されたのです。決して入院しているからといって、栄養管理がしっかりできていたわけではなかったということです。(ちなみにもともと”The skelton in the closet.”というのは、「隠された秘密」という隠語だそうで、皮肉も込められているのでしょう。)

僕自身も2003年に勤めていた病院の内科病棟で、栄養障害だと思われる、血清アルブミン値3.0g/dl未満の人を試しに数えたら、43%ぐらいでした。それから栄養状態が改善した人はわずかだったと記憶しています。大変ご高齢の方が多くて、だんだん食べられなくなっている中で、不十分な食事摂取と、不十分な点滴などが実施されていたからです。

そこでさっきの栄養サポートチームの出番!となるかと思われますが、実はそうではないんだなー。ナニコレ、フリ?

 世界最初のNSTは、実は血管から栄養を入れる、「中心静脈栄養法」(TPN: Total parenteral Nutrition )これを管理するためのチームとして、1970年初頭にアメリカで始まったのです。ボストンとかシカゴとかそのあたり。いや、ほんとに偶然ほぼ同時期に始まった。それまで、点滴といえば、生理食塩水やブドウ糖といったものだけで、栄養と呼べるようなものはありませんでした。栄養状態が悪い状態で手術を受けなければならなかった患者さんたちは、その後に起こる合併症(感染症、縫合不全、腹膜炎)などに苦しんでいました。それを救ったのが、1967年に初めて、幼犬から成犬までを点滴だけで成長させる実験に成功したStanley J. Dudrick 先生でした。そこからTPNが急速に広まりましたが、何せ新技術は最初はトラブルも多い。そのため、医師と看護師、薬剤師でTPNの管理チームを作り始めました。それに時を同じくしてBlackburn先生が「栄養士たるもの、患者さんの栄養状態を評価しに、病棟に上がらなくてどうする!」ということになり、ベッドサイドでの栄養アセスメントが始まりました。こうして、医師・看護師・薬剤師・(管理)栄養士の四大職種で構成される、栄養サポートチーム、NSTが創設されました。

アメリカでは、NSTというと専任チームです。つまり、朝から晩まで患者さんの栄養管理、それだけ!やる。独立した部門です。これを日本にも1990年代に一度持ち込んだ。ただ、日本で患者さんの栄養管理だけ!やる、特にお医者さんとかを設定すると、当時としては「そんな余裕はありませんよ」ということになりました。ちゃんとそれ以外の仕事もしてよ、ということ。そこで、かつての我がボスが登場してくるのですが… 今日はここまで。
ではー。