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医療の人材紹介・コンサル会社が、医療を軽んじてはいけない

私は医師と薬剤師の人材紹介に10年以上携わってきた。
中途で現在の会社に入社を決めた理由は、
・興味がある人材紹介業界の中で、ニッチで特徴があり、専門性が高いことと感じたから。
・前職は大きな企業にいて、経営なんて何も見えなかったため、30人程度の経営層まで見渡せる規模が魅力的だった
・事業部長が今まで会ったことがないような人で、実直で熱を帯び、信じようと思える人だった。
と言った点。

正直なところ、それまで医療に強く興味を持ったことはなかった。
ただ未知の分野に入り、またイチから学んでいくことへの楽しみやワクワクが強かった。
その楽しみやワクワクのまま突っ走り、
悔しく、もどかしい思いもしながら、これまでやってきた。
そして入社当時の自分の感覚は間違っていなかったと感じる。

自分からすると、もはやこの業界がニッチな気はしないのだが、、、
ほとんどの方からすると、普段関わることがないだろうし、やはりニッチなのだろう。
特に自分が主に関わる医師の人材紹介は、相当に特殊な採用環境だ。

医療人材は、職種にもよるが多くが強烈に売り手市場。
特に医師や看護師は、圧倒的に求人数が多く、候補者を見つけ出すことすら、採用側(医療機関)は四苦八苦している。

なので人材紹介会社は、仕事を探す候補者(求職者)を確保することが、ビジネスの最も重要な点となる。
人さえいれば、採用してくれる先がいくらでもあるのだ。
一般の人材紹介も最近は売り手市場と言われているが、度合いは比にならない。
候補者がいますよと伝えれば、ぜびぜひ連れてきてくれ!と懇願される。

すると、何が起こるか。
人材紹介会社は調子に乗るのだ。
自分達が強い立場だ、と勘違いする。

採用側(医療機関)には強気で接するようになる。
採用側のニーズを大して聞かず。
とにかく候補者を押し込もうとする。
成功報酬は当然のように高めに交渉する。
(この点はその分、候補者確保のために、かなりの費用と手間をかけているということは補足しておく。)
あげくに、嘘をついてでも、とにかく話を進めようとする。

全く人ごとではない。
自分に、自組織に、こんな驕りが現れていることがないか?
断続的に思い返す必要がある。
我々は採用側からお金をもらっているのだ。

そしてビジネスを成立させるために、持続させるために、
採用側が喜ぶことをしようというレベルでも、また違うと思っている。

医療は、安心した生活のベースのひとつだ。
医療従事者の貢献意識と行動、国や公的な組織の先を見据えた政策、とりまく関連企業、ボランティア、患者の適正利用、、、
ただのビジネスの発展では成り立たない。

10年ほど前に、とある病院の院長から呼び出され、緊急の人材が紹介できないことを咎められた。
やれることに限りがあるし、他の病院の求人でも紹介できているところの方が少ないのだ。
クレームを受けるつもりで行った。
言われたことは、
「人の生き死を背負っているんだ。できませんでした、では許されない。」
という言葉だった。
自分は、軽んじていたのだ、と思った。

その院長が、いち人材紹介会社にこんな言葉を言うことの良し悪しは分からないし、
こんなことを言われたのは、この仕事をやってきて、この時限りだ。
伝えていただき、とても有り難いと今思っている。

人材紹介はたいしたスキルが身につくわけでもない。
しょせん横流しだ。
医療のことなんて分かっていなくても、詳しくても、まああまり関係ない。
自分達は医療関連ビジネスだが、医療そのものではない。

そう思われることも、言われることもある。
それより問題なのは、
誰より、自分達がそう思ってしまってることではないか?
自分達が自らを軽んじること。
それ自体が医療を軽んじることでもある。

医療従事者ではないが、医療を支える存在でありたい。
医療の未来を創る存在として、自分を捉えよう。
そんな自分が、医療そのものをより機能的にする、インパクトある会社や業界を創る。

いち会社員で、たいした役割も経験もない自分なので、正直偉そうに書きすぎで恥ずかしいが、、、
人に笑われてもいいという覚悟が最も必要かもしれない。

どんな立場でも構わないので、
少しでも賛同して、共にやってみようかと思ってくれる方々がいたら、
とても嬉しいです。

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