見出し画像

海外MBA生活③(Term3振り返り)

こんにちは。カープ男子です。Je suis un homme Carp.
いつもありがとうございます。無事Term3も完走できました。

備忘のため、そしてこれからMBA受験をご検討される皆様のため、Term1,2と同じくTerm3を①アカデミック、②ソーシャル、③就職活動、④プライベートの4軸で振り返ります!

Term3はインテンシブなHEC Certificatesを履修していたので、アカデミック多めの振り返りとなります。

1.アカデミック:HEC Certificatesとは?

概ね4月中旬から5月下旬まで実施される1か月強のインテンシブなプログラムで、MBAだけでなくHECの他のMasterや外部の学生も参加します。アカデミック色が強い通常クラスとは異なり実務家が講師となってより実践的な内容の講義を提供します。2024年は、以下の11の​Certificate programsが開講されました。

・Climate & Business(with Schneider etc.,)
・Inclusive & Social Business(with Danone, Schneider, Ashoka etc.,)
・Strategy for Impact(with Mazars)
・Data Science for Management(with Natixis)
・Energy & Finance(with Société Générale)
・Mergers & Acquisition(with Credit Agricole)
・Private Equity & Infrastructure(with Bain & Co)
・The Future of Money and Payments(with Worldline)
・Entrepreneur ship in a Digital Age(with founders)
・Engagement & Commitment inspiring Excellence(with LVMH)
・Influencial Luxury(with Kering)

最大の特徴は各Certificateに企業がパートナーとして参画している点です。フランスを代表する企業が直面する(してきた)課題についてプロフェッショナルから直に学ぶことができるのはHECならではの貴重な機会ではないかと思います。Certificateによっては社員による講義だけでなくオフィスを訪問する様なプログラムもあり、ネットワーキングの機会としても魅力的です。

選考スケジュール

10月:各プログラムの説明会(オンライン)
11月:応募締切:第1-3希望までを選択し、CVとエッセーを提出
12月:合否発表
翌4月:プログラム開始

Social & Inclusive Business Certificate

私はSocial & Inclusive Business Certificateを受講しました。その名の通り、PovertyやDisabled、Refugee等で苦しむ人たちに対して企業がどうアプローチしていくかを体系的に学ぶプログラムです。自分は企業による雇用創出という側面に関心が強かったので、このCertificateを第一志望として応募しました。
主にTheoretical part/Experiential learning partの2本柱で構成されており、DanoneやSchneiderといったフランスの大手企業の他、AshokaやAction TankといったSocial Business支援企業、NPO等がパートナーとして参画しています。
https://www.hec.edu/en/inclusive-social-business-certificate

プログラムスケジュール

・2024年は4/22~5/31に開講。土日祝日はお休み。勿論MBAT期間もお休み。
・平日は基本的には午前3hr+午後3hrというインテンシブなカリキュラム。
・週1回のField ProjectのGroup Workの日はGroupの進捗によるが1hr程度のみ。

参加者の構成

2024年は総勢19名と少人数で開講されました。内訳は以下のとおり。
【プログラム別】
MBA2名(S23 2名)、EMBA1名、他Master9名、Non-HEC7名
【国籍別】
アフリカ4名、フランス3名、その他欧州中東3名、中国3名、北中米2名、南米1名、インド1名、東南アジア1名、日本1名

Diversity溢れるメンバー

プログラムの内容

1.Theoretical part
主に講義形式で、様々な角度からInclusive businessについて理解を深めていきます。Social Impactの測定やSocial Finance等の理論から、大企業によるImpact投資やSocial entrepreneurによるFounder's historyの紹介等の実践的な勉強まで、非常に中身の濃い内容でした。Social & Inclusiveというテーマに絞って約100時間を費やすので、同分野に対して相当に知見が深まります。MBAではSocial & Inclusiveの観点で深堀する機会は無かったので、そういう意味でも自分にとっては良い選択でした。

クラスの内容としては、事前にケースを読んできて冒頭に理論の説明、後半でグループディスカッション→解説、という流れが一般的でした。ビジネスバックグラウンドの学生が少ない(他MasterはSustainable専攻が多い+就業経験のある学生は少ない)ので、理想論に偏り過ぎずビジネスの観点から意見を述べることが自分に期待されている印象でした。
著名な社会起業家のDaniela Papi-Thorntonさんが言っていた「すぐに解決できそうな表面的な問題ではなく、社会システムを変えられるようなIssueに取り組むべきだ(意訳)」と言うメッセージは非常に印象に残っています。それ以外にも社会起業家の皆さんは情熱的で真に社会を変えたいという思いで行動している人が多く、話を聞いて非常にモチベートされました。

2.Experiential learning part (実習3日、準備5日)
1グループ3-4人で5つのグループを作り、グループ毎にアサインされたNPOと協同して新しいビジネスモデルを提案します。
Certificateの開講初日は、19名全員でSocial businessに注力している物流会社(NPOとのJV)の倉庫を訪問しHEC Alumniの話を聞いてフランスにおける失業者支援の仕組み等を学びました。フランスには長期失業者や難民等に就業の場を提供する企業を政府が支援する仕組みがあります。この物流会社もその仕組みの中で活動する会社の一つで、失業者に最大2年間の雇用契約で職業訓練の場を提供し、OJTに加えてフランス語の習得機会を設ける等安定した職業に就くための就業支援を行っています。

その翌日から3日間は同様のスキームでSocial businessを推進するNPOをグループ毎に訪問してヒアリングや実務訓練を行いました。筆者のグループ(カナダ人、インド人、コートジボワール人、日本人)は家電のリサイクル・販売業を営むNPOを担当しました。この3日間の実習で得た知見をベースに新規事業の検討を進め、Certificateの最終日(5/31)に教授や企業担当者の前でFinal Presentation(Jury)を行う流れとなります。(別途10枚程度のExecutive Summaryも提出)

機密保持の関係もあり詳細は書けませんが、今まさに企業が取り組もうとしている新規事業について、Social ImpactとBusiness Profitをいかに両立するかという観点で検討を進めるのは非常に面白くやりがいのあるプロジェクトでした。Action TankというSocial businessに特化したコンサルティング会社の担当者からも定期的にアドバイスを頂くことができ、通常のプログラムでは経験できない貴重な機会となりました。学校からも企業からも良い評価をいただくことができました。

実習先の現場の様子
実習先のオフィスで

その他振り返り

他Masterの学生やHEC以外の学生と接点を持てたことも大きなTakeawayの一つでした。20代半ばくらいのビジネス経験の浅い学生とチームを組むので、経験のあるMBA生はリーダーシップをとることが期待されています(クラスでも積極的な発言が求められる)。ある程度同じ前提を共有しているMBA生とは異なるメンバーでグループワークをする難しさや、ビジネスのことは人より知ってて当然という期待値の中でワークを進めていくのはそれなりにタフでしたが、非常に得難い経験となりました。(例えば私はHR経験しかないですが、競合分析やコスト計算をして新しいサービスの価格設定を提案しました。)

また日本人が少ない環境もMBAとは違った面白さがありました。(S23入学の場合、普段はクラスに7-8名は日本人がいる。)他Masterには日本人と会うのが初めてという学生も多く、日本に強い興味を持ってくれていたので積極的に交流を深めることができました。

当初予定されていた企業とのネットワーキングイベントがキャンセルになったのは残念でしたが、それを補って余りあるTerm3となりました。(少人数のクラスなのでクラス後に講師と親しくなることもできました。)
自分はこのCertificateを通じて大きく考え方が変わり、同じ起業をするにしてもSocial Impactを意識したビジネスに取り組んでいきたいと考えるようになりました。
他のCertificateに参加した同級生の話を聞いていても満足度は非常に高い印象なので、ご興味を持った方は是非受講してみて下さい。

Certificateメンバーで参加したLATAMナイト

2.ソーシャル

別れの季節

前回も記載した通りTerm3は別れの季節。Term4には1/3くらいの同級生が交換留学やDouble degreeでキャンパスを去っていくので、夏休み前のTerm3が全員が集まる最後の機会になります。ということで5月中旬~下旬は飲み会Rushでした。
Industry ClubのPresidentがアメリカに行くので壮行会をしたり、上記CertificateにMBAから2人で参加していたペルー人と送別スパーリングをしたり、Language exchangeをしていたフランス人がキャンパスを出るので家で飲んだり、勿論日本人仲間とも飲んだり。。こんな日々だったので結構センチな気持ちになりました。でも、これからの人生、世界中どこにいてもなんだかんだ連絡を取り合ったりするだろうなという友人が何人もできたのは良かったです。やっぱりHECは根が良い人が多い気がします。

ボクシングチーム🥊
友人🇵🇪にもらったグローブは宝物

クラブ活動

お別れ関係以外でいくと、Industry Clubでの活動を継続することになりました!本来J24世代にバトンを渡すのですが十分にメンバーが集まらず、S23世代で再度メンバーを構成することになりました。まだまだ製造業は人気が無いなぁと再確認したので、引き続き情報発信に努めます。せっかくの機会なのでTerm4では何らかのネットワーキングイベントを企画したいと思います。

Industry Club送別会
他メンバーの企画。オリエント急行!!

その他

日本人の友人のお誘いで、パリのKura Masterという酒イベントにも参加しました。日本から多数の蔵元が出展して品評会を行うイベントで、一般の人はその後夜祭の様なテイスティングイベントに参加できます。
1,000種以上の日本酒・焼酎・梅酒等を無限に飲めて15€!(しかもお土産で3ボトル付!)これは来年も行くしかないなと思いました。
一応、将来日本酒関係で起業をしたいなという思いもあり、参加している蔵元の方や参加者とも交流しました。その方々も言っていましたが、感覚としては日本酒が好きというよりは日本が好きという感じで、まだまだワインの様な世界酒になるにはハードルがあるように思いました。ただフランスの日本文化への愛は確かなものがあるので、チャンスもあると思います。引き続き飲みながら勉強していきます。(2023年度の日本酒学セミナーも受講しました。)

Kura master
2023年度日本酒学セミナー履修完了

3.就職活動

インターン

Search fundでもパートタイムインターンを始めました。将来の起業を考えた時にVCやSFといった投資家側の視点も勉強しておきたいと思ったのが参加意図ですが、予想以上に学びが多いです。
業界構造や企業の財務状況までマクロ・ミクロに短期間で調査を進めるのは非常に実務的で、MBAでの学びも大いに活かすことができます。まだまだ勘所が悪いし、どうも定性的な分析になりがちなので、この機会を活かして力をつけていきたいと思っています。仏スタートアップでのインターンもメンバーとの顔合わせが始まったり、事業会社でのインターンも引継ぎが始まったり、ちょっと忙しくなってきましたが、せっかくの機会なのでしっかり学んでいきたいと思います。

Viva viva viva Tech

またフランスでは世界最大規模のスタートアップイベントであるViva Techが5月に開催されました。何とHECの学生は無料!なので、1日だけ参加してきました。
著名な起業家の講演があったり、何百社のスタートアップのブースがあったり…凄い熱気を感じました。フランスではスタートアップが日常に溶け込んでいるような印象で、日本も同じような環境になれば選択肢が増えていいのにな等とよく分からないながら考えていました。
ちなみに日本人同級生が結構ブースの手伝いをしていたり、HECならではの光景もありました!海外展開に積極的な日本のスタートアップも多く、ネットワーキングの場としても最適な環境だと思います。

大盛況!
イーロンマスクとのトークイベント(online)

4.プライベート

Intensiveなクラスだったので海外旅行には行けませんでした!が、MBAT期間のお休みを活かして、パリ近郊の街にピクニックに行ったりしました。

やっぱり素敵なベルサイユ宮殿
JPサルトルの墓@モンパルナス墓地
絶景のサンジェルマンアンレー

また、予定通りパリに引っ越しました!オリンピック前で難航するかと思いましたが、運よく気に入った場所で日本人好きの大家さんに出会うことができトントン拍子で入居が決まりました。
また数日しか住んでいませんが、ダイナミックなパリの中心に住むのはとても楽しいです。セーヌ川まで5分なので無駄に走ったりしています。第2章としてパリでの生活も楽しんでいきたいと思います。

パリの街並みは毎日見ても飽きない

長くなりましたが今回はこのあたりで。夏は日本への帰国、インターンシップ等色々ありますので、またTerm4が始まる前に夏休みの振り返りを書こうと思います!ちなみにTerm4はData&AIのSpecializationを履修します。これも起業家と関わる機会が多くて楽しみ。それでは!

受験の相談等受け付けています。お気軽に以下までメールください!carpman024@gmail.com

Jouyの寮生活は忘れないと思う

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?