第60話『地下の怪物』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第60話
『地下の怪物』
地下鉄を進む二人はある匂いに気づく。
「イタッチ、この匂いは……」
「ああ、火薬の匂い……。近くでやり合ってるな。急ぐぞ」
イタッチ達が急いで匂いのする方へと走る。すると、匂いだけではなく銃声も聞こえ出した。
「イタッチ、この先だ」
角を曲がりその先を見ると、迷彩服を着た兵士達が銃を持ち、何かに向かって発砲している。
「クソォ、なんだこいつ。全然銃が効かない」
「撤退の許可はまだ降りないのか!!」
兵士達が銃を撃ち続けているのは、三メートル以上の身長を持つ巨大なネズミ。
ネズミの周囲には噛みちぎられた兵士たちが転がっている。
「イタッチ……あれは」
「ああ、あれがギガンズだ」
イタッチは折り紙を折って剣を作る。
「戦ってるのはシュトレン。ギガンズを調査している団体だ」
「助けに行くのか?」
「お宝はこの先だ。やるしかないだろ」
イタッチが行くとダッチも追いかけて飛び出す。一番後ろにいた兵士の一人がイタッチ達に気づいた。
「な、なんだ君たちは!?」
イタッチとダッチは兵士達を飛び越えると、奥にいる巨大なネズミに斬りかかる。
二人の武器がネズミの毛皮にぶつかり、激しい金属音を鳴らした。
二人の攻撃を受け、怯んだネズミは一旦後ろに下がる。
イタッチとダッチは地面に着地すると、ダッチは刀を確認した。
「刀が弾かれた……。なんだあの硬い毛は」
「あれがあいつらの特徴だ。あんな怪物、何度か戦ったことがあるだろ?」
イタッチに言われてダッチは思い出す。
海底や極寒の洞窟に生息していた巨大な生物の存在を。
「あの怪物と同類だって言うのかよ……」
「そういうことだ」
イタッチとダッチが武器を構え直すと、ネズミは威嚇するように毛を逆立たせる。
そして身体を前のめりにさせて真っ直ぐ向かってきた。
「来るぞ」
「分かってるよ」
イタッチとダッチはそれぞれ左右に分かれ、両端からネズミに斬りかかる。巨大なネズミはどちらを攻撃するか、一瞬迷いその隙に攻撃を喰らってしまった。
だが、左右からの攻撃を喰らってもまだ元気なネズミは、イタッチの方へ身体を向けると鋭い爪で襲いかかる。
イタッチは剣を捨てると折り紙で盾を作り、盾で身を守る。イタッチがネズミの攻撃を防いでいる間に、ダッチはネズミの背中に刀で大きく切りつけた。
「ダッチ、やれたか?」
「いや、まだだ!!」
かなりのダメージは与えられたはずだが、それでも倒れないネズミ。だが、これ以上の攻撃を受けたくはないのか、攻撃をやめると通路の奥へと走っていき姿を消した。
「逃すか」
ダッチは追おうとするが、イタッチが止める。
「下手に追うな。ここはあいつのテリトリーだ、何があるか分からない。それに……」
イタッチは兵士達の方を向く。
「彼らに聞けばお宝の在処が分かるかもしれないしな」