水平線

巻貝は巻貝に生まれ　
巻貝の化石となり
巻貝の化石のブローチとなる
 
きみは巻貝に問う
のぞまずに得られたうつくしさは　さいわいでしょうか
巻貝は　はるかな銀河をまわす　速度をあげて
 
巻貝はきみに答える
初めて貝を目にした子どもの瞳のうつくしさこそ
さいわいとよぶべきものである
 
きみは巻貝をひろって
水平線にむかって放り投げる
うつくしいブローチになれるよう　遠くに
 
遠くなんてどこにもないと　巻貝は知っている
水平線には　何のきざしもなく
はるかな銀河は　高速でまわりつづける