機械学習モデル開発プロジェクトの体験ハンズオンを公開しました
機械学習モデルでビジネス価値を生むには、プロジェクト参画メンバー間の協力が欠かせません。当然の話ですが、データサイエンティストを含めたチームにおける「協力の仕方」を学べるコンテンツは多くありません。今回リリースしたハンズオンのコンテンツは、機械学習モデルの開発方法を学ぶプログラミング演習と、プロジェクトの中で関わるロール、例えばプロダクトマネージャーや業務有識者(ドメインエキスパート)とどのようにコミュニケーションをとるかを学ぶコミュニケーション演習から構成されています。
https://github.com/aws-samples/aws-ml-enablement-handson
ハンズオンはすべてAmazon SageMaker Studio Labで動かせます。
すでに1度ハンズオンを実施しており、30名前後の方に参加いただきました。5段階評価で4.2と満足度は上々ですが、より実践的なコンテンツにしていくべく今後もアップデートをしていきます。具体的には、機械学習を扱うプロダクトマネージャーの動画を見漁った結果得られたノウハウや、ハンズオンを実施した後のフィードバックを反映していきます。
最終的には機械学習をプロダクトに活用したいチームにとって最適な1冊の本にできれば、と考えています!(GitHubで★を頂けると励みになります!)
ここからはハンズオン作成の背景を紹介していきたいと思います。
協力の仕方を学ぶ必要性
Forkwellさん主催のML Study #2で「MLOpsのこれまでとこれから」と題し発表をさせていただきました。その中で、既存のソフトウェア開発プロセス(DevOps)と機械学習モデルの開発プロセス(MLOps)を連携させるには、最大18のロールが関わることを伝えました。
18のロールはAWSのML Lensを参照しながらプロセスに配置し、有識者のレビューを通じブラッシュアップしました。特に機械学習モデルの開発プロセスでは、左から右に進むために関係するロールが多いことがわかります。
野球よりもサッカーよりも人数が多くオーストラリアンフットボールのチームと同じだけ担当者をそろえるのは至難の業です(調べたところはオーストラリアンフットボールは1チーム18人のようです。トップの画像は一般社団法人日本オーストラリアンフットボール協会様のページより引用させていただいています)。ソフトウェアエンジニアがデータサイエンティストの代わりをしたり、DevOpsエンジニアがMLOpsエンジニアを兼任するといったケースが想定されます。不足するロールを誰が補うのか決めておかないと、プロセスの担当が漏れてデプロイできない憂き目にあうことが必至です。協力がやはり不可欠なのです。
協力の仕方を学ぶ教材の不足
「協力の仕方」を練習する教材はあまり見かけません。経済産業省の認定する専門的・実践的な教育訓練講座(第四次産業革命スキル習得講座認定)ではクラウド、IoT、AI、データサイエンスに関する93講座が認定されており、そのなかでAIとデータサイエンスに関する講座は78ほどあります(2022/4時点)。講座の対象は個々のエンジニアでありチームではありません。ビジネスに活かすための実践的な内容を謳っている講座もあり、その中では触れられているかもしれません。ただ10個ほど調べたところ学習時間の平均は115時間、受講料は平均50万となかなかヘビーです。フリーかついつでも学べるオープンソースの教材があることは、「協力の仕方」を学ぶというエアスペースを埋めるためにも、学習機会を広げるうえでも意義があると考えています。
今後の展開
プロダクトにどんどん機械学習を活用してほしいぜ!と考えてます。GitHubにコンテンツを公開するだけでなく、動画やオンラインでの講義など様々な提供方法を考えているのでお楽しみに下さい。
ハンズオンは開発者向けですが、プロダクトマネージャー向けにもあれこれ考えておりますのでそちらもこうご期待ください!
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