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なぜIT Diplomaなのか

今日の話題は、なぜ日本での通算7年以上のITキャリアがありながら、ニュージーランドでIT Diplomaに通うことを選んだのか、です。

入学決意までの経緯

自己紹介のノートに書かせていただきましたが、わたしは日本では開発・保守で通算で7年ほどのIT経験があります。フリーランスのウェブデザイナー期間も含めると、8年以上になります。要件定義、設計からテストまで、ほぼ全てのステージでの経験とプログラミングに関してもメインの言語はJavaですが、PHPやVB、VBA、python、javascript、HTML、CSSなどもある程度は書くことができます。

ズバ抜けた天才タイプのプログラマではないですが、理解力はある方なので、問題点や複雑な仕様の理解が得意です。経験だけで見れば、どこでもやっていけるかな、と自分では感じていますが、ニュージーランドで仕事をビザなしで見つけるのは簡単ではありませんでした。

2017年から2018年にかけて、ワークビザサポートをしてくれる企業を探すために、学生ビザを取得して5ヶ月ほど滞在していたことがあるのですが、仕事に応募しても「ビザがね」と言われたことも多々あります。

そしてもう一つの問題は英語でした。英語でシステム開発について自分の経験をうまく説明することができなかったので、しっかりと勉強したいなという気持ちも出てきました。さらに言うと、大学などでITをしっかり勉強したわけでもないので、IT Diplomaに通うというアイデアを得た時には、英語でITを勉強できるなんて一石二鳥、Diploma取得後はポストスタディワークビザというオープンなビザ(どこの企業でも働くことができるビザ)が取得できるので、一石三鳥!と思ったものです。

以上の経緯から、日本では2018年の6月から2019年6月までエンジニアとして働きながらお金を貯め、ニュージーランドへ2019年6月に移住してきました。

ディプロマまでの金銭面

日本での働き始めからすでに計画を立てていたのですが、ニュージーランドからの帰国直後で貯金はなし、むしろ少しお金を借りて20〜30万円くらいのマイナスからのスタートでした。

ディプロマの学費は当時のレートで140万円くらい、ビザを取得するために、1年間ニュージーランドに滞在するための貯金証明が当時のレートで120万円くらい、航空券の購入や保険の加入も必要だったので、トータルで300万円くらいをビザに応募するまでの9ヶ月で貯めました。経験者向けのフリーランスエンジニアの求人は月単価が高いものが多いので、今までの経験がここで最大限に生かせました。

ディプロマに入学するための条件

金銭面は上記述べた通りですが、わたしのコースはDiploma in Computing level 7(DC7)というコースで、入学要件に「ITのDiplomaのlevel6を修了していること」か、「3年以上のIT業界での実務経験」が必要だったので、日本でソフトウェアエンジニアとして働いていた証明を提出する必要がありました。何社からも取り寄せるのは面倒だったので、一番長く、正社員として働いた新卒で入った会社(5年5ヶ月)に在籍証明を英語で出してもらえるよう人事に連絡を入れました。

このDiplomaとは別に、Graduate Diploma in IT level 7(GDIT7)というDiplomaもあるのですが、こちらは大卒者以上であれば入学要件を満たすキャリアチェンジを目指す人も対象にしたコースで、DC7が認められなかったときのことも考えて、こちらの入学資格についても同時並行で用意しました。

そして、DC7, GDIT7どちらにも必要なのはIELTS 6.0のスコアです。Writing, Speaking, Listening, Reading 全て5.5以上である必要があります。IELTSは日本でも受けることができます。わたしは2017年に一度IELTSを受けてこのスコアはパスしているので、今回はこちらは受ける必要はありませんでした。

大学卒業証明によるGDIT7も、前の会社の在籍証明によるDC7も入学資格ありと認められ、どちらがいいか選ぶ段階で、DC7を選んだ理由はディプロマ内での内容の違いです。キャリアチェンジの学生たちも対象にして基礎的な科目がいくつか含まれるGDIT7に対し、DC7は知識があることが前提の科目構成という感じでしょうか。せっかく勉強するなら難しい内容を、と思ったのでDC7を選びました。

ディプロマ時代の金銭事情

ニュージーランドは物価の高い国なので、エンジニア時代の貯金は全て使い果たしました。学生ビザは長期になるとアルバイトが可能なのですが、少しアルバイトをしてもお金はどんどん出ていくので、実際は貯金証明の下限額である$15,000の2倍くらい貯金しておいてもいいくらいだと感じました。

とはいえ、わたしはあまりアルバイトをガツガツしなかったので、ほぼ毎週出費だけだったため、アルバイトを真剣にすれば週の出費を収入がまかなえるくらい稼げると思います。その分、学業がおそろかになっている学生を何人も見てるので、バランスが取れない人はお勧めしませんが。

ディプロマを終えての感想

2020年の5月にディプロマは無事に終了しました。始まる前は、成績全部A+と取るぞと意気込んでいましたが、英語の壁に阻まれ、総合評価はA-でした。期末のテストで、手書きでロジックの説明やら単語の定義を書かないといけない科目が特に爆死で、課題でかなり補ってそれぞれまともな結果を得られたことは幸運でした。テストはなく課題提出だけの科目の成績はほとんどA+でした。

実際のディプロマでの教育内容ですが、わたしの通っていたDC7は先にも述べた通り、入学要件に「ITのDiplomaのlevel6を修了していること」か、「3年以上のIT業界での実務経験」が必要だったので、周りはみなIT経験者でした。そのせいもあるのか、授業の内容は1から全て教えてもらうスタイルではなく、課題を通した実践がほとんどでした。わたしとしては「コード書きたい!」派だったので、ある程度の軽い説明の後に課題に移り、わからないことがあれば先生からアドバイスを受けながらC#や.NET、PHPでアプリケーション開発できたのは面白い経験だったのですが、他の生徒は経験者と言ってもコーディング経験のない生徒もいて(ITサポートなども入学のための経験として認められるため)かなり不平を言っていました。もっと1から10まで教えてもらえることを期待していたということです。

開発関係の授業はただ楽しかったのですが、ソフトウェア設計やプロジェクトマネジメント、IT企業倫理などの授業もあり、これらはこちらの企業で働く上で役立ちそうな、「英語でどう説明するの?」と思っていたような表現方法を多く学ぶことができました。

ちなみに、ディプロマを通して常々感じていたのは、英語力は本当にあったに越したことはないな、ということです。周りには英語が堪能なインド人・フィリピン人の留学生が多く、ディベートするにもうまく主張ができずに悔しい思いを何度もしました。IELTS 6.0取ったから英語は問題ない、というよりは、最低6.0はないと難しい、ということです。わたしの場合は自分のエンジニアとしての知識がかなり強みとなり、英語にまだまだ至らなさはあっても、クラスの子たちがわからないことを積極的に聞いてきてくれるなどしましたが、経験値が少なかったらもっと引目に感じていたかも、と思います。

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