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モラトリアム、文学に勤しむ

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私の小説、エッセイをまとめます。
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#純文学

『証言①:或る思想犯の失踪について』

『証言①:或る思想犯の失踪について』

「私は、この部屋で彼と暮らしていました。朝、同じ時間に起きて、同じ朝食を食べ、同じ職場へと、同じ電車で通っていました。仕事内容も基本的に同じで、彼はよく私に相談に来ました。仕事が終わると、同じ電車に乗って帰り、同じタイミングで家につき、同じ夕食を食べます。私たちは常にとは言いませんけど、一日の内のほとんどの時間を共にしていたのです。しかしまあ、彼は疲れると私よりも早く眠ってしまうので、夜、眠る時間

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四千字:小説『ニヤニヤ』

四千字:小説『ニヤニヤ』

スズキは昔から芯の通った男だった。自身の中にある確固たる意志は、時に周りを巻き込み、時に疎まれもしたが、確固たる意志を持つ彼にとってそれは大きな問題ではなかった。彼にとっての問題と言えば、彼が生きている社会の問題それ自体だった。どういうわけか鬱屈した日々を生きることになった彼にとって、そういった問題は真に迫り、自分を当事者として考えないでいることは不可能だったのだ。しかし、周りの人はそうではない。

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