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モラトリアム、文学に勤しむ

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私の小説、エッセイをまとめます。
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#高校生

『ほぼ帰宅部』

『ほぼ帰宅部』

「りょうはどれにする?」

「俺もその緑のやつ。くそまずいやつ。」

「くそまずいやつをを奢る身の上を考えろ。」

百二十円。二月はまだ寒空、くせっ毛の隙間に見えるピアスの穴が、かじかんで赤くなっているのが見えた。その痛さが、シュウだと思った。

中途半端に田舎、つまんないやつばっかの公立高校。ここはその最寄り、時代遅れの小さな駅舎。地面に張り付いたガムが黒くなっている階段は入り口の近く。その脇に

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