見出し画像

訪問看護1年目を終えて

昨年の9月から始めた訪問看護も早いもので1年。
在宅生活をしているさまざまな利用者さんと関わり、多くの学びを得ることが出来ました。
その全てが来年以降のわたしの活動に熱意をもたらしてくれています。
今回は、そのわたしの思いと今後の働き方について(オススメの本を交えながら)ここでお話ししようと思います。

1.看護が好き

訪問看護を始めて1年経ち一番感じていることはこれに尽きます!
シンプルに、「看護が好き」ということ。

看護師から離れていた時期もありますが、わたしに看護師という仕事のやりがいを思い出させてくれたのは、重症心身障がい児者の施設での看護。
そこから精神科病棟や放課後等デイサービスの経験を経て今訪問看護の道へ進んでいます。
目に見えないこころの動き、言葉やジェスチャーだけではないコミュニケーションがある、そこが通じ合った瞬間や子どもたちの成長を看れる喜び。
その方たちが地域で、住み慣れた家で安心して生活できるサポートをしていく。
それらが何よりのやりがいでありわたしを看護師たらしめてくれている大事な礎です。

”人を看る”ことに境界線などない
しかし、ほとんど高齢者やターミナルの方の看護経験がないわたしにやっていけるのか?
訪問看護のスタートは不安だらけでした。
でも気づいたんです。

・利用者さんの生活環境、病態などからニーズを捉え、地域で協働 
してくださるスタッフと共に支援をつなげていくこと。
・先輩に必死についていきながら実践で学んでいくこと。
・利用者さんとご家族が安心して地域で暮らしていけるような支援を提供すること。

これらは今まで礎としてきた看護と何も変わらないということ。

今まで、「精神科看護が好き」「重心看護が好き」と自分の経験からしか目指す道を考えられていなかった。
経験してないので他に道があることも知らず、自分の職場以外の人との関わりも持っていなかったので当然他を知る由もありません。

ですが、訪問看護に携わり、年齢や疾患問わず「その人を看る」ということの大切さを知りました。
「精神科」「消化器内科」「循環器外科」「小児科」のような境界線はそこにはありません。
その人自身のこれまでの生活のこと、家族のこと、疾患のこと。
今のライフステージのこと、大切にしているもの、これからどう生きたいか。
全て「その人を看る」につながる、全人的な看護のカタチが訪問看護にはありました。
もちろんどの領域でもそれは大切な視点になると思います。
病棟と地域ではサポートできる範囲は違うかもしれませんが、その視点があることで入院から退院後まで途切れない支援を提供できることにつながるからです。
そして訪問看護がその人と地域の暮らしをつなぐ要となる存在だと思います。

と、偉そうに話してしまいますが、単純に、高齢者の方、いろんな世代の方とお話させていただいて、皆さんの笑顔に触れられることが楽しい、好きだなと思う気持ちが大きいです。

精神科看護を極めたい
わたしが受け持つ利用者さんの半数以上は精神科訪問看護として訪問しています。
今まで精神科経験があることから、多くの方を任せていただいています。
その中で改めて精神科看護の楽しさ、魅力を改めて実感することができました。

例えば、広汎性発達障がいの方で人との関わりが苦手で生きづらさを感じている。
その方が苦手な掃除や、人との距離の取り方などそのときどきのことを振り返りながら解決策を考えて、実践してみる。
そしてフィードバックして、自信につながるサポートをする。
出来なかった、わからなかったことが少し掴めるようになると表情がとても生き生きとされ、わたしも嬉しくなります。

そんな精神科の場面のひとつひとつにとてもやりがいを感じる自分を再発見することもできました。
訪問看護師として垣根なくいろんな方の看護に携わるということは変わりません。
その中でも自分の強みとして、看護師として生きる中での軸として。
きっとご縁があるんだろう精神科看護にもっと向き合って勉強していきたいなと思っています。


ちなみに今年精神科訪問看護での学びの中で大きな出会いといえば
・小瀬古伸幸さん著「精神疾患をもつ人を、病院でない所で支援するときにまず読む本 "横綱級"困難ケースにしないための技と型」
・萱間真美さん著「リカバリー・退院支援・地域連携のためのストレングスモデル実践活用術」
この2つの本です。
どちらも実践に即した内容なので読んだ次の日からすぐ支援に活かすことができますし、わたしにとってバイブルになっています。


これからも形は変わっても、訪問看護師は続けます。
わたしの「看護が好き」を自信を持って発信できるようになったこと。
間違いなく訪問看護との出会いのおかげです。

2.この1年での学び

少し具体的にわたしの今年1年の学びについてお話します。

ストーマケア
今まで成人~高齢者の方のストーマをみたことがなく、訪問看護を始めてから洗浄やパウチ貼り換えを経験しました。
剥離液、皮膚保護剤、パウチの種類などどんなものがあるかも知識不足のままだったのですが、パウチ交換で訪問している方を受け持つことになり「知らないことの怖さ」を痛感。
なんと2日で交換すべきパウチをずっと使っていたのに、週2回しか訪問に入っていなかったんですよね・・・
利用者さん本人が変える回数も増え、皮膚のびらんも目立っていたのでそこで疑問が沸きtwitterで知り合った訪問看護師の方に質問したのがきっかけでした。沢山教えていただいて、実践しながら学ぶということが出来ました。
ケアをそのまま先輩に受け継ぐだけでなく、自身で調べて知識をつけて、疑問を持つこと、わからないことをそのままにしないこと、
新人さんみたいですが、本当に大事なことだな!と改めて実感しました。

スキンケア~フットケア
なんといっても悩んだのは爪切りですね。肥厚爪とか嵌入爪をカットすることすらしたことなく。糖尿病の方への関わりも多いので、足浴の効果や足の健康を保つことの大切さを身に染みて実感しています。
スキンテアや褥瘡処置もほぼしたことなかったので、来年以降もしっかり勉強していきたいなと思っています。

解剖生理、病態、フィジカルアセスメント
これはもう本当にいつも知識不足の現実を突きつけられています。
糖尿病、心不全、特発性血小板減少性紫斑病、腎不全、血液/腹膜透析、脊髄損傷、線維筋痛症、汎下垂体機能低下症、レビー小体型認知症、など。
さまざまな分野の疾患に対する勉強の機会をいただいています。
来年は、年明けすぐにフィジカルアセスメントのオンライン研修に、訪問看護のオンライン研修(よく出会う疾患のケア含む)を受ける予定です。
日々勉強ですね。
今必死にひも解いてるのはこの本。
日本医事新報社 新生理学 竹内昭博著
ゆっくりペースでしか進んでないけどかなり詳しく書いてあって勉強しやすい内容です。
今までしっかり学んでこなかったツケではあるんですけど、不甲斐なさを受け止めて来年もしっかり身につけていきたいと思います。

ターミナルケア
あまりターミナルの方と関わることはなくてお看取りも出来てないのですが、点滴や保清などだけでなくご本人とのコミュニケーション、ご家族との関わりをもっと学ばないといけないなと思っています。
家族看護という面でも、こちらが発する言葉ひとつがどれだけ影響を与えるかということも責任を持った関わりに努めるべきだと思うので、そこが難しいなと感じます。
これも知識と経験の不足から来るものなので、先輩に同行したり本を読んだり研修受けるなどして身につけていきたいですね。
そしてターミナルケアだけではないですが、こちらの人間性がとても大事だなと思います。前も訪問看護を目指すまでの記事にちらっと書いたんですが、自分のひととしての成長が看護の深みにもつながると思っています。
そういう点でももっと勉強していく必要性があります。


3.地域のために何ができるか

さて、訪問看護1年経ち感じたこと、更に主な学びについてお話してきました。今度はわたしが訪問看護を続けながら伸ばしていこうと考えている他の分野についてお話していきます。
2021年から少しずつ始動します。
大きく3つ、ご紹介しますね。

①訪問アロマ
今年、公益社団法人日本アロマ環境協会(AEAJ)のアロマテラピーインストラクターの資格を取得しました。
以前にはAEAJアロマハンドセラピストを取得し、現在英国式リフレクソロジーも学んでいます。
アロマの魅力…を話し出すと別に記事が書けちゃうので(笑)、今回は省きますが、看護師としてアロマを提供することに意義があると思っています。
そのアロマテラピーを活かすために、「訪問アロマ」事業を立ち上げたいと思索中です。
サロンを持つことも考えましたが、そうではなく、医療的ケア児のご家族やご高齢の方などなかなか外出する機会の持てない方にこちらから訪問しておうちにアロマの癒しを運びたいと思っています。
というのも、医療的ケア児のご家族に関しては、今の事業所で小児に携わるケースが少なくて今も訪問にはわたし自身行けてないんです。
訪問看護を目指した理由のひとつが小児在宅医療の学びを深めることでもあったのですが、残念ながら今関われていなくてこれからもそんなにうちの事業所じゃお受けしないようなんですね。
なので、わたしなりに出来ることを考えた時にこの訪問アロマに行きついたというところでもあります。
また、医療機関や施設にもボランティアとして訪問や、看護師イベントでのプチ施術もしていきたいです。

②看護師ライター
これは一昨年くらいから考えていることですね。
元々幼少期から文章を書くことが好きで小説家になりたかったんです。
そんなわたしが看護師も活かしながら文章を書くお仕事ができるというのは、挑戦しない理由はない!という感じです。(笑)
今年twitterでご縁のあった中澤真弥先生(@mayanakazawa)のライター講座を受講し、本格的に始動できるよう勉強中です。
訪問看護やアロマテラピーの魅力をメインに自分の活動を発信して、誰かの元気につながるライティングを目指しています。
そしてこのnoteだけでなく発信の形をもっと考えないとなと悩み中。

③保護猫カフェ×就労支援
わたしは無類の猫好きで、愛玩動物飼養管理士2級を取得したんです。
「動物取扱責任者」の選任要件になる資格です。
その資格を活かして、保護猫カフェを開きたいと考えています。
福岡は2019年度犬・猫殺処分数ゼロを実現したのですが、野良猫や多頭飼い
崩壊など課題となることは多くあります。
そのような現実を知ると本当にいたたまれなくなります。
そこで保護猫の譲渡もできるカフェを開き、幸せな猫が少しでも増えてくれたらと思っています。
更にそこはA型/B型就労支援事業所としても機能し、精神障がいの方の就労支援の場とする予定です。
細かい事業内容はまだまだ先にはなりますが、これは数年後必ず実現させたい目標です。

信頼できる仲間作りを目指して
全部を実現するのは一人では到底無理です!
協働してくれるビジネスパートナーも必要です。
そして一気にしちゃうと全部が中途半端になりますので、ひとつずつおざなりにならないよう工夫しながら実現していくつもりです。
中途半端なものを掛け合わせても中途半端、もしくはマイナスになりかねないですからね。

そもそも訪問看護師一本でやらないの?と思う方も多いと思います。
何故、このように様々なことをしたいと考えるのか?
元々訪問看護を立ち上げたいと奮起していたわたしでもありますが、それには理由があります。

①現在わたしが妊活中であり常勤が難しい。ワークライフバランスを考えた時に、家庭を守ることが何より一番だと考えるため。
②その中での時間の余裕があるうちに訪問看護にしっかり向き合いながら今の働き方の中で出来る+αを生み出したい。
③訪問看護という基軸を持ちながら、地域のためになる活動を拡げて様々な方に癒しを届けたい。

これらを欲張りに、でも着実に叶えるためのプロセスです。
これだけのことを成し遂げていくには時間術も大事です。
(時間術でおすすめの本はこちら⇒樺沢紫苑著 神・時間術
そしてすべてが地域のためになることとして、自分が興す事業だけでなく周りの事業者の方たちとのつながりも必要ですよね。
今はコロナがどうしても立ちはだかってしまいますが、コロナのおかげで発達したオンラインネットワークを駆使して、来年以降もっと身近なところから活動していきたいと思います。

4.まとめ

今回わたしがたどり着いたのは「看護が好き」というシンプルな答え。
それを体現するためにとにかく勉強!日々の学びを支援に還元すること。
人とのつながりを大切にすること。
2020年はコロナで大変な年になりましたけど、主にtwitterでかけがえのない素敵な魅力満載の看護師の方々と出会ったことが何より大きいですね。
年を重ねるごとに、より有意義なものになっていると思います。
たかがSNS、されどSNSです(笑)
沢山の刺激、学びを皆さんいつもありがとうございます。
来年は想いを形に変えていく第一歩として、少しずつ頑張っていこうと思います。
今後もひよっこ訪問看護師ぴっぴをよろしくお願いいたします^^
良いお年をお迎えください。


スキやサポートをくださった方ありがとうございます。 いただいたサポートは、看護をもっと学び、よりよい地域支援を目指す資金とさせていただきます。