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ツバメ

 伯父が亡くなった。
私は、話をした記憶は無かったが、おとなしくて優しそうな人だった。

 伯母は、伯父のことを話す時、さらっとノロケるのだった。
たとえ、大きくなった孫がいても、『 好き 』な気持ちは、変わらないんだなぁと思って、私は聞いた。

 葬儀に参列できなかった私は、少し時間が経ってから、伯母を訪ねた。
広い庭がある大きな家に、伯母は1人で住んでいた。
立派な仏壇に手を合わせ、居間にいた伯母と話をした。
 いつもだったら、大きな目をクリクリさせて、早口で話す伯母が、
窓の外を眺めながら、静かに話を始めた。
「 お父さんが居なくなってから、ツバメが来るようになったの。」
伯母の視線の先に目を向けると、軒下にツバメが巣を作っていた。
ツバメは、巣から出たり入ったり、忙しそうにしていた。
「 私が寂しくないようにと、まるで お父さんが、ツバメを連れてきた
みたいでしょ。」
伯母は、そう言って微笑んだ。
私は、うなずいた。
「 ほんとに、そうだね。」
しばらく、一緒にツバメの親子を眺めた。


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