運動会とわたくし
※これは人の不幸や困難、理不尽を眺めてゲラゲラ笑い、優越感に浸るしか楽しむ方法がない記事なので人生が豊かな方は読むのをオススメしません※
さて、運動会と聞くととても可愛い響きがある。日々の勉強で少し後ろめたくなっている日々から開放され、青春に1番接近する行事と捉える人も少なくないだろう。ところが我が高校は毎年この学校行事に何十万という予算を注ぎ込んでいるのだ。とても軽い気持ちでは参加できない。
今年はコロナ、猛暑などとやらない理由は履いて捨てても余っていたが、甘かった。
「やる」と聞いた時はあまり驚かなかったが、よく考えると「コロナで授業が全然足りてません」って言いながら夏休みも半分ほど授業に費やしたのに、急に1日6時間も練習し始めるのは狂気の沙汰としか言いようがない。
運動会の練習以前にアンケートがあった。今年は無観客でやる、などと記された下にやりたい競技のチェック表があった。予め競技を選べる権利があるとはかなり民主的であり良心的だと思う人がいるかもしれないが、俺はここで絶望した。
そこには見たことも聞いたこともない学校がオリジナルで作った競技の羅列があった。競技名はぜひ書きたいところなのだが、学校が特定されてしまう恐れがあるのでここに書くのはやめておく。(知りたい方はDMなどに来ていただけると嬉しい)
先輩の方からこれらのオリジナル競技の説明があったのだが、要するに「障害物競走」「綱取り」などを少しアレンジしただけで根本的には小・中学校の運動会と変わっていないのである。これらの競技は正真正銘のパワーバトルなので簡単にいうと、つまり運動会とは、金を使ってスケールを大きくしたが中身の伴っていないじゃんけん大会、ということになる。
ここまで悟った俺はもちろん、練習を全部休んだ。そして、練習では予想通り最悪のことが起きていた。
「〇〇先輩が可愛い」「〇〇君は彼女がいるらしい」
そう、出会いとそれに付随するゴシップ、それをネタにするガキ、有象無象が運動会を盛り上げているという実態である。
本当に時間が勿体なくないのか!と言いたいが、残念ながら俺は言える立場ではなかった。
練習をサボって家で雀魂で大負けしていたのである。
どうやっても勝てない、逆に悪いことをしないから勝てないのではないか、と思うほど負けに負け込み、雀傑3から2、そしてさらに負けを重ねた。正直、完璧に打っている。下振れや難しい局面云々ではなく、偏りを感じざるを得ない状況だ。酷い。
ではやめればいいと思う方もいるだろうが、俺だってやりたくてやっている訳ではない。表面的には隣の学校の雀魂ブームより上に行きたいというただそれだけなのだが、今後天鳳より雀魂の段位が通用するようになる可能性も考えるとやはりやらざるを得ない。勿体ないと感じるのが普通だろう(というか既に出遅れている)。
そんなこんなで時は過ぎ、とうとう予行練習になった。これは今までの練習とは違い、終わった後にクラスでホームルームがあるので帰ったのがバレてしまう。帰れない。俺はどうやらエールという組に所属していたみたいで、LINEグループにもいつのまにか入っていたみたいで、いつどこで誰に咎められ、殺されても仕方ない状況になった。となると、とる選択肢は1つしかない。
『嘘をついて誤魔化す』一択だ。
もちろん誰かが悲しむ嘘は良くない。誰かが損をする嘘は良くない。しかし、こうなった以上は1ミリも練習していない俺にとっても団員にとっても俺が予行練習でエールに参加することは控えた方がいい。
嘘は大きく凝れ!
これは俺が人生で学んだ数少ない教訓の1つだ。残された時間もあまりないので、早速嘘作りに励む。といってもコロナのこのご時世、そう簡単にゲロとか下痢とか熱とか言えない。途方に暮れていた俺はなんとはなしにTwitterを開いた。
その時、たまたまトップツイートに親不知を抜く抜かないの話をしていた人がいた。
ーこれだ!
親不知なら、バレない。マスクを付けているし、そもそも詳しい人などあまりいない。早速ストーリーを組み立てる。
「先週、親不知を抜いてきてあまり過激な運動をするなといわれておりました。担当教員には言ったのですが団の本部には伝わってなかったですかね?すいません」
これで全てが解決する。もともと団はあくまで生徒の自治組織で教員とまともに連絡を取っていないことも知っている。
しかし待った、親不知を抜いたら運動控えろって言われるのだろうか。そこにある程度知識のある教員がいたりしたら終わりだ。団の幹部すら騙せない可能性がある。
それならこれはどうだ。
「先々週、親不知を抜いたのですが先週の金曜日から頬が腫れて、バイ菌が入って膿んでいると言われたのでそれを取り除いてきました。3日間(運動会前日まで)、安静にしろとの事です。すいません。」
完璧である。長すぎるから今までLINEで黙っていた説明もつく。えげつないけど、俺は必死なんだ、生き残るために。
結果は何なく騙せた。成功。歯に1番知識のなさそうな幹部を精査したから当たり前だろう。これで、団との問題は解決した。
運動会前日の準備も安心して帰って、雀魂をした。負けた。ふざけるな。完全に鬱になりながらいい加減にしろと思いつつ、次の日、つまり運動会当日、学校に行くとクラスの様子がおかしい。
友達の1人が俺に言った。
「お前、クラス内の評価ダダ下がりだぞ」
俺は、、俺は、あろうことか笑ってしまった。
ゲームより分かりやすい。そして俺は根本的な重大な問題を放置しておいたことを悔やんだ。クラスメイトは全員同じ団の団員で、昨日は運動会前日。心を1つにする的な宗教行事が行われていたに違いない。
さらに言うと俺は、クラスでただ1人クラスラインに所属していない。クラスにラインを持ってる人もいなければ運動会の団グループには入っているのに誘ってくれる人もいない。つまり印象操作の的となったのだ。
ここまでくると、流石に笑うしかないのである。
「高校生活」という名のゲーム、クリアの難易度はかなり高いと聞いていたけど、舐めていた。開始2ヶ月でゲームオーバーになるとは思っていなかった。信頼という名のセーブもない。終わりである。
そして運動会が始まる。もう俺にはこれが文字通り地獄にしか見えない。100m走をぼーっと眺める。フライング。フライング。フライング。3回連続フライング。団席はガキどもが手を叩いて笑っている。あぁ、こんな奴らと同じ空気で楽しめる訳がない。早かれ遅かれ、俺はこの「高校生活」というゲームをリタイアすることになっていたのだ。ことが重大になっていないのが救いかもしれない。絶望の中の安心ほど醜いものはないと客観的に自分を見つめながらも、心の中で一息つく。
疲れている。四日間で35半荘打っている。運動会のストレスを発散しようとした麻雀でストレスを溜めてしまった成れの果て。
ストレスを発散するためにやっているのにストレスが溜まる。麻雀及びギャンブルの悪いところだ。そして高校生にしてそこにしか生息できない自分もまた、悪い。ビリヤードでも始めようかという突拍子もないことを考える。
そして、ストレスと疲労による限界が来た今、トイレで吐きそうになりながらこれを書いている。教員も命を最優先と思ってもないだろうことを言っていた。
さっきすれ違ったクラスメイトはまだ可愛い先輩とエッチな想像をして楽しんでいるだろうか。騒いでいた女子は大人になっても青春というドラマを勝手に作って永遠に無駄なことを繰り返すのだろうか。
たわいもないことで人生を豊かにできるように脳を改造してきた彼らとは違い、天鳳でそれを補ってきた俺はもう救いようがない。
吐き気が強まってきたので、もし生きていたら今日の夜、このnoteを投下しようと思います。
最後にnoteの使い方として完全に間違っていたことを申し訳なく思うとともに、ここまで読んで頂き、感謝します。