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袴を求めて三千里

これはつい先ほどまでの話。

通常、卒業式に着る袴は一年から半年くらい前には決めているものだと思う。
しかし、私は母に何度も「予約しなくていいの〜?」と言われていたのにも関わらず、していなかった。
これは精神的に余裕がなかったこと、いざとなったらスーツでいいやと思っていたこと、なによりも(もう一度、成人式の時のように何度も呉服屋に赴き、着物を買うことをしつこく勧められ、すぐ決まるはずのことも決まらないのでとても)面倒臭かったことが原因である。

それから数ヶ月、気持ちは変わるもので2ヶ月ほど前、袴着たいかもと思い始める。
その時に予約していれば良かったものの、あれやこれやをしていたら気づけば卒業式2週間前になっていた。
流石にやべえと思った私は近くの美容院で着物レンタル、着付けとヘアアレンジをやってくれるところを探して予約をした。
これで一安心だと思った。

しかし、ここからが本番であった。
卒業式前日。なんだか胸騒ぎがしたので予約を確認した。
その内容は着付けとヘアアレンジの2点。着物レンタルの文字はどこにもない。
いや、ちょっと待てよ。確かに着物レンタルもやっているって......
「*着物レンタルは印のついております4店舗にて行っております。」
私が予約した店には印はついていない。
はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜これは全部私が悪い〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

死ぬほど焦った。悠長に星野源のMVを見ている場合じゃなかった。
脇汗は止まらないし、直ぐ家を出ようにも回している洗濯機も止まらない。洗濯機を待っている間に予約した美容院の駅の近くにある呉服屋を複数検索して目星をつける。
洗濯機が止まった瞬間、爆速で洗濯物を干し、呉服屋へ向かう。

電車の中では一人ソワソワして考え事をしていた。
もし、調べた店で今日借りられなかったら明日はフェアリーゴッドマザーに変身させてもらえる前のシンデレラになるじゃん。
いや、もはや服ないじゃん。真っ裸のシンデレラ。
でも、こういうトラブルって最高に生きてるって感じがすんな!!!!前日予約が取れるか取れないかの大博打じゃねえか!!!
服装もほぼほぼカイジだったのでシンデレラというよりも内面外面9割型ギャンブラーだった。

そこから先はあまり覚えていない。
たくさん連れてきたはずの諭吉さんは何人かいなくなり、めちゃくちゃ大きいカバンを持って帰宅した。
呉服屋のお姉さんには感謝してもしきれない。

私は卒業式前日のデカすぎる賭けに勝ったのである。
友達のみんなは私の袴にそんなドラマがあったなんて知る由もない。
本当にありがとう、お姉さん。
そして責めることはしないけど、ちゃんと事前にやっとこうな自分。
そういうところだぞ。

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