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夢十夜

こんな夢を見た。

その一文から始まる夏目漱石の小説を学んだのは高校生の現代文の授業だったはず。

夢十夜 第一話

瓜実顔
真珠貝
天から落ちて来る星の破片を墓標に
100年待っていてください。
100年はもう来ていたんだな。

千円札で見慣れた顔のあの人は、ずいぶんと綺麗な言葉を選んで文章を書いていたんだなと思った。夏目漱石については顔しか知っている情報はないくせに、ちょっと意外だと思ってしまった。

そこから夏目漱石の小説は一通り読んだ。
よく覚えているのが「夢十夜」と「こころ」。
「こころの」先生が抱え続けた後悔の感情には、大人になった今、少し寄り添える気がする。


今の私はずいぶんと夢を見る。
今年ももう1/3が終わろうとしているところだけれど、ほぼ毎日見ているから夢十夜どころか夢百夜だ。

原因の一つはマラリア対策で飲んでいたメフロキンという薬。悪夢を見ることがある、という副作用がある。
週1回の服用で、私は百発百中で悪夢を見ていた。見ない人の方が多いのに。

こんな夢を見た。

空港の近くを歩いていたら目の前に飛行機が落ちた。そしてその飛行機に搭乗していたはずの同期が、世界各国の人たちと共に現場方面からトコトコ歩いてきて「あかんかったわ〜!」といつもの調子で言った。

何があかんかったんや。いや、無傷でよかったわ。
夢の中ではまだピンクの髪の毛だったけど、今、彼は何色の髪の毛をしているんだろう。

こんな夢を見た。

誰かに頼まれて車を運転していた。現実世界じゃペーパーで、もう何年もハンドルを握ってない。いつの間にか一緒に大きな荷物を積まれていて、その荷物の中には…ご想像にお任せします。
最後には埋めました。

こんな夢を見た。

誰かの新居になるらしい古いアパートを誰かと掃除をしていて、どんどんきれいにしていった。
だけどシャワーだけダメで、何回やっても真っ黒い汚水が出てきた。水が出るペースが排水のスピードよりも速くて、あっという間に大惨事になって目が覚めた。

他にもたくさん見たけれど、ぼやっとして文字には起こせない。でも現実世界じゃ3回は警察のお世話になっているのは確実。


メフロキンの服用が終わってからは、生活の変化が大きすぎて上手く寝られなくなってしまった。
薬の力を借り始めたら寝ることはできるようになったけれど、どうやら睡眠の質が悪いらしい。
毎日夢を見ているけれど、悪夢はほとんどなくなった。

このことを主治医に話したら、眠りが深くなるように薬を変えてもらった。そのおかげか寝た感は増したけれど、やっぱり夢は毎日見ている。
面白いのは、薬を変えてから現実と夢がリンクするようになったのだ。

こんな夢を見た。

「明日、6時って約束したけど飲みに行く前に買い物に付き合ってほしい。4時に◯◯でどう?」とLINEが来た。坂口健太郎から。
え…?飲みに行くだけでもトキメキなのに、これってもう完全にデートじゃん????
光の速さでOKの返事をしたところまでは覚えている。

一応目が覚めてからLINEを確認したけれど、坂口健太郎からはもちろん、その日に会う予定の友人からもLINEは来ていなかった。明日の6時に◯◯集合ね!という前夜の確認で止まっていた。ちっ。

こんな夢を見た。

同期に地元を案内してもらう。私の大好きな長野県である。しかも家族ぐるみでの案内。穏やかな彼と同様に、ご両親も穏やかでとても親切にしてもらった。
ファミリーで仏だったのか…!と感動して、駅前で美味しい饅頭を食べて温泉の場所を教えてもらった。そこで目が覚めた。

その数日前、その同期はクラファンをスタートさせていた。これについて聞きたいなーと思っていたことがあったけれど、引き伸ばしていたところだった。(そしてまだ聞けていない。)

※ぜひ、同期の挑戦への応援をよろしくお願いします!

こんな夢を見た。

SPY×FAMILYの世界に入り込んだ。いつの間にかヨルさんと仲が良くなっていた私は、フォージャー家にお邪魔することになった。
ロイドさんくっっっそイケメン!!ヨルさんかわいすぎいいいいい!と心の中で悶絶していて、お茶どころではなかった。
アーニャにはその心うちを読まれていたようで、終始この顔だった。

あとアーニャは小さすぎて蹴飛ばしそうになってめっちゃ謝った。

最近Netflixを再開させて、ここ2日くらいは見終わっていなかったSPY×FAMILYを観ていた故の夢でしょう。


薬によって夢の内容がこんなにも変わるのだから面白い。こんなにも左右れるのだから、人間の脳って思っているよりも単純にコントロールされてしまうのかもしれない。

いや、私が単純なだけの可能性が高い。

これからもたまには夢の記録はしていこうと思う。夢何夜になるだろうか。

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