難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!|大橋弘祐、山崎元
以前ほぼ同じタイトルで同じ著者(インタビューアー?)が英語の話し方を教わる本を書いていた。初学者の疑問を網羅的に解決し、シャイで完璧主義の日本人がどうやって英語を話すか説明する以下の本はとても身近でわかりやすかったので、同じコンセプトでお金の増やし方について説明する本書を読んでみた。
本書は著者の大橋弘祐さんが、様々な証券会社での勤務経験を持つ経済評論家の山崎元さんにお金の増やし方を質問する内容である。
「英語が話せる方法を教えてください」と同様に、大橋さんがなんとなくの不安を丁寧に質問し、それに山崎さんがひとつひとつ応える形式である。ただ「英語が話せる方法をー」では大橋さんが英会話をネガティブに捉えつつもある程度の知識でコミュニケーションしていたのに対して、本書では山崎さんの解説に対して「はい。」で応える場面が多く少し面白かった。自分も同じ立場のインタビューアーになったら山崎さんの解説を理解するために同じような反応になるだろう。
しかし、英会話の時も思ったのだが、著者の大橋さんはわからないところをわからないと言い、曖昧な感情を文にして説明し、変に誇大した反応をせず、質問もうまいのでとても賢い人である。
とくに本書でためになったのが「投資金額の還元率」についての話である。
還元率というのは、毎日1万円を投資したら平均的にいくらくらい払い戻し金があるか示した割合である。
本書では投資信託が確実にお金が増える方法としておすすめする文脈でこの還元率に触れている。
投資信託というよくわからないものに自分のお金を出すならば、宝くじや競馬のように一攫千金を狙って投資する方が効率いいのではないか?と思うだろう。しかし還元率の点からこれらを比較すると、宝くじの還元率は45%、競馬は75%、そして投資信託は105%であるらしい。
こう並べると投資信託はたった5%プラスでしかないが、他の100%を切る投資に比べ、確実にお金が増える方法であることがわかる。
これまで投資信託がなぜギャンブルよりも良いお金の増やし方なのか、を論理的に説明できなかったのだが、この章を読んでよくわかった。
また、生命保険や家を購入するデメリットの解説も面白かった。
銀行が紹介する商品は全てダメ、と説明する山崎さんが潔くその章は楽しかった。大橋さんを置いてけぼりにして保険不要論を熱く語るところは本書のハイライトである。
住宅ローンを払ってまで家を購入する必要はない、という解説もわかりやすい。私自身もこれまで借金をして家を購入する意味がわからないと思っていたので、その考えに裏付けができてためになった。
ただ、老後に年金と貯蓄から家賃を捻出するよりは家を買っておいた方がお金のやりくりは楽になるのではとも思う。
私はなんとなく投資信託を始めて2年になるが、深く検討していない部分も多かったのでその知識の取りこぼし部分を学べた本書はとても勉強になった。
おすすめの金融商品を教えてくれるのでこれから投資してみようと思っている人にも有用である。
また、投資をする気はないけどなんとなく日本経済の将来が不安、と思っている人も納得のいく説明を得られるのではないかと思う。
kindleで無料なので是非読んでみてください!
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