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【D&D5e】"Return of THE Lazy Dungeon Master" で学ぶ最小の労力で最大の効果を得るセッション準備。

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前書き

2023-05-25 追記【注目!】The Lazy GM's Resource Document がリリースされてるぞ!


Return of The Lazy Dungeon Masterの著者 Mike. E. Shea が自分の著書の中から一部を抜粋し、Creative Commons 4.0 に則って公開された Lazy GM's Resource Document が公開されています。ここでレビューしている本の内容の一部、エッセンス部分がまとめられている基礎的なドキュメントです。CC4.0準拠なので、この内容を貴方の創作物に含めてもよろしいってのが嬉しい。

Dungeons & Dragons日本語版再リリースから2ヶ月

さて、昨年12/16のDungeons & Dragons日本語版の再リリースからおおよそ2ヶ月程経過しました。新年の休みなど挟み、これまでの間にD&Dフリークの皆さんも、そうでないD&Dを知ったばかりの人も、ここ2ヶ月でセッションを重ねてこられたと思います。
3月には日本でははじめてリリースされるアドベンチャー『ウィッチライトの彼方へ』日本語版も待っていますし、このシナリオの導入時『ファッションセンスを妖精に奪われた冒険者』が選べるということで、今からどんなダサい格好の冒険者をやろうかワクワクしているプレイヤー諸氏もいることでしょう。僕は襟元のヨレたダサセーター(クマが描いてある)と真っ赤なスウェットのパンツを身につけたドワーフとかやりたいですね。

さて、僕自身も現在キャンペーンを2つ(オリジナルのエベロンセッティングキャンペーンとクラシックD&Dのシナリオを5eにコンバートして遊ぶキャンペーン)走らせているのですが、いつも頭を悩ませるのはセッションの準備。プレイヤーを楽しませつつ驚かせ、時にはスリルも味あわせないといけない。
別にストーリーテリングの基礎を学んでるわけでもない一介の中年サラリーマンが、ネットで募集して揃えた、普段はあまり接点がない方々をプレイヤーとして迎えて遊ぶわけです。これが結構思案のしどころ。
途中で抜けるプレイヤーが出るのはまぁその人の事情もありそこは仕方ないにしても、『つまらないから』という理由で抜けられると自分がしんどくなる。

みんなを楽しませようとするには、ちゃんとしたセッションの準備が必要。しかし時間も有限だしこっちにも生業がある。時には宿題もある。D&Dでそれ以外の可処分時間を埋めるほどの事も出来ない。
セッション準備って、やっぱ時間もかかるし結構緊張するんですよ、失敗した時のみんなからの失望の声とか聞くのは嫌なので。

『怠惰なダンジョンマスター』スタイルを知る

そんなときに、Youtubeで1つの動画を見まして。
これが"真の"Dungeon master's guideだ!』って言う煽がめっちゃ気になるので自動翻訳字幕ツキで見て見たら、めっちゃ薄いソフトカバーの本。タイトルは「Return of the Lazy Dungeon Master」(怠惰なダンジョンマスターの帰還)

彼はTTRPG関係の結構辛口なYoutuberで、先日D&Dコミュニティ界隈を襲って、最終的にコミュニティに対してWotCが折れる形で決着したOGL改定騒動ではD&Dのプロデューサーにインタビューするほどの『信頼置ける』人間だ。彼がここまで言うならこの本には価値があるんだろう(なにせ『これは"非"案件動画だ、この本が真に素晴らしいから紹介する』という導入なのだ)と考え、給料日前の折少し思案したが、最終的にDriveTHRU RPGでPDFを買いましたよ。

あと、版元の Sly Flourish のオンラインサイトでも手に入る。この本の著者はアメリカのTRPG事情を語るポッドキャストなんかもやっていて非常に評判が良い。この前もOGL騒動とその後について語っていたし、サードパーティーの出しているキャンペーンセッティングのレビューなどもやってる。おすすめだ


DeepLで読んで蒙が啓かれる。

自分が高校に通っていたの頃は、海外のTPRGの本を手に入れるのが本当に大変で、神戸のギルドという店に電話注文してその上で着払いで買わなきゃ行けなかった。その上買ったとしても大量の英語を辞書片手に頭から読むのなんて、読み解けていく楽しさとそれに伴う疲労を考えたら、みる見る疲労が上回り途中で折れてしまう。こんな形で読むのを止めた海外RPGがいくつもあるのだ自分には(West End Gamesが出していたインディジョーンズRPGは結局全容を何も知ること無く手放してしまった…)
でも、今はPDFで買った本の本文をコピペして、DeepLに叩き込むと、まぁそれなりに読める。Google先生やexcite師匠なんかよりは遥かに読みやすい文章が出力される。そこで読んでみると、まぁ蒙が啓かれるような言葉が沢山書いてある。『ここまでダンジョンマスターの準備は単純化して良いんだ!』ってなりますよ。

Lazy Dungeon Master Style

見出しにも上げている「Lazy Dungeon Master Style」ですが、このスタイルの基本は、以下の5つの英単語で説明されている。

Prepare what benefits your game.
(訳:ゲームに"有益なもの"を準備をする)

Return of the Lazy Dungeon Master

この最大限の効果を上げられる「benefits」を最小限度の時間で準備していこうというのが、このテキストの目的だ。
TRPGのシナリオは、市販のアドベンチャーを読みと本当に微に入り細に入り書き込まれている。PCが取るであろう行動は概ね網羅しているし、想定外の行動に出たときにも対応出来るヒントも書かれている。これを事前に自作でも準備しなきゃいけない、と考えたらそりゃ心も折れます。初心者ならなおのこと。
ですが、この本はGMする準備を『もっと気楽に、シンプルに出来る』と教えてくれるのです。

The Lazy Dungeon Master's Check List

『怠惰なダンジョンマスターのやり方』では何を準備するか。以下に示す8つの項目で説明しています。

1.キャラクターを再確認する
2.力強いスタートを決める
3.想定されるシーンの要約
4.秘密と手がかりを定義する
5.魅力的なロケーションを作る
6.主要なNPCの輪郭を決める
7.適切なモンスターを選ぶ
8.報酬のマジックアイテムを選ぶ

Return of the Lazy Dungeon Master(リンク先はプレビュー。上記リストは8ページに記載)

上記のそれぞれについても、本の中で簡単に(だいたい各項目4~6ページほど!)で説明されていますが、このNoteでも軽く触れたいと思います。

1.キャラクターを再確認する

参加するPCについて再確認する。名前は?クラスや種族は?何を欲しがってるか?どんな背景があるか?プレイヤーは何を楽しんでるか?思い出せることをまず簡潔にまとめる。思い出せなかった場合はキャラクターシートや過去のメモを参考に簡潔にリストアップする。
まずPCたちが何を望んでるか、どんな活躍がしたいか、彼らにぶつける障害は何が良いかを考えられるようにするわけです。

2.力強いスタートを決める

セッションの導入はプレイヤーを惹きつけるモノにしたい。どこで、何が起こって何に巻き込まれているのか、何が始まろうとしているのかを明確に提示したい。酒場で依頼を持ちかけられる、パトロンから仕事を紹介される、というスタンダードなモノから、目の前で殺人事件、街頭でひったくりに出くわす、滞在している村が突然火に包まれる、わかりやすくインパクトのあるモノにしたい。
ゲームの始まりはPCが関与できない、マスターがフルに制御できるセッション中唯一のシーンだ。ここで躓くとプレイヤーもノリが悪くなる。思いつかなかったら戦闘から始めれば良い。

3.想定されるシーンの要約

どんなシーンが登場するか、少ないセンテンスで簡単にまとめておく。だいたい1時間に1~2シーンくらいと想定する。
酒場で依頼人に会う。洞窟に向かうと途中で子供に出逢う。街に到着するとその日は祭りが開催されていた。そういったシーンを想起する短文を複数(3時間のセッションなら5~6個)用意してみよう。
このとき用意したシーンは全部使う必要はない。セッション中にもっと良いシーンを思いついたり、ここにはたどり着かないだろうと感じたりしたら躊躇わず破棄していい。

Don’t fall in love with your scenes. Be prepared to throw them away.
(シーンに惚れ込まないこと。捨てる覚悟で。)

Return of the Lazy Dungeon Master

4.秘密と手がかりを定義する

このストーリーにおける『秘密』や『手がかり』を短いセンテンスで列挙します。一本のシナリオには10個程度あれば良いでしょう。
「ギャング団に絡まれるのは、PCによく似た人物を探しているから」
「街のギャング団は仲間を殺した犯人を捜している」
「ギャングの抗争の裏には薬物の密売が絡んでいる」
「薬物を作っているのは2つのチームとは無関係の別の勢力。共倒れを狙っている」
などいった、ストーリーのキモになりそうな秘密・真相にたどり着く手がかりをまとめるのです。これらの秘密はあまり特定の人や場所にくくりつけず抽象的にしておいた方がいいとも書かれています。プレイヤー達がどう調査するのか事前にはわかりようがないので、彼らのとったアクションに対して適切な秘密や手がかりを開示していくようにしましょう。

セッション中に明かされない秘密は捨てる。毎回新鮮なリストを書きましょう。

Return of the Lazy Dungeon Master

5.魅力的なロケーションを作る

魅力的なロケーション、そう簡単に即興で作れるモノではない。だからこれは事前に簡単でも良いから準備しておこう。
場所の名前(「アガナの大尖塔」とかそういうの)、そして場所の特徴を3つくらい(天まで突くような高さ・全体が半透明の素材で出来ている・鉱物で出来たモンスターが棲息している)上げれば、あとはセッション中にアドリブ対応も可能になるでしょう。これも1時間のセッションにつき1~2個あるといい。
ロケーションにキャラの背景とか設定を絡ませてもいい。幼いところにここに来ていた、師匠が旅立つと言って遂に戻らなかった目的地、など。

6.主要なNPCの輪郭を決める

主要なNPCの名前と、シナリオにおける役割を考え、そのキャラに有名なフィクションの登場人物の風貌や言動を当てはめてみましょう。これでキャラ立ちも万全。そこまで重要でもないNPCはセッション中アドリブで作っていいようなモノです。旅先の宿の主人は無個性で良いけど、君たちを陰謀に巻き込もうとする悪党とかなら印象に残るキャラを作った方がいい。判りやすくフィクションから持ってくるとそれがすぐ解決する。
山本耕史の顔をして常に微笑んでるが目が笑ってない慇懃な口調の男が、ハイリスクハイリターンの冒険を持ちかけたら、絶対怪しいし絶対楽しいことになるでしょう。

7.適切なモンスターを選ぶ

モンスターはアドリブでデータまで用意するのは困難。セッションのスタイルにもよるが、経験点の元になるので過剰にも出せないし少なすぎても駄目。
ここでは『モンスター』と表現しているけど、ラスボスや冒険の障害になる人物なども考える。今まで考えてきたロケーションや謎にふさわしい種類の、PCの障害として適切な強さを持ったモンスターを選びリストアップ。アドベンチャーの中で適切に登場させましょう。
ただ、ボス戦は少し工夫があってもいい。戦闘フィールドにある障害物、ボスの厄介な能力、一定の時間後に後ろから現れる増援とか考えてみましょう。

8.報酬のマジックアイテムを選ぶ

プレイヤーはマジックアイテムが大好きなので、報酬にPCが使うにふさわしいマジックアイテムを用意してみましょう。マジックアイテムを前段でリストアップした秘密や手がかりの一部にするのも良いでしょう。
時々ランダムチャートで出すのも意外性があって面白いでしょう。拾ったアイテムをどうやって使いこなすかプレイヤーは考えますし、なんならそのとき出てきたアイテムを次以降のシナリオのテーマにしたっていいわけです。

以上のチェックリストの内容をまとめて、セッション当日にも参照しながらプレイすると、アドリブにも対応出来るわけです。この準備はあまり頑張りすぎない方がいいとも書かれています。DMが用意する情報・リソースは最小限度、ハンドリングを軽くすることでアドリブ対応、不測の事態にも容易に答えられると思います。

Lazy Dungeon Master's Toolbox

上記のチェックリストについてだいたい40ページほど割いて説明していたのですが、じゃぁ残りは何を説明していたかというと『セッション当日にあった方がいいモノ』とか『セッションの準備でやってみても良いこと』とかのオプションのツールです。
特に気に入ったのが「RESKINNING」…『皮の張り替え』つまり既存データの改造のススメです。

Take something that already exists and describe it as something new.
~すでに存在するものを、新しいものとして表現する~

Return of the Lazy Dungeon Master

モンスターの名前を変えるだけでも極論『改造』になるわけです。既存のダンジョンマップを90度捻って入口を別の部屋にする、ワールド設定の固有名詞を入れ替えて流用する、なんなら2つのワールドをマッシュアップする、これを「やってよし」と推奨してくるのです。
これに抵抗を覚える人もいるかもしれませんが、そういう抵抗感をLazy Dungeon Master's Style では以下のようにバッサリ切り捨ててます。

Fight back against any sense that borrowing ideas from published sources is cheating, or that it’s somehow less creative because you’re not building things from scratch.
出版物からアイデアを拝借することは不正行為であるとか、ゼロから作らないから創造性に欠けるとか、そういった考えに抵抗しましょう。

Return of the Lazy Dungeon Master

D&Dのダンジョンマスターを始めるハードルを『ガツン』と下げる

以上のようにこの本は、『最小限の準備で最大の効果を狙う』ノウハウが詰まっています。熟練のDMがおこなっている手管を言語化してシステム化したモノ、とも言えますが。
でも、判りやすい8つの項目を全部埋めて、セッション中参照しつつプレイヤーの反応を見て対応する、というマスタリング、だいぶハードルが低くなったと思いません?僕はこれでだいぶ肩の力を抜くことが出来そうですよ。

次は、実際にこの本の記述に沿ったシナリオを用意して遊んでみたい

というわけで、次回はこの教本に沿った形でチェックリストを作り、実際に遊んでみたいと思います。まぁ4月までには形に出来るかな。
では皆さん、良いD&Dライフを!

おまけ:Lazy Dungeon Master CheckList 日本語版

こちらにテンプレートをGoogleスプレッドシートで作って用意しました。書く項目の記入内容のガイダンスを、項目名のセルにメモとして設定しています。お試し下さい。

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