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モンスターデータをカスタマイズ・スクラッチしよう!~THE LAZY DM's Forge of Foes~

割引あり

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こんばんわ。mashです。最近モンスターデータのことばかり書いてるので、最後にトドメというか、更に深みにはまっていくモンスターデータ道を極めていくため、「モンスターのカスタマイズ・スクラッチ」についても説明します。
そのためのテキストは、表題にも書いてあるTHE LAZY DM's Forge of Foes(怠惰なダンジョンマスターによる「敵の鋳造所」)を使用するよ!

THE LAZY DM's Forge of Foes

タイトルにある「LAZY DM」の文字に「おや?」と思った読者はいるかもしれないが、このnote開設のきっかけと言ってもいい「Return of the Lazy Dungeon Master」の著者たちが送るモンスターガイドだ。表紙にあるこの惹句に偽りないスバラシイ一冊なので、興味のある人は手に取ってほしい。

TOOLS AND GUIDES TO BUILD, CUSTOMIZE, AND RUN FANTASTIC MONSTERS IN YOUR 5E FANTASY GAMEŚ 
~貴方の5eファンタジーゲームで素晴らしいモンスターを構築し、カスタマイズし、運用するためのツール&ガイド~

THE LAZY DM's Forge of Foes 表紙より

DMGのモンスターカスタマイズはわかりにくい

このForge of Foes(以下FoF)の目的は、『素晴らしいモンスターを作ったりカスタマイズしたりした上で、プレイヤーたちの記憶に残る素晴らしい遭遇を構築しよう』と言うものだ。
既存のダンジョンマスターズガイドにももちろん遭遇構築のガイドラインはあるのだが、よく読むとちょっとそのまま使用できるとは思えない記述がいくつかある。
以下、DMG81~82Pより抜粋していくが…

  • 戦闘遭遇の難易度は「獲得経験点基準」という、マイルストーン形式でレベルを上げるキャンペーンにはあまり向かない基準が出てくる。

  • 遭遇基準の経験点算出の係数がわかりにくい(モンスターの数で係数が増していく)

  • 一般的パーティーは1日の遭遇回数が6~8回の通常、あるいは困難なレベルの遭遇に耐えられるとしている(いや、割とそれは多いと思うが…?)

と、実際結構わかりにくい。D&D beyond にエンカウンタービルダーは用意されているのでいっそそれを使う手はあるがあまり感覚的ではない。

また、モンスターのカスタマイズ方も割と細かい文字で長々と書いてあるが、割とわかりにくい。DMGの273~282ページに10ページもの紙幅を裂いて、カスタマイズ、簡易版、本格版と書いてはいるものの作成の例示もなく、文字ばかりが多いため、なかなか読み込んで行くにもしんどい。

モンスター運用の副読本・Forge of Foes

そこで登場する副読本がこのForge of Foes だ。モンスターの作成・カスタマイズを直観的かつわかりやすく進める新しいガイド、様々なモンスターの特徴、第4版のメカニズムである『モンスターの役割』の復活と役割別に持っているべきモンスター特徴、「困難」な遭遇を構築する新ガイドライン、D&Dの過去の版において『遭遇構築』はどのように考えられていたかの歴史、モンスターの運用法やモンスタードリブンのストーリー構築までいろいろなことが記述されている。非常に有用なドキュメントだ。
この本の中にある一部モンスター構築データや運用指針などの抜粋は、クリエイティブコモンズ4.0にしたがって公開されている。この本を持ってなくても一部のデータや手法はいますぐ君のキャンペーンにドロップできる。書いている英語は比較的平易なので、機械翻訳だけでも誤解は少ないと思う。中学時代に習った英語を使いつつ読み解いてみることをお勧めする。

BUILDING A QUICK MONSTER~クイックモンスターの構築~

一つ目の特筆すべき項目は「クイックモンスターの構築」だ。クイックモンスター構築とは、『いますぐモンスターが必要なときに準備できるモンスター基準』だ。このモンスターの作成方にも、『めっちゃ手抜きしたもの』と『少ししっかりしたもの』のやり方が用意されている。

めっちゃ手抜きの方~脅威度別基本ステータス表を使う~

このモンスター構築基準で必要なのは…

  • 基準の脅威度
    今日の参加PCのレベルからだいたいの脅威度を決める

  • モンスターの種別
    異形なのか、ヒューマノイドなのか、あるいはアンデッドなのか

  • モンスターが習熟している能力値
    賢い(INT)のか、体格がいい(STR)のか、頑丈(CON)なのか、などと言った感じで一番習熟していそうな能力値を決める

  • どんな特性持ちなのか
    特殊な攻撃が可能なのか、特定の属性に強いのか、特定の攻撃に脆弱性を持つのか。この辺を1つか2つ決める

以上のことを決めて、脅威度に合わせた基本ステータスをメモに移し、モンスターの種別・習熟している能力値、そして特性に関するメモを書く。以上で完成だ。
脅威度別基本ステータス表は、作者のMike Shea氏がクリエイティブコモンズ4.0にて公開しているので、ここに簡単な翻訳をつけて公開しようと思う。

Monster Statistics by Challenge Rating

上記の表だが、『等価レベル』の欄はモンスター1体に対してPC1人が対等に戦えるレベルを意味する。1レベルのキャラ1体が対等に戦えるのは脅威度1/4のモンスター1体だ。妥当なラインだと思う。
『AC/DC』はアーマークラスおよびセーヴィングスロー難易度で兼用する値だ。攻撃時のアーマークラスとか、呪文攻撃時のセーヴィングスロー難易度とかに使用する。
『習熟能力ボーナス』は、『習熟している』全ての判定に使用する。攻撃だろうが能力判定だろうがセーヴィングスローだろうがこのボーナス値だ。習熟していない能力はモンスターのストーリーに合わせて+2~-4の範囲で決めてほしい(ぶっちゃけ急ごしらえモンスターなら0でも良いと思う)。

この表にある特定脅威度の行の値をそのままメモに移し、モンスターの名前・習熟能力値1つか2つ、モンスターの特性(まぁ1つか2つでいい)を決めちゃえば、それだけでモンスターは出来てしまう。いますぐモンスターを用意しなきゃ、って時にはこの程度のものですぐ用意できてしまう。
この表は同時に、『この脅威度とされているモンスターは果たして適切にデザインされているか?』の指標にも使える。サードパーティーやホームブリューの気に入ったモンスターを使う前に、HPや1ラウンドあたりの平均ダメージ量などをこの表に照らし合わせて確認しておくことで、バランスのいいエンカウントが構築できるはず。過去版シナリオに出てくるエンカウントモンスターもすぐにでっち上げられると思います(自分はどっちかというとこっちの使い方でよく見ている)。
ボス級ならまぁしっかりスクラッチすべきでしょうけど、途中のダンジョンの部屋に出てくる雑魚キャラならこれで十分。

ちょっと手の込んだヤツ~汎用戦闘データ・ブロック を使う~

で、もうちょっとしっかりスクラッチしたい人にはこれ。脅威度単位で作成されている『汎用データブロック』だ。これも作者がCC4.0で公開してるので、こちらを見てくれ

これは所謂D&D5eのスタットブロックだが、能力値と簡単な攻撃に関する特性しか載っていないめちゃくちゃプレーンなものだ。
このスタットブロックの能力値を入れ替えたり、習熟能力値をいじったり、特性をいくつか追加したりすることで、君の好みのモンスターに仕上げることが出来る。こっちは能力値や習熟ボーナスの値などが明確に決定するので、ある程度『ちゃんとした』モンスターに仕上がるはずだ。
追加するモンスター特徴の一覧はForge of Foesには色々新しくわかりやすいモノが用意されているのだが、この本を持っていない人も居るだろう。そういう人の場合はダンジョンマスターズガイドの280~281ページに載っている表を参考にするといい。モンスターが使う特殊能力などのうち代表的なものが纏まっている。モンスター作りでForge of Foesを持ってない人が色々やってみたいならDMGの表を参考にするとちょうど良い。クリエイティブコモンズなので元のスタットブロックは君が好きに使って構わないはずだ。何ならここからオリジナルモンスターを作ってD&D Beyondに掲載するのも一興だ。

Monster Tips & Tricks~めっちゃ怠惰なモンスター運用~

この項には、モンスターを運用するときにDMが使えるテクニックや負担を下げるためのガイドがまとめられている。簡単に要約すると…

  • 戦闘時の判定にモンスターのダイスは振らない。全部平均値を加えろ

  • 何ならダメージも固定値でいい。プレイヤーも生存戦略が立てやすくなる

  • イニシアチブもいっそ振らずにテーブルの席順でやってみるのもいいぞ。考えずに済む

  • アクションエコノミー(1アクションあたりのダメージ数など)を判断・操作するための手法。

  • アクションエコノミーを変えやすい呪文などのリスト

  • 脳内劇場でのモンスターの攻撃や魔法の解決について解説

  • モンスターのロールプレイについての解説

プレイヤーをゲームに没入させつつ、DMの負担を軽くするためのテクニックがこれでもかと纏まっている。勉強になるぞ。

Building Encounter~的確な遭遇の構築~

モンスターを登場させる、と言うことはだいたい戦闘遭遇になるわけだが、この戦闘遭遇の構築方法、DMGに載っている方式では少々わかりにくい。
獲得経験値を基準にするので、ちょっと高めのCRを持ったモンスター一匹とかでも一応成立はしてしまうが、ソロモンスターはだいたい低レベルに投入すると致死的な結果を招きがちだったり、逆に相手が五人のPCなら歯ごたえがなかったり、そのまま利用するにはちょっと適切じゃない場合がある。
そもそも長期キャンペーンで遊ぶ場合、マイルストーン型でやっているサークルも多いのではないだろうか(自分のとこもそう)。だとしたら獲得経験点での計算よりは、もう少し的確なものがあってもいいはず…
と言うことで、Forge of Foes には「脅威度とPCの数から割り出す遭遇構築表」が用意された。各PCの平均レベルと人数から、どのくらいのCRを持ったモンスターをどのくらい組み合わせればいいのか、と言うのを明示してくれる。この表もCC4.0にて作者が公開しているので、ここに簡単に訳したものを紹介する。

PC4人用困難な遭遇
PC5人用困難な遭遇
PC6人用困難な遭遇

この表は「困難」な遭遇を作る場合に使用する。以下に例を提示したい。

  1. まず、PCの人数と平均レベル(切り捨て計算)を割り出す

  2. 平均レベルの行の、出したいモンスターのCRの構成を列を見る。以下に例を提示する

    • 四人の5レベルPCに4体のモンスターを当てたい場合、CR 2 のモンスター4体を想定

    • 五人の8レベルPCに1体のボスと2体の副官をつける場合、CR7のモンスターをボスに、CR 4のモンスター2体を副官とする

  3. モンスターと遭遇するロケーションに合わせたモンスターを選択する。森なのか、洞窟なのか、山なのか、地獄なのか。適切なモンスターを設定するも良し、意外なモンスターを設定してストーリーを転がして見るも良し。

この遭遇は、以下のような基準でレベルを変更することも出来る。指定の数だけ参照するレベルの行をずらすのだ。

  • 「死地」の遭遇の場合:+1~+2

  • 「標準」の遭遇の場合: -2

  • 「簡単」な挑戦:-4

ラスボスなら「死地」に設定する場合、五人の8レベルPCなら「10」レベルの行を参照して CR 8 のボスモンスターとCR 5 の副官、と言うように。
このほかにも、遭遇構築のロケーションやシチュエーション、遭遇の終わらせ方など様々なテクニックが紹介されている。

モンスターを活き活きと、それでいて歯ごたえのある運用をしてみたい、もう少し直観的にモンスターを作ってみたい、急いでオリジナルモンスターを作りたいが時間が無い、モンスターのことをもう一段深く考えたい、などと言ったときにこの本は君の手助けになるはずだ。モンスターを沢山用意して操り、君のD&Dセッションを寄り一段深く楽しめるモノにしていこうじゃないか。


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