記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

さっき、ルックバック観てきた

よかったなぁ…

すごく良かった。

感想はうまくかける気がしないけど、観終えたあとこのまま帰る気がしなくて、現実になかなか戻りたくなくて、つらつらと思うことをメモに書いてすごす。しかし暑いな。冷房のきいてるカフェにいてもなんか汗ばむ。とにかく暑い。

泣ける映画だという評判をきいてた。だいたいラストで泣くもんなんだろう。しかしながら観始めて涙腺刺激部分は結構序盤にきた。おそらく小数派だと思うのでその部分をお伝えしたい。


ちなみに予備知識ぜんぜんなく、観終えたあとも解説とかパンフレットとか全く見ていません。あくまで個人の感想です。
ネタバレあり。


………




漫画描くのが好きで、クラスメイトから「将来漫画家になれば?」とちやほやされている主人公。
狭いコミュニティのなかで天狗になっていた自分に気付かされるところから物語はスタートした。

小学生は褒めかたを知らないから、絵が上手いというポイントしか捉えない。
おそらく皆、ちゃんと4コマ漫画を読んでいて、面白くて笑ってた。でも、お話を作ったことがない人はそれがすごいことだとは気づかない。
「面白い」は当然のことだから。
主人公も自分の才能が、長所が画力だと思い込んでるから絵の上手い彼女の登場で簡単に鼻が折れてしまった。

漫画の大事なのは「面白さ」で。
重要なのはぱっと見の絵の綺麗さなんかよりアイディアだから落ち込むことなんかないんだけどな。

京本の絵はただの風景だよ。全然4コマ漫画じゃないよ。オチもなんにもないじゃない。私がその場にいたらそう言ってあげたかった。

鼻が折れた主人公は鬼のように絵の勉強を始めるが、デッサンから徹底的にやるんか!とびっくりした。この昼も夜もない生活。大量のスケッチブック。正直、努力の方向間違ってんじゃないかといいたくなる。が、この徹底的にとりくむエネルギーにプロの素質を感じるし、(ていうか昼も夜もない漫画家生活の暗喩でもあるんだろうなぁこのシーン)このときの勉強がストーリー漫画の人物を描くときに役立つことになるという意味で必要な時間だったのかなとは思う。

藤野が周囲の声かけ通りに描くのを辞め、日常生活をとりもどしてから初めて京本の家に行く。引きこもって出てこない京本に描いた4コマ漫画を見られてしまい、大きな転機となる。
全速力でおいかけてきた京本からの「ファンだったんです」告白。「あのシリーズのあの回の」と矢継ぎ早に羅列される詳細なデータ。熱狂的ファンじゃなきゃこんな熱をもって語れない。京本の藤野へのまっすぐな気持ち伝わったし、同時にそんなファンがつくほどの作家性が主人公にあることも説得力もって伝わった。

藤野は京本に劣等感をもって、自分が再び自信を持つこともおそらく無理、且つそっぽ向いてしまった絵の上手い人への称賛を自分に再びむけさせることも叶わないと知ったから、違う道を選択する決心を既にしていた。
クラスメイト達はおろか自分自身すらも気づかないまま、才能は埋もれてしまいかけていた。

しかし、画力じゃないポイントに気づいてくれている人がここにいただなんて、なんということだろう。

どれだけ好きか、どれだけ藤野が才能あるか熱弁した後京本は聞く。「どうして描くのをやめたんですか」

私、あなたに対して劣等感抱いてるからだよ
私、絵が下手だからだよ

なんて言えるわけがない。

この複雑な感情。自分に漫画辞めさせた元凶であるところの京本が何の思惑もなく自分のファンだと言っている。画力どうこうじゃなく、作品の中身を認めて言っている。絵の上手い下手が漫画辞める理由だなんて通るわけがない。そして最も欲しかった「他人に認められる」ことが他ならぬ漫画の内容で得られることが確信した瞬間だった。
素直じゃない藤野の口からは反射的に「賞に応募する予定だからその準備で」という言葉がでてしまった。

この心理がよく分かる。
嬉しい。でももう自分がフタをしたものだ。しかし可能性があったなら捨てたくない。いや、もともと辞めてなんかないけど?やりたい。やれる。辞めたなんて認めたくない。

一度は諦めた道、軌道修正だ。もう言ってしまった。後には引けない。いやそれ以上に夢が希望が満ち満ちている。一気に道が広がった。世界が色づいた。
足取りが軽い!わくわくする気持ちと、力強さと。走り出したいあふれる気持ちが抑えられない!!!

大股でエネルギーいっぱいに歩くシーンにこの思いが表れている。

ここで、一気にこみあげてくるものが…
号泣したいのを抑えきれなかった(映画館だから堪えたけど)

世界が広がったのは藤野だけじゃない。生き生きとしてる京本。引きこもりだった京本を藤野が外の世界に連れ出してくれた。京本の世界も一気に色づいたのだ。手を引いて走る藤野と引かれて一生懸命ついてく京本のふたりの姿が印象的で目に焼きついている。クレープを食べるふたり。隣り合わせで電車に乗るふたり。楽しそうにおしゃべりする姿。また号泣ポイント。

また、このふたりの声優さんが格別だよね…
あの声だからこそってとこある。ベストなキャスティングといいたい。


このあといろいろなことがあって、私が外に連れ出さなければ、と後悔するシーンがあるけれど、それは違う。たらればを言ったらきりがない。間違いなくふたりの世界は出会ったおかげで広がったんだ。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?