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期待してはいけないと思いつつも

夫と金沢に行ってきた。人生の半分以上を魚が美味しい海沿いの田舎で過ごしてきたが、北陸の魚は今までに住んだどこの魚とも違い、優しい味なのに酒が止まらない。とにかく何を食べても美味しくて、ずっと食べていたい気持ちを引きずりながら、塩辛とこんか漬けを大量に買い込んで帰ってきた。あの居酒屋、うちの近所に移転しないかな……

胚移植から2週間。判定を待つこの期間は、妊婦ぶって調子に乗らないように、期待しすぎないように、毎回細心の注意を払って過ごしていた。食事も薬も極力制限せず、妊婦ぶらずに、いつも通りに。

おわかりいただけるだろうか。妊婦ぶらないようにと意識しすぎるあまり、かえって意識してしまっている。そして何事も意識しすぎるとうまくいかないものである。

血中hCGの値は今回も陰性。かすりもしなかった。いったん薬を中止して数日待ち、生理が始まったら指示されたタイミングで薬を再開する。胚移植自体は何度もやっているが、検査や採卵を挟まずに連続して胚移植をするのは初めてだ。落ち込む間もない慌ただしさがかえってありがたい。

一応「他にできることってありますか?」と聞いてみたが「子宮内フローラといって、子宮内の細菌叢を調べて乳酸菌を補充する方法もあるんですが……うーん……」と煮え切らない主治医。この態度は身に覚えがある。どうしても何かしないと気が済まないという患者さんに、医学的意味は期待できないが害もそんなになさそうな検査や治療を提案するときの態度だ。縋ってもいいけど多分それ藁だよ。

ちなみに子宮内フローラを調べようと思ったら、その周期は移植できないそうだ。30代半ばに差し掛かったこの時期に、一周期潰して藁に縋ろうという気にはならなかった。

この日の夕飯はローストビーフにした。妊婦が食べられないもの、妊娠してなくてよかったと思える美味しいもの。何よりこの日は夫の誕生日、真っ赤なローストビーフはお祝いにぴったりだ……と思ったのに、作ってみたら思ったほど真っ赤に仕上がらなかった。地味に悔しい。

もっと真っ赤な、トキソプラズマ待った無しなレア肉が食べたかった

さらにケーキも焼いた。付き合い始めてから10年以上、毎年の習慣になっている。

ピンクのスポンジにしようとしたら思ったより赤くなってしまった。楽しい。

忙しいとなかなか手が出ないこともあるが、段取りを考えながらひとり黙々と手を動かすお菓子作りはやはり楽しい。子供が生まれたりしたらそうもいかなくなるんだろうか。子供が欲しくて不妊治療をしている身ではあるが、子供がいないからこその楽しみだってたくさんあるし、大事にしたいと思う。

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