子宮頸がん検診
夏休みを利用して「現世遠征 都結び」に参戦してきた。半日で展示と謎解きをまわったので少々慌ただしかったが、難しすぎず簡単すぎずの謎解きも、公式絵師様の美麗絵を浴びるように楽しめる灯結び展もとてもよかった。そして思わぬ形で推しの供給を受けて息が止まるかと思った。冬の京都も参戦したい。
都結びの1週間ほど前に、子宮頸がん検診を受けてきた。住んでいる市から案内のハガキが届いたのがきっかけだった。大学生の時に受けたことはあったが、卒業してからは異動だの引越しだのが続いて、すっかり行きそびれていたのだ。不妊治療で通っている大学病院はちょっと遠いので、近所のクリニックでやってもらった。案内されるままに内診台に上がり、ちょちょいと診察してすぐ終了。体感時間は1分未満、あんまり早かったので医師の顔どころか性別も覚えていない。結果は1ヶ月後になるそうだ。
子宮頸がん。ヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染が主な原因で、現代ではワクチンで予防できる病気だ。ただ、日本では接種があまり進まず、毎年約1万人の女性が発症、約2800人が亡くなっている。
150種類以上あるHPVのうち、癌の原因になりやすいのは15種類。性行為を通じて感染するため、性行為を経験する前の年齢で接種することでより高い効果が期待できる。国によって多少違うかもしれないが、日本では小6〜高1が定期接種の対象になっている。性行為で感染するといっても、不特定多数の相手と性行為をするから感染する、遊んでいなければ感染しない、というものではない。HPV自体はありふれた、言い換えるなら「どこにでも誰にでもくっついてるウイルス」であり、1回の性行為、あるいは挿入を伴わない皮膚接触だけでも感染しうる。パートナーが1人しかいなくても、初回の性交渉から3年後のHPV感染陽性は46%という報告もある。
(ちなみに他の性感染症も、必ずしも遊んでいる、だらしないとは言えないのだが、話が逸れるので今回は触れない)
さて、市からの案内ハガキを見た時、わたしは学生時代に出会ったある患者さんを思い出した。出会ったといっても、直接話したことはない。わたしが実習で産婦人科病棟に入った時、重症個室に入院していた彼女は子宮頸がんの末期で、ほとんど一日中眠っていたからだ。30代、今のわたしと同じくらいの年齢だった。彼女のそばにはいつも、疲れ切った表情のお母さんが付き添っていた。隣の病室には彼女と同年代の妊婦さんが入院していて、お見舞いにきた上のお子さんと「赤ちゃん楽しみね」なんてニコニコしている。ふたつの病室の空気感の差が、学生のわたしにはとてもつらかった。
彼女の名誉のために書いておくと、彼女が子宮頸がんを発症した頃、日本ではまだHPVワクチンが承認されていなかった。
今思えば、というかどう考えても、この時にワクチンを打って検診の習慣をつけておくべきだった。が、貧乏学生だったわたしは、当時数万円のワクチン代を払うのを躊躇ってしまい、結局ろくな対策をしないままずるずると30代になってしまった。
おかげで今も、仕事やニュースで子宮頸がんの話題を耳にするたびに、一瞬不安がよぎる。わたしの相手は過去にも先にも夫しかいないが、相手が1人なら平気というものでもないのは先に書いた通り。子宮頸がんになっても、早期に発見できれば子宮を温存できる可能性があるが、手術後の妊娠では早産などのリスクが高まる。さらに、母親の癌細胞が出産時に羊水を通じて児の肺に移行するという報告もある。妊娠を希望するなら絶対にワクチンを打っておくべきだった。
すぐにでもワクチンを、どうせなら一番守備範囲の広い9価ワクチンを打ちたいところだが、ここでもう一つの壁が。このワクチンは初回、2ヶ月後、6ヶ月後の3回接種が必要で、さらに妊娠中は接種できず、途中で妊娠したら残りは出産後まで延期になる。今接種して、残りのたまごを移植して、仮に妊娠成立したらあと2回は出産後まで打てない計算になる。1回でも打たないよりはいいかもしれないが、どうせならきっちり半年で3回とも済ませたい。そして不妊治療もなるべくさっさと進めたい。ワクチンは本来10代での接種が一番いいとされているが、30代でも手遅れというわけではない。27~45歳女性における免疫原性は評価されており、16~26歳女性より多少低いものの、非劣性が示されている。定期接種の年齢はとうに過ぎているので自費接種、施設にもよるが3回で10万円程度。子宮頸がんの治療費やさまざまなリスクを考えれば安い物だと思う。
残った1個を移植して、ダメだったら来年度まで治療はお休みするつもりなので、接種するならその時期かな。
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