こころのダムが決壊した話③鬱明け仮
その後も度を越えた根性でパニック症状を抑えこみ、
普通のフリをして生きていました。
27歳の秋、体が動かなくなりました。
後から気づくと、声も出なくなっていました。
気づかなかったんです。自分の人生はなくなったことにしていたから。
わたしはわたしのいない世界を生きていました。
大学院を嫌々進級し続け、とうとう最終学年で留年しました。
このままでは来年も留年する、何かを変えようと思い、
勉強のほかに唯一打ち込んでいいことにしていた別の武道のお稽古を一生懸命することにしました。
すると、不思議なことが起こりました。
お稽古を通して、涙が止まらなくなりました。
私の弱気な一言を受け入れる言葉を掛けられたとき。
無理のない姿勢に整えてもらったとき。
講話の中で、ずっとほしかった言葉に触れたとき。
ただただ身体を動かし、滞りなく終えられたとき。
わだかまりが何か気づいて、言葉にしたとき。
副作用として、涙があふれた日の夜は、墓場まで持っていくつもりだった過去の記憶が解凍され、情緒不安定になりました。
しかし、じぶんで何十年かかけてゆっくり癒していこうとしていたものを、稽古を通して手伝ってもらっている、後押ししてもらっているように思いました。
わたしの過去や考えなんて、全然知らないはずなのに何故!?すごい!!
と思いました。
こころの変化のほかにも、現実が変わりました。
かつて理想の人生と引き換えにして養った身体能力が発揮され、めきめき上達しました。
試験に合格するまでは積極的に人間とかかわらないようにしていたにもかかわらず、友好的な方々と知り合い、声を掛けて頂く機会が増えました。
わたしはこのために生きてきたんだ!
と思ったら…
過去を整理し、未来に繋げます。