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映画パンフレット感想#17 『アイアンクロー』


公式サイト

公式X(Twitter)アカウントによる紹介ポスト

感想

上記に引用した公式Xアカウントによる紹介にあるとおり、記事が多彩で充実している。中身も各記事どれも濃かった。一般的な映画のパンフレットに掲載されるような、制作に携わった人々のインタビューやコメント、映画ライターの作品解説のほか、フォン・エリック一家のプロレスヒストリーにフィーチャーした解説、現役プロレスラーによる劇中のプロレス描写の解説など、プロレスに関する知識を補強し映画の世界をより一層楽しめる記事もある。また、前述の紹介ポストに添付された動画をみると、見開きで大きく掲載されたスチールがいくつか確認できるが、パンフのサイズがA4、見開きでA3なので、実物で見るとかなりの迫力だ。

プロダクションノートには、個人的に興味深く感じるエピソードやコメントが多数あり、新たな発見もまた多数得られた。「ショーン・ダーキン監督がいかにしてプロレスに魅了され、どのような思いで主人公としてケビンを描いたか」、「劇中では描かれなかったケビンや兄弟たち、そして父フリッツの幼少期のエピソード」などは、本作制作の原点に触れることにつながったり、劇中描写(現実に起きた悲劇でもあるが)の構造を解き明かすようなものでもあった。本作が「悲劇」だけでなく「愛」の物語でもあることを改めて理解した。

映画ライターの高橋諭治氏の寄稿では、ショーン・ダーキン監督のフィルモグラフィを振り返りながら、映像・演出面や作品のテーマを分析しつつ、監督の作家性を解き明かす内容となっており、興味深く読んだ。私は『マーサ、あるいはマーシー・メイ』をまだ観られていないので、早く鑑賞したうえでこの寄稿を読み返したいと思う。

極め付け(掲載箇所もほぼ最終ページに近い)はショーン・ダーキン監督の長文メッセージ。本作に込めた想いや意図が直接的かつ詳細に綴られており、鑑賞後には必読の内容となっている。やや解釈の幅を限定してしまう「答え合わせ感」もあるにはあるが、私個人的な考えをいうと映画を観る目的のひとつは「監督との対話」なのでありがたく読んだ。

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