敷金は戻ってきますか.....?【後編】

さて前回は敷金の返却が絶望的に思える内容を書きましたが、

今回はポジティブな内容をお伝えして行きます。


北風と太陽

ある日北風と太陽が歩いている旅人の服を脱がす競争をしていました。


北風はありったけの力で風をビュンビュン吹かせ、服を脱がそうとします。

しかし旅人は寒さのあまり余計に上着を抑えてしまい、脱がせることが出来ませんでした。

太陽は陽をさんさんと照らし、旅人は暑さのあまり服を脱いでしまいました。

この教訓をウィキペディアでは以下のように説明をしています。

手っ取り早く乱暴に物事を片付けてしまおうとするよりも、ゆっくり着実に行う方が、最終的に大きな効果を得ることができる。また、冷たく厳しい態度で人を動かそうとしても、かえって人は頑なになるが、暖かく優しい言葉を掛けたり、態度を示すことによって初めて人は自分から行動してくれるという組織行動学的な視点もうかがえる。

これを私たち不動産会社が太陽と北風、オーナーを旅人に例え、Secutiry depositを返してもらう事例に当てはめてみましょう。

まずは北風
オーナーが返却をしないので、不動産会社は毎日のように催促の連絡を続け応じないようなら裁判を起こすと連絡します。

するとオーナーは電話やメールに返信しなくなり、Security depositの返却は絶望的になります。

また不動産会社は物件提供をしてくれる大事な取引先を1つ失うことになり、お客さんにも顔が立たずまさに踏んだり蹴ったりです。


次に太陽はどうでしょう?
オーナーが返却しないので、不動産会社は毎日ではなくとも頻繁にオーナーへ連絡を取り、現状を確認します。
出来ないのであればその理由を聞き、いつ頃なら可能かを聞き出し、お客さんへその旨を連絡します。

更に手元に現金が入ってくる予定が無ければ、次のお客さんをオーナー物件に紹介し、そこで現金をつくり返却にあてるなどの荒業も出来ます。


北風は倫理観から一方的にオーナーへ返却を迫っています。これでは信頼関係も壊れ、返却も怪しくなります。

太陽はオーナーへの提案やみんなの利益になるように動き、返却するためのベストを尽くしています。


なんで返却が遅いの?

北風と太陽の例から見ても、オーナーは返却がしたくても出来ない状態にあることが多く、そこを不動産会社はしっかりと受け止め、返却に向けて健全な話をすることが重要です。

特にフィリピンではその時の自分の状況により優先順位がコロコロ変わります。しっかりと連絡を取れる状況を作り、焦らず着実に進める置くことが大事です。

ここまではオーナーと不動産会社の関係です。




しかしお客さんサイドはどうでしょうか。


契約書に「2カ月で返却」と書かれているにも関わらず、2カ月が過ぎても返却がない状況になれば”心配”や”怒り”の感情も出てくるのも最もです。

お客さんが唯一連絡が取れるのは不動産会社。
その為、お客さんの不満の矛先は当然不動産会社へ向かいます。

不動産会社は問題を解決したいがため、ついつい北風になりオーナーを問い詰め、悪循環な環境が出来上がります。


問題の本質は?

ではこの悪循環の環境を脱するためにはどうすればいいのでしょう?

ここに問題の本質が隠れています。


「敷金 (Security deposit)を返却する。但し期限は問わない


これがポイントです。

お客さんにとって敷金が返却されなければ、
それは丸々会社や個人の損失になります。

しかし、例え返却が遅れてもお金が戻ってくる方がお客さんにとっては
有益ではないでしょうか。
僕はそちらの方が大切と考えています。

確かに契約書通り(退去後2か月で返却)に実行しないオーナーにも非がないとは言えませんが、不動産会社としてはお客さんに損をさせたくありません。

その為にオーナーとお客さんにお話をさせていただきながら、返却に向けて動いているのです。
それが例え1年掛かっても。。。


悲惨な結末

ここで一つ僕の担当で敷金を返却できなかった例をご紹介します。


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このお客さんは元々僕の担当ではなく、違う不動産会社の紹介でお部屋を借りていました。

そして会社が事業撤退するため、既存のお客さんを僕が受け継ぎました。


問題は敷金返却の時に起こりました。

いつまで経っても返却がされません。


よくあることなのですが、念のため引き継いだ会社へどのような経緯で
部屋を借りたのか確認を取りました。

するとインターネットで個人ブローカーより部屋を借りた事実が判明。

そうは言っても全部のブローカーが悪い人ではないので、しばらく静観していました。
しかし3カ月経っても進展がないので、コンドミニアムへ直接連絡をすると
驚愕の事実がわかりました。

①オーナーはブローカーが部屋を貸した事実を知らない。
②契約書のオーナーのサイン等は偽造したもの。
③同じ建物内の多数オーナーが同様の被害を受けている。
④コンドミニアムはそのブローカーはブラックリストに載せ、行方を探している。

つまりこのブローカーはお客さんから預かったお金を全て自分の懐に入れて飛んでいたのです。

僕からオーナーへ連絡するも「自分はそんな契約は知らない。預かっていないのだから返さない」の一点張り。
何度かメールを送るも返信が途絶える…
海外在住ということで家に行くこともできず……


打つ手がなくなり、お客さんへは謝罪するしか出来ませんでした....

お客さんも当時物件仲介に入っていない僕に怒りをぶつけてもしょうがないと思われたのかそのまま連絡が途絶えてしまいました。
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この出来事は僕の中で消化しきれない、めちゃくちゃ悔しい事件として
今もふとした時に思い出します。

結論


「敷金(Security deposit)は返ってきます」


しかし、その結果を得るためには一番初めに物件探しのブローカーや不動産会社の選定をしっかりと行い、ご自身も粘り強く気長に待つ覚悟を持ってください。

現状、この件で困っている方がいらっしゃいましたら無料でご相談にも乗りますのでお気軽にコメントください。


それでは


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