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感情について/エッセイ⑵

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おわりに

おわりに

感情に、内側と外側があることについて。

わたしは自称「自分のことを受け入れている」「鈍感で、人に関心がない」人だった。
誰かの人生を生きた記憶はないのだから、人と比べてこうだと評価出来ないはずなのに、分類して、理解したつもりで、外側で言葉を使った。
その内側には、"恥ずかしいわたし"が隠れていた。

顔が恥ずかしかった。体も恥ずかしかった。何より、悲しいわたしが恥ずかしかった。喜ぶわたしも恥ずか

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探しものは帰り道に

わたしさあ、今日は泣かないの?

すごい質問やな。大丈夫そうやけど。

我慢しなくていいからね。涙は、"わたし"の感情を知るための道筋だから。

おけおけ。

うわ、やな返事の感じー。

ハイハイ、どうぞ。

つまりね、植物にとっての、雨上がりに雲間から差す太陽の光。それが涙なんだよ。

始まった。

植物ってさ、雨が降らないと育たないでしょ。乾いて、しおれて、地面に倒れてしまう。

そうやな。

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寂しい気持ち

寂しい気持ち

ねえあの、太ったこけしみたいなの、いつ買ったんだっけ?

2年くらい前に、ベーグル屋さんの裏であったこけし展で。あと、みたいなの、じゃなくてこけしな。

こないだ断捨離したのにさ、大事に飾ってるんだねえ。

色んなこけしがあったんやけど、それぞれに言われがあってな。それを知って、この子にしようって連れて帰ったから。ただのモノじゃない。

胸のあたりでふたつに別れてる、あれはお饅頭?

そう。詳しい

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後悔の向こう側へ

なあなあ。

…今日は眠たいから、ストレッチして寝ようよう。

"わたし"が泣いてる理由、わたしなりに考えたんやけど。

ほう。言ってみ?

ズバリ、過去を悲しむ"わたしたち"にうんざりするからでしょう!

人はそれを後悔と呼ぶね。

あー、それそれ。

何を後悔してると思う?

…ある時、上手くいってるって思ってた人について?

あの頃は、わたしの甲羅が鉄鋼の鎧だったから、"わたし"としては後悔

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涙の温度

涙の温度

なあ、最近悲しいことあったっけ?

…何でそんなこと聞くの。

寝ようって時に"わたし"が泣くからよ。

わたしは悲しい時にしか泣かないの?

えー…たぶん。"わたし"はそうじゃないってこと?

うん、ちょっと言いづらいんだけど、わたしが泣いてる時、"わたし"はなんてゆうか…豊かなの。

ほう。

感情には名前がついてるじゃない。悲しみ、喜び、怒り、驚き、嫌悪、恐れ、信頼、期待…。でもそれはさ、"

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