築40年以上の父所有の4LDKの一軒家が空き家になった

木々が覆いつくす両親の今の家とは別に、父が40年以上前に当時新築建売で購入した私鉄の駅から徒歩10分程の郊外にある4LDKの一軒家がある。

当時購入して間もなく、父が転勤になったため、私達家族はその家に5年と住んでいない。長らく借家として人に貸していた。

父が定年を迎え、両親は木々が覆いつくす今の家に移り住んだ。4LDKの一軒家はそのまま人に貸し続けていた。

父によると、4LDKの一軒家には、これまで色々な家族が借りて住んでくれたそうなのだが、中でも、現在住んでくれている親子(おばあさんとその息子さん)は10年も続けて借りてくれている、と言う。

その間、幾度となく定期的に、この一軒家の「エアコンが故障した」「窓が割れた」「風呂釜の調子が悪い」「トイレの流れが悪い」etc…不動産屋から父へ修理代の見積もりが送られてきていた。
それに対応する父を見るたびに、「家賃収入よりも、マイナスの方が多いのだから、処分してしまえば良いのに!」と言っていたのだが、父は聞く耳を持たずだった。

賃借人の親子(おばあさんとその息子さん)からも「今借りている家を、売ってもらえないだろうか」と売却の依頼があったが、父は断り続けていた。

………そして、時が経ち、賃借人のおばあさんが亡くなってしまった。
そして、その息子さんは、「一軒家は広すぎる」と言って、退去してしまった。

築40年以上の木造4LDK。
間取りは当然、今風ではなく、キッチンやトイレ、風呂が離れたところにあり、階段は急こう配で狭い。
設備機器の故障にはその都度、対応していたものの、外壁や内装、床、外構などは40年間、手を入れていなかったため、ボロボロになっている。

賃貸で長らく貸していたということが災いしたようで、入居者が丁寧に住みながら手入れをしてくれていた形跡は微塵もない。

長らくこの家の賃貸管理をしてくれていたのは、この家から徒歩すぐのA不動産。
「掃除だけでなく、大幅にリフォームをしないと新たな入居者は探せない」と言う。

そんなA不動産から出てきたリフォーム代の見積もりは、460万円(!)
給湯設備や外壁、内装、畳や床の取り換えetc…。

「この家、売ろうかな・・・」
その見積もりを見た父の気持ちがようやく変わった。

しかし、「売ろうかなー」なんていう軽口を叩けるほど簡単に売れるはずがなかった。


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