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2020筑波大学 国語 第二問 解答速報

出典は森浩美の小説『家族連写』。

問一「そんな姿を見せられては、恨み言も言えなかった」とあるが、なぜ「恨み言も言えなかった」のか、述べよ。

〈GV解答例〉
無口で愛想がいいとは言えない父が、入院先を見舞った私をじっと見つめ涙を浮かべて詫びる姿から、父の急な病で生活が困窮した妻子に対する強い自責の念が感じられたから。(80)

〈参考 S台解答例〉
無口で無愛想な父が涙を浮かべてわびる姿から、自分の病気で家族に苦労をかけていることへの申し訳なさや無念の気持ちが伝わってきたから。(65)

〈参考 K塾解答例〉
普段は無口で無愛想な父が、自分の入院で困窮する妻子の苦労を慮り、涙を浮かべ詫びる姿を見て、どれほど心を痛め、家族に申し訳ないと思っているかがわかったから。(77)

問二「最初は『平気だよ』と答えていたものの、そのうち黙ってそっぽを向くようになっていた」とあるが、なぜ「母」にそのような態度を取るようになったのか、述べよ。

〈GV解答例〉
最初は母を気遣う余裕もあったが、生活の困窮が隠せなくなる中で卑屈になり、仲間との関わりも少なくした私には、母の情けなさそうな態度が逆に気に触るようになったから。(80)

〈参考 S台解答例〉
当初は苦しい家計を支える母を気遣い気丈に振る舞えていたが、貧しさのなかで惨めな思いを味わううちに卑屈になりやるせなさを隠しきれなくなったから。(71)

〈参考 K塾解答例〉
最初は父に代わって懸命に働く母を思いやる余裕もあったが、金がないことで友人との関わりを避けるようになり、卑屈で孤独になった傷心の思いを隠せなくなったから。(77)

問三「放課後、あまり気が進まないまま先生の白いカローラに乗せられ、彼女が身を寄せた親類の家へ向かった」とあるが、なぜ「あまり気が進まな」かったのか、述べよ。

〈GV解答例〉
生活の困窮で卑屈になりクラス内で孤立し関わりを少なくしていた私に、普通は児童会役員や学級委員長が果たす困った家庭に見舞金を届ける役割が、半ば強引に新井先生から課されたことが不可解な上、自らと重ねて訪問先の困惑した状況を見るのが辛かったから。(120)

〈参考 S台解答例〉
生徒に厳しい新井先生に同行するのが気づまりで、本来なら児童会役員や学級委員長が務める役になぜ自分が指名されたのかも腑に落ちず、貧しさゆえに学校で孤立している自分が見舞金を届けることに割り切れない思いもあったから。(106)

〈参考 K塾解答例〉
本来なら悲惨な目に遭った級友の家に見舞金を持って行くのは、児童会役員や学級委員長が果たすべき役目であるはずなのに、そうした役目を、家に金がないため級友とも距離ができている自分が果たすことに納得がいかず、複雑な思いもあったから。(113)

問四 A「小さな声で答えた」から、B「躊躇なく『うん』と返事をした」への「私」の心情の変化について、説明せよ。

〈GV解答例〉
Aでは、困窮した状況に卑屈になっている自分の内面を見透かされることに抵抗があり、念願の肉まんを所望するにも恥ずかしさを感じていた。しかし、そんな私を笑顔で見守る新井先生に安心感を覚え、Bでは、長い労働の実感で報酬を受け取ることが自然に思え、何より肉まんの味を子供心に思い出したことから、先生の好意を素直に受け止められた。(160)

〈参考 S台解答例〉
Aでは、気が進まなかった見舞いの役目を果たしただけでおごってもらうことに引け目があり、貧しさゆえに食べたくても我慢していた肉まんを遠慮がちに頼んだが、Bでは、先生を手伝って懸命に仕事をしたいという実感もあり、先日一緒に肉まんを食べた時のおいしさと先生への親しみを思って、その好意をこだわりなく受け入れている。(154)

〈参考 K塾解答例〉
見舞い金を渡す役目を果たした「私」は、それだけのことで先生にご馳走してもらういわれはないと思いつつも、食べたくて仕方なかった肉まんをねだってしまったことをうしろめたく思った。花壇の手入れを手伝った「私」は、先生に頼まれた仕事をやり遂げた手ごたえのなか、肉まんのおいしさを思い出しつつ、先生の心遣いを素直に受け入れている。(160)

#筑波大学 #国語 #森浩美 #家族連写

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