タイBLの次はフランスBLを見ないか?SKAMって言うんだけど。
SKAMとは
原作はノルウェーで2015年から2017年にかけて放送されたテレビドラマで、ドイツ、スペイン、イタリアなどヨーロッパを中心に数多のリメイクがされている人気ドラマだ。
今回はその中でもフランス版について語らせてもらうこととする。
内容は、大学生の男女たちを主人公に、人間関係、性別、性差、病気、セクマイ、人種、宗教、薬物・・・あげればキリがないほど、普通のドラマではスポットの当たらない、いや当てにくいあらゆる”現実問題”に真正面から切り込んでいく、そんな作品だ。
各シーズンごとに主人公が変わるのも特徴で、このnoteでは主にフランス版シーズン3の主人公Lucasと、そんな彼に深く関わることとなるElliotについてお話していく。
二人の魅力はもちろんなのだが、このSKAMという作品自体の魅力についてご紹介できればと思っている次第だ。
LucasとElliot
Lucas(リュカ)
友達とちょっとしたやんちゃもお手の物、ごく普通の男子大学生。
でもどこかで自分のセクシュアリティに疑問を持っていた。
ある日大学の集まりでElliotを見かけ、惹かれ始める。
Elliot(エリオット)
卒業間近になってLucasのいる大学にやってきた謎の転校生。
芸術センスに長けているが、どこか掴めない印象の青年。
配信システムの面白さ
SNSや動画配信サイトを上手く使った配信システムの真新しさも人気の要因の一つと言える。
実際に作中の人物と連動したSNS投稿、そして作中の時間とリアル時間をリンクさせたYouTubeでの動画配信、分数まできっかり設定されている。
例えば土曜日の16時48分、スマホにメッセージが届く。
たったそれだけの1分少々の動画が公開される。
でも、それは紛れもなく私たちの過ごす1分と限りなく近い1分。
今この瞬間、フランスのどこかで彼らの関係性や心が動いている、という体験ができ、普通のドラマよりも”現実”との距離が近いのだ。
簡単にはいかない男の子同士の恋愛
前述の通り、主人公Lucasは元々ゲイだと自認していたわけではなく、Elliotに惹かれて初めて自身のセクシュアリティと真正面から向かい合うこととなる。
一方のElliotはLucas=同性との恋愛的関係も隠そうとはせず堂々と振る舞う。
惹かれ合う二人だが、友人、親、お互いの気持ちのすれ違い・・・出会って好き合ってはい幸せ、なんてものは存在しない。
私はゲイの男性ではないのでわからないが、実際に男性同士で恋愛関係にあるというのは、親や友人や職場へのカミングアウト、将来の不安、自身・相手のセクシュアリティ・・・男女の恋愛とはもちろん違うだろう。
二人の間にはたくさんの現実的な障害が待ち受けているのだ。
Lucasの周りには、ゲイを公言している人もいれば同性愛を否定的に見る人もいる。
Lucas自身も自分の在り方に悩む。
様々な角度からの意見、気持ち、行動を切り取りながら、Lucasがどんな選択をし、どのようにElliotと関係を深めていくのか。
それがシーズン3の一番の見どころだ。
日本では絶対に真似できない、その理由
先に言っておくが、決して日本が悪いというわけではない、歴史や文化が違うのだから。
でも、SKAMには絶対に日本のドラマでは見られない面白さが確かに存在するのだ。
例えば、登場人物にはアフリカ系フランス人、つまりは黒人のキャラクターが登場する。
ヨーロッパには移民としてやってきたアフリカ系の黒人の子孫が実際にその国の人として暮らす。
そして今も差別と闘っている。
しかし、日本人は大体が黄色人種だ。
この時点で、人種差別という問題は日本のドラマでは身近な問題として描くことが大変難しくなる。
もう一つ大きなものを上げるとすれば宗教だろう。
日本人はあまり宗教に関心がなく、まぁ大体の家庭は神道か仏教のどちらからしい・・・と言われてもあまりピンと来ないものだ。
田舎の実家には神棚もあれば仏壇もある、よく考えてみればおかしなものだな。
今このnoteを読んでいるあなたも、宗教の教えを律義に守り、信仰しているかと聞かれてYesと答えられるだろうか?
そのくらい、日本人は日常的に宗教と関わる機会が少なく、誰かとぶつかり合うことも少ない。
そんなフランスの若者を取り巻く様々な問題を描きながら、登場人物たちと一緒に私たち視聴者も傷つき、励まされ、考えさせられるのだ。
自分らしく生きる
SKAMを一言で表すとすれば、自分らしく生きる物語だ。
SKAMというタイトルはノルウェーの言葉で「恥」を意味する。
皆、自分の中の「恥」と戦うのだ。
自分らしさとはなんなのか、自分とはなんなのか、自分はどうしたいのか、どうすれば自分らしく生きていけるのか・・・。
周りの人間や自分と向き合い反発し合いながらも、折り合いをつけて自分の進むべき道を模索する、そんな物語。
決して明るく爽やかで取っつきやすい作品とは言えない。
でも、彼らが苦悩を乗り越えた先には、きっとちょっとだけ生きやすい世界が見えるのではないかな、と思う。
突然だけど、私は作中でこのシーンが一番好きだ。
でも、どんなシーンかと問われると、盛大なネタバレとなってしまう為、見て確かめてほしいとしか言えない。
具体的なストーリーについての言及が少ないのは、何を言っても初見の楽しみを奪ってしまいそうだからだ。
このnoteで少しでも興味を持ってもらえたのなら、きっと本編を見ればあなたの人生にまた一つ素敵な物語の記憶が追加されるだろう。
ちなみに、S3に関しては日本語字幕はついているしYouTubeで無料で見られる。
【20.12.01追記】SKAM 日本上陸決定
退屈な日々のお供に是非SKAMを。
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