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2020/05/11 沼にはまる/惚れたが負け

友人から葉書が届く。
ポーカーをする犬の葉書だ。アメリカの風刺画家・クーリッジ(Cassius Marcellus Coolidge)による《Stranger in camp》 というこの絵、犬たちのなんとも生々しい表情といったら!妙にタイムリーな気がして、つい中央の負けた犬に自分を重ねてしまう。

今日の仕事を終えて、何の魔が差したのか、普段はしないyoutubeをだらりと眺めていたのです。
昨夏、《舞台 文豪ストレイドッグス 三社鼎立》を森ノ宮で観て以来、そこで知った俳優たちの出演作品をいくつか観るようになっていました。この春は、《舞台 文豪ストレイドッグス 三社鼎立》で主演を務めた鳥越裕貴さんが出演していたことを知り、《舞台 弱虫ペダル》シリーズを続けさまに観ました。「dアニメストアでペダステ観れるで!」というtwitterで偶然見かけた一言がきっかけでした。

仕事はそれなりにあるけれど、家にいる時間は長いし、予定していた芝居もライブも全部中止になってしまったので、dアニメストアで公開されている《舞台 弱虫ペダル》は全部観てしまった。
この舞台が始まった当初、話題になっていたことはうっすら思い出せる。自転車のお話なのに、自転車はなく演者はハンドルだけを持ってステップを踏む。「変なの」と思ったきりそのままで、すっかり忘れていた。
実際に見もしないで、分かった気になるのはよくない。
今観てみると、「ない」のに「ある」のだ。すごいよ。自分で書いて気に入っている表現の一つに「舞台は現実にある魔法」というのがあるのだけれど、《舞台 弱虫ペダル》を観たときにも同じことを感じたのだ。そういう人間の想像力に働きかけるエネルギーは偉大だと思う。それを、何かと制約のある生身の人間が演じていることにも魅力を感じる。
(この話もいずれ別稿で書きたい。)

ここで、ようやく今日の話に戻る。
だらりとyoutubeを見るといっても、わたしの履歴もブックマークも高野寛を基本とした音楽関係のものがほとんどだ。でも、今日はうっかりこの春に憶えた俳優の名前で検索してしまった。
芝居のDVDでは、本篇よりも特典のメイキング映像などを好んで見てしまう質なので、youtubeなんてそういうものの断片が無数に投稿されていて、追っているうちに気がついたら長時間経っていた。youtubeが時間泥棒だということを知っていたのに、ついつい。

テレビ番組・戦国鍋TV内の、「MUSIC TONIGHT」という歌番組コントに辿り着いたのがいけなかった。80年代の音楽番組を模したコントで紹介されるのは、懐かしい音楽のパロディ。ぐっと心をつかまれてしまったのだ。(レキシが好きな人なら、こちらも好きな人がいるのではないかしら。)
特に、《舞台 弱虫ペダル》の主演だった村井良大さんと、その舞台でわたしが特に素敵な人やと思った鈴木拡樹さんとが共演する歌ものは、KinKi Kidsっぽいデュオ「信長と蘭丸」、AKB47っぽい男性アイドルグループ「AKR(赤穂浪士)四十七」で、これがキャッチーに過ぎ、中毒性が高い。前者の曲が「敦盛2011」「敦盛2013」、後者が「討ちたいんだ」「ゲンロク・アコージケン」。もうずっと観ていられる。(しかも先に見ていた作品での姿とのギャップがまた凄い。)

友人からの葉書の犬たち。ポーカーに勝った犬は楽しかろうが、負けた犬もあんな顔して泥沼の自分の状況を楽しんでいたりはしないか。
ある趣味の虜になることを「沼にはまる」という言い方をするけれど、言い得て妙だとつくづく思う。沼にはまれば悲鳴のひとつも上げるだろうが、それは嬉しい悲鳴だったりするのだ。


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