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1月に観た映画の話

2022年は可能な限り毎月note投稿をしてみようと思い立ち、1月中に鑑賞した映画について感想を書いていこうというお話です。
(ヒスイ地方に籠っていたせいでもう2月ですが…)

とりあえず1月分ということで、重大なネタバレの無い範囲で紹介していきます。よろしくお願いします。


スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

トム・ホランド演じるMCU版スパイダーマンの一区切りとなる集大成的作品。「ホームカミング」「ファー・フロム・ホーム」に続くホームシリーズの3作目。

あらすじは以下の通り。

世界中にスパイダーマンであることを明かされたピーター・パーカー。ドクター・ストレンジはピーターから頼まれ、人々のピーターがスパイダーマンだという記憶を消す呪文を唱えるが、時空が歪みを引き起こしてしまう…… それによりマルチバースが出現。それぞれのユニバースから、スパイダーマンの敵を呼び寄せてしまう。
(※YouTube概要欄より引用)

「アベンジャーズ」シリーズことMarvel Cinematic Universe(以下MCU)は本作までで27タイトルが劇場リリースされており、ドラマ作品を含めると30タイトルを超えています。
今から全てを追いかけるのは中々難しいですし、もはや映画というよりは隔月や季刊連載の少年漫画といった楽しみ方のジャンルですね。

特に本作「ノー・ウェイ・ホーム」においては過去に実写化された「スパイダーマン」および「アメイジング・スパイダーマン」に出演したヴィランが、オリジナルキャストかつ、設定を保持したまま全くの同一キャラクターとして再出演するという他に類を見ない超大作です。

「スパイダーマン」からグリーンゴブリン、「スパイダーマン2」からドクター・オクトパス、「スパイダーマン3」からはサンドマン
「アメイジング・スパイダーマン」からはリザード、「アメイジング・スパイダーマン2」からはエレクトロ
過去全ての実写映画から計5名ものキャラクターがカムバック。
※「スパイダーマン」は2002年公開、「アメイジングスパイダーマン」は2012年公開

前提として、スパイダーマンの映画化権は原作出版社であるMarvel Comicsの映像製作を行うMarvel Studios(を傘下に持つディズニー)ではなくSONYが持っているわけで、その権利関係のアレコレでMCUにスパイダーマンが出るのか出ないのか、出たとしても継続して出演できるのかという問題に振り回されてきた経緯があります。
(※「ホームカミング」と「ファー・フロム・ホーム」は両社の共同製作)

そんな中、SONY単独で権利を有している過去作のキャラクターたちが再登場、しかも当時の設定のままというビッグニュース。いったいどれだけの苦労と困難があったのかは推して知るべしですね。

似たようなところではスマブラへのソラ参戦が挙げられるでしょうか。実現不可能とされることを見事に現実のものとしてくれました。

大勢の過去キャラクターに加え、5月に単独映画を控えるドクター・ストレンジも登場したりとまさにお祭り騒ぎのような作品ですが、その軸にはしっかりとトム・ホランド演じるMCU版スパイダーマンの成長物語があります。

これまではアイアンマンを始めとする周囲の大人たちの理解と協力のもとヒーロー活動に取り組んできた少年が、自身の未熟さ故の過ちに苦しみながら正しい道を模索していく。等身大な青春ヒーロー譚として素晴らしい作品だったと思います。

またわざわざ過去作のヴィランたちを呼び戻したこともあって、彼らの掘り下げも見事なものです。1作品につき1人だけ登場していた都合見ることができなかった敵同士の交流は、時におかしく時にシリアスで、ファンが観たかった光景がそこにあったように感じます。

ドクター・オクトパスはグリーンゴブリンが社長を務める企業の科学者ですし、エレクトロは普段リザードが研究を行っているオフィスの電気技師ですが、それぞれが同じエピソードに揃って会話を交わすことはありませんでした。

「スパイダーマン」および「アメイジング・スパイダーマン」シリーズはそれぞれ続編が予定されていましたが打ち切りに終わってしまいましたので、このような形で現行のシリーズに関わってくれるということは、それだけで報われたような気持ちにさせてくれます。
リブートされる度に「またイチからやり直しか」と切ない気持ちになったのも今は昔。後付けだとしても、全ての世界が繋がっていると、意味があったとする展開には感謝の念が堪えません。

日本での公開は1月7日でしたが、ほぼ間違いなく2022年で一、二を争う極上のエンターテインメントと言えるでしょう。
そもそも他社が権利を持っている20年前、10年前の映画5作品から同キャストが再演するなんて聞いたことがないですしね。

まさに最高の映画体験でした。
スパイダーマンが大好きで本当に良かったです。

カメラの外では仲良しのヴィランおじさんたち大好き。
御年66歳の名優ウィレム・デフォーの、同役が20年ぶりとは思えない怪演も注目。


ハウス・オブ・グッチ

リドリー・スコット監督最新作。世界的ブランドであるGUCCI、その創業者一族の栄華と破滅を描いたドラマ。

あらすじは以下の通り。

貧しい家庭出身だが野心的なパトリツィア・レッジャーニ(レディー・ガガ)は、イタリアで最も裕福で格式高いグッチ家の後継者の一人であるマウリツィオ・グッチ(アダム・ドライバー)をその知性と美貌で魅了し、やがて結婚する。
しかし、次第に彼女は一族の権力争いまで操り、強大なファッションブランドを支配しようとする。
順風満帆だったふたりの結婚生活に陰りが見え始めた時、パトリツィアは破滅的な結果を招く危険な道を歩み始める…。
(※公式サイトより引用)

予告を観ていただければ分かる通り主要キャストが軒並みアカデミー賞受賞もしくはノミネート経験のある方々ですが、その中でも主演女優として堂々たる演技を魅せるレディー・ガガは圧倒的でした。
華やかなグッチ家に取り入ろうとする卑しい悪女といった描かれ方の人物だったと思いますが、基本的には気配りのできる世渡り上手な面を見せながら、エスプレッソの飲み方のようなほんのちょっとした所作に育ちの悪さを覗かせる表現力に痺れます。

その他にも昨年の「最後の決闘裁判」に続いて同監督作品の主演男優を務めるアダム・ドライバーのいかにもなうだつの上がらなさ、特殊メイクで別人のような風貌のジャレッド・レトのイタリア訛り等々、細かいポイントを挙げればキリがない程に役者たちの演技合戦に目を奪われました。

あくまでも実話に基づいた物語ですが、実際に起こった事件がとある場面に用意されており、インターネットで調べれば当時の関係者たちの顔写真もヒットします。
実在するブランドを扱っているということで役者が着こなすファッションはもちろん要注目ですが、当時の人物像を見てみるとどれほど似せているかが分かるので鑑賞後にチェックしてみるのもアリかもしれません。

予告で印象的に使用されたHeart Of Glass/BlondieのMV。本編を観た後だと尚のこと皮肉のように思えます。


ライダーズ・オブ・ジャスティス

マッツ・ミケルセン主演によるノワール調アクションのデンマーク映画。

あらすじは以下の通り。

妻が列車事故で亡くなったという報せを受け、軍人のマークスはアフガニスタンでの任務を離れ娘の下へ帰国する。悲しみに暮れる娘を前に無力感にさいなまれるマークスだったが、彼の下を二人の男が訪ねてくる。その中の一人、妻と同じ列車に乗っていたという数学者のオットーは、事故は“ライダーズ・オブ・ジャスティス”と言う犯罪組織が、殺人事件の重要な証人を暗殺するために周到に計画された事件だとマークスに告げる。怒りに打ち震えるマークスは妻の無念を晴らすため、オットーらの協力を得て復讐に身を投じてゆくが事態は思わぬ方向に…。
(※公式サイトより引用)
坊主頭でヒゲを蓄えたマッツも麗しすぎ…。

昨年は同俳優主演による「アナザーラウンド」もありデンマーク映画に触れる機会が多くなってきましたが、どちらも共通して「ある種の物悲しさ」を感じる作品でした。
特に本作は「ジョン・ウィック」「イコライザー」のような、いわゆるナメてかかったらヤバい奴だった系のアクションエンターテインメントと思っていたので、ある事実が種明かしされる場面では思わず深いため息が漏れてしまったのを覚えています。

いかにも悪者たちのアジトのようなセットでの爆発も無く、淡々と過ぎる日々の中で繰り広げられる復讐劇。
現役軍人で頑固者な父親を演じるマッツのパワフルな暴力シーン・冷酷な演技はもちろん必見ですし、それをサポートする3人の理数系スペシャリストたちもとても魅力的です。

オットー、レナート、エメンタールの3人はそれぞれ統計学やクラッキングといった得意分野を持ちながら、世間との折り合いの悪さや本人自身の問題から日陰者として過ごしていました。
社会的強者や暴力的な者たちから攻撃の対象となってきた彼らは、マークスという協力者を得て反撃しようと奮起します。
また社会からはみ出してしまうことの痛みを知っているからこそ、家族を亡くしたばかりの主人公やその娘のメンタルに寄り添うこともできるのです。

ビジュアルも役回りも3枚目な彼らですが、主人公に負けず劣らず存在感を放つトリオでした。

全編通して重苦しい空気感の沈殿した映画ではありますが、その中にもわずかに残る温かみに救われるような、不思議な魅力のある作品です。
「アナザーラウンド」や最近ハリウッドでリメイクされた「Guilty」もそうですが、こういった展開の起伏を敢えて抑えたような造りがデンマーク映画らしさなのかもしれません。


その他

以下、その他に鑑賞した映画を軽く紹介。


クライ・マッチョ

御年91歳を迎える巨匠クリント・イーストウッドによる監督・製作および主演最新作。含蓄ありまくりな本当のマッチョによるマッチョのためのロードムービー。
砂煙に包まれた荒野において瑞々しく生きる人々の生活の表現がお見事。もっと観ていたくなるような、あっという間の100分でした。


レッド・ノーティス

劇場未公開のNETFLIX独占配信映画。説明不要のスーパースター3人が揃い踏みのコメディ・アクション。
世界を股にかける美術品泥棒とそれを追うFBI捜査官の乱痴気騒ぎに加え、二転三転するストーリーも最高でした。
エログロも無く誰にでもおススメできる作品です。
どこをどう見ても面白いのが分かり切ってる最高の予告。


ミッチェル家とマシンの反乱

こちらも日本未公開でNETFLIX配信中のアニメ作品。「スパイダーマン:スパイダーバース」でアカデミー賞長編アニメーション作品賞を受賞したスタッフが製作。
世間から少し浮いている一家が世界を救うために奔走する物語ですが、根幹には普遍的テーマ(家族との繋がり)近現代的なテーマ(テクノロジーやジェンダー)が共存しており、それを圧倒的なアニメーション技術でパッケージングされています。
※2月8日、第94回の米アカデミー賞長編アニメーションノミネートされました。
何を食べてたらこんな展開が思いつくんだという小型ファービーと超巨大ファービーが襲い来るシーンは一見の価値アリ。


最後に

1月は何といってもスパイダーマンの話になってしまいますね。久しぶりに劇場へ複数回足を運んだ作品ですが、何回観ても同じ場面で涙ぐんでしまいます。
パンフレットも特装版を買ってしまいましたし、4月の「モービウス」「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」も楽しみです。

ジャレッド・レト主演。「ヴェノム」と世界観を共有するソニーズ・スパイダーマン・ユニバースシリーズの最新作。
公開は2022年中を予定。圧巻のアニメーションと豪華声優陣が話題を呼んだ前作は、つい先日アマゾンプライムでも配信されたので要チェックです。
事前知識が無くても楽しめる、どちらかというとファミリー映画的な要素の強い作品です。

一方の2月は「アンチャーテッド」「オペレーションミンスミート」「ロスバンド」が個人的に気になるラインですね。2月下旬か3月頭ごろにnoteを更新できたらいいなと思っています。

それでは。

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