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『影響力の武器』と「お~いお茶」の新俳句大賞

毎週日曜日の読書勉強会で、
『影響力の武器』を読み進めている。
今は「コミットメントと一貫性」
章に入り、生々しい事例が続いて
いて興味が尽きない。

中国がアメリカ人の捕虜に対して
実施し、驚異的な効果を上げた
教化プログラム
が、何度読んでも
衝撃的な内容である。

中国側の主張(共産主義への賛意)
アメリカ人捕虜に口頭で同意させ、
更にノートに書き留めるように促す。
それを断った場合は、単に「写経」の
ように、中国側の主張をノートに
書き写すことだけ
を求める。

この、一見全く「害のない」譲歩
引き出すことができれば、それこそ
芋づる式に「一貫性」のワナへと
ずるずる引きずり込まれる。

自分が書いたノートが、ずっと自分の
手元に残り、かつ中国側に取り消しを
求めることもできない状況が続くことで、
いつしか自己イメージとの一貫性を保つ
ために、自分の信念を変えざるを得なく
なる
というのだ。

また、中国側は、捕虜が自分で書いた
ノートを他の捕虜仲間たちに見せるなど、
彼らを説得する材料としてずるがしこく
活用
したのである。

別の例では、アメリカでよく使われる
定番の販促キャンペーンの話が出て来た。
P&Gやゼネラルフーズといった大企業が、
25語、50語、100語以内といった
定型文字数での推奨文コンテストだ。

これは多くの場合、商品を買うことを
条件にする「クローズド」キャンペーン
ではなく、誰でも応募可能な「オープン」
形式のキャンペーン
である。

そしてこれは、正にお客様から
コミットメントを引き出し、
長期に渡ってファンで居続けてもらう
優れた方法論
なのだ。

自分で書いた推奨文に縛られ、
お客様は常に一貫してその商品の
ファンで居続ける
ことを選択したかの
ように、自ずと導かれるのである。

オープンキャンペーンで、一般消費者に
文字で書かせて応募させる形式として
パッと思い浮かぶのが、伊藤園の
「お~いお茶」
が長年続けている
「新俳句大賞」だ。

以前に、上記の記事において、
PRの好事例として紹介させて
もらったことがある。

もちろん、PRの成功事例であるのは
疑いのないところ。
しかしながら、『影響力の武器』に
あるコミットメントの話を聞くと、
より深遠な効果があったのかもしれない
ということに思いを致さざるを得ない。

すなわち、自ら俳句を詠み、それを
応募するという行動を通じて、
「お~いお茶」を購入するという
自分のコミットメントが強化されて
いる
のではないか、ということだ。

こうした効果を得るには、かなり時間が
かかるし、そもそも「新俳句大賞」が
どこまで直接・間接に寄与しているかを
測ることはかなり無理がある
と思われる。

とはいえ、「新俳句大賞」が既に34回
(=34年)も続いている
ことを併せて
考えるに、「お~いお茶」を底支えする
大きな力
になっているのではなかろうか。

などと考えていたら、丁度今晩18時から
第34回の「オンライン入賞作品発表会」
開催されるとのこと。

偶然に驚くと共に、こうして記事を書いて
いる自分もまた「お~いお茶」ブランドに
取り込まれているのかもしれない

そんなことを考えてしまった。


己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。