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意図的に「聞き間違い」を起こすというアイデア

年をとると耳が悪くなってきます。
私の父などひどいもので、
耳が遠くなるからTVの音量が
どんどん大きくなり、
余計に耳が悪くなるという悪循環
としか思えない程。

聞こえが悪くなると、
聞き間違いも増えるのだ
そうです。

この聞き間違いをネタにした
伝説的なTV番組のコーナー
つい最近まで放映されていたのは、
ご存知の方も多いことでしょう。

それはもちろん「空耳アワー」
Wikipediaによれば、TV朝日系列で
放映されていた『タモリ倶楽部』
一コーナーとして、1992年から
2023年4月1日の放映終了直前まで
断続的に続いていました。

洋楽の歌詞が、日本語の全く別の
単語に聞こえる
というネタだけで、
30年にもわたって延々と続いてきた
のは恐るべしですよね。

さて、今日は「空耳アワー」の
思い出話を語ろうと思ったわけでは
ありません。
最近フランスのカンヌで開かれた
クリエイティブの祭典
「カンヌライオンズ」
アワードを受賞した作品にこの
「聞き間違い」をテーマにした
ものがあり、是非紹介したいと
思ったのです。

「スペックセイバーズ」という
イギリスの小売店は、コンタクトや
補聴器などの器具
を扱っており、
日本の「メガネストアー」などに
相当すると思ってください。

補聴器が必要となる潜在的な顧客は、
自分自身薄々その必要性を感じ
とっていることが多い
ようです。

お店としては、聞こえのテストを
受けてもらい、補聴器を付けた方が
快適に暮らせるという事実を認識させ、
製品を試してもらうきっかけにしたい
のですね。

しかし、肝心の消費者の方は、
自分が年をとったなどと認めたくない
心理が働く
せいで、なかなかその
テストを受けてくれないそうです。

そこで考えたのが、
有名な楽曲の「空耳」バージョンを
作ってしまい、それを拡散する
という
アイデア。

「THE MISHEARD VERSION」

「空耳バージョン」とでも訳すと
分かりやすそうなこの言葉。

イギリスの国民的な歌手である
リック・アストリーが、
40年近く前の大ヒット曲である
「Never gonna give you up」
歌詞の一部をあえて誤ったもの
つまりは「空耳バージョン」
差し替えてレコーディングし、
一切説明なしにSNSでリリースを
したのだとか。

それを聴いた人たちが、
「リックが変な歌詞で歌ってる?!」
「自分はずっと歌詞を間違えてた?!」

といった反応をSNS上で引き起こし、
イギリス中が大混乱したというのです。

そして、
ニュース等で取り上げられる度に、
「聞こえが悪くなると聞き間違いが増える」
「聞こえのテストを受けた方がよい」

といったメッセージがイギリス中に
拡散されるように仕込みました。

結果、Googleで「Hearing loss」(難聴)
という検索がトレンド入り
したほか、
スペックセイバーズでその
「聞こえのテスト」を受けることにした
人数が、当初目標の1220%
にも上った
とのことで、圧倒的な大成功を収めた
PRキャンペーン作品
となったのです。

人々の話題にのぼりやすい、
噂話をついしたくなる、
そんな「空耳バージョン」を作って
バズらせる
というのは、なかなかに
面白いアイデアでした。

英語になりますが、そのいきさつが
2分程度にまとまったビデオが
YouTubeにあがっていますので、
興味ある人は是非観てみてください。


己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。