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フォーキャスティングとバックキャスティング

様々な会社でマーケティングに携わってきた
が、どこでも必ず「フォーキャスティング」
業務の一部となっていた。

「フォーキャスティング」は、英語だと
「Forecasting」と書く。
「Fore」が未来を意味し、
「Cast」が投じるとかぶち込むというような
意味である。
そこから、ニュアンスとして
「未来の予測を現在の状況に基づいて行う」
となる。

より具体的には、向こう半年とか1年、
あるいは2年という一定の期間において、
商品ごとに何がどのくらいの数量売れるかを
予測する業務だ。

新商品にせよ、既存品にせよ、作ったものが
丁度タイミングよく売れていくのが望ましい。

予測より売れてしまうと、欠品を起こして
「売り逃し」が出ることになり、消費者や
小売店の方々にも迷惑をかけ、「三方よし」
ならぬ「三方わるし」となる。

逆に、予測より売れないと、今度は過剰在庫
ということで、経営指標が軒並み悪化して
しまう。
現金化しにくい、つまり流動性の低い在庫の
状態で資産を抱えていることは、
経営の機動性を低めるのだ。

この「フォーキャスティング」、先に説明
したとおり、現在の延長上に未来がある
というニュアンスが濃い。
これに対して、望むべき未来を先に思い描き、
そこから逆算して予測数字を作っていく
のを
「バックキャスティング」と呼ぶ。

今日、とあるセミナーにおいて、
10年、20年先の未来にどんな市場が
生まれて来るのかを見るのがテーマと
なっている講演と対談を拝聴した。
そこで、10年先の「バックキャスティング」
視点を持って事業戦略を構築することが重要
とのメッセージを聴いたのである。

主催はこちらの会社。

以前に、元マイクロソフト社長の
成毛眞さんが書かれたこちらの本を
紹介したことがある。

ここに書いた通り、かなり悲観的なシナリオが
描かれていて、ショッキングな内容が多い。
しかし、FPRCの方は、より明るい展望を描き、
それに基づいて明るい未来を一緒に築いて
いきましょう!という雰囲気がより強く
感じられる。

「未来コンセプトペディア」というページでは、
成毛さん同様に少々暗くならざるを得ないような
展望も紹介しつつ、同時に様々な明るい展望を
仮説として紹介している。

「ありたい未来」を考えて、それを先に
「目標」としてぶち上げてしまう。
そして、そこに至るにはどうすべきかを
逆算する「バックキャスティング」する。

「フォーキャスティング」の場合、
せいぜい向こう1~2年の予測を行うに
過ぎない場合が多い。
これに対して、「バックキャスティング」は
時間軸が長く、下手するといつまで経っても
実現しないような未来を描いてしまって、
二進も三進もいかない、なんてことが起こり
得る。

それでも、超長期の時間軸を取って
「ありたい未来」を思い描くのは、
非常に望ましい
ことだと考える。

まず、短期的視野では見落とされがちな、
会社が本来目指すべきビジョンなり
パーパスに立ち返ることが、より容易に
なる
メリットがある。

更に、パーパスなどをより明確に掲げ、
社員にシェアすることができれば、
組織の求心力が高まるだろう。

フォーキャスティングよりも
バックキャスティング。
短期目標に縛られすぎないような
仕組みづくりが大切だと肝に銘じたい。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。