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ドラッグストアと業態間の垣根

我が家の最寄り駅には、
駅ビルがない。
少し歩けば田園風景が広がる
土地柄で、オフィス人口もほぼ
無きに等しい。
それゆえ、駅ビルを建てたところで
需要がないのだろう。

そんな駅だが、JRと私鉄の乗換駅と
いうこともあり、それなりに乗降
客数は多い。
乗換通路が簡易モール化していて、
パン屋さん、総菜屋さん、スイーツ、
雑貨屋さん、立ち食い蕎麦屋、カフェ
などが軒を並べている。
そこに、マツモトキヨシの新店舗が
オープンした。

その場所は、20年以上にわたり
本屋さんが営業をしていた場所。
リアルな本屋さんはやはり苦戦を
強いられているに違いない。
Amazonや楽天などのEC事業者に
ごっそり客を奪われているだけで
なく、Kindleのように場所を
とらない読書を志向する消費者も
増えている。
そもそも、スマホの影響で、本を
読まない人の比率も右肩上がり。
残念ではあるが、これも時代の流れ
なのだろう。

マツモトキヨシの新店が入居した
場所は、私鉄の改札の目の前。
超一等地である。
通勤通学する人たちにとっては
便利この上ない場所で、それだけで
駅周辺に展開する調剤薬局や競合
ドラッグストアにとっては脅威だ。

そして、脅威を感じるのは、何も
薬局やドラッグストア業態だけでは
ない。
少なからず、近隣のスーパーなども
影響を被るに違いない。
飲料や軽食スナック類、日用雑貨に
関しては競合するからだ。

自分の主催するセミナー等で、
マーケティングの4Pのうちの
「Place」=売場、チャネルの話を
する際には必ず取り上げるのが、
このドラッグストアと他のチャネル
との競争についてである。

ドラッグストアの取り扱う品目は、
薬がメインではあるものの、
上に挙げたように飲料、食料、日用雑貨
と多岐にわたる。
薬は典型的な規制産業で、基本的に
安売りなどとは無縁であるため、
高い粗利益が確保できる。
この粗利益を活用して、他の取扱品目を
お得に販売するという手法を使ったから
こそ、ドラッグストア業態が大躍進した
のだ。


ドラッグストアの中には、ついに
生鮮食料品まで取り扱うようになり、
スーパーと何ら違わないチェーンすら
存在している。
この辺は、各チェーンの差別化戦略に
関わる話で、それぞれ様々な理由や
事情があるため、一概にいいとか悪い
といった評価はできない。
いずれにしても、業態間の垣根が
どんどん崩れている
ということは
言える。

小売はどの業態であっても常に激しい
競争圧力にさらされ続けている
という
ことを、改めて目の当たりにした気分
である。
消費者にとっては、価格が下がったり、
接客の質が向上したりするので、基本
的にはメリットを享受する立場。
初日から15%オフクーポンを発行し、
いきなり攻勢に出ているマツモトキヨシ
に対して、近隣店舗がどのように反応
するのか、注目している。




己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。