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「低価格戦略」は存在しえない

マーケティングの4Pのうちの
「Price」、要は価格に関して、
本日開催した主催のセミナーで
語らせてもらった。

価格とは、価値の裏返し
価値を感じてくださる限り、
モノやサービスに対価を払って
いただける。
価値がないと判断されれば、
二束三文どころか、売る側から
お金を払って引き取ってもらう
なんてこともあり得る。

今日紹介した話の中に、
一橋大学教授の楠木健さんが、
『ストーリーとしての競争戦略』
の中で語っていたエピソードが
ある。
それが、タイトルにもある
「低価格戦略は存在しない」
というネタ。

これは、
「低コスト戦略は存在する」
という話と対になる。

言葉遊びのように聞こえるかも
しれないが、やはり言葉の定義
というものは非常に重要。
ここで確認すべきは、
「価格」
「コスト」
「戦略」

というそれぞれの言葉の定義が
どういうものかということ。

「価格」というのは文字通り、
消費者が対価として支払うもの
である。
「コスト」は、商品やサービスを
提供するにあたってかかる費用、

原価と呼んだりもする。

そして、「戦略」の定義。
人によって様々な定義があるが、
私なりに分かりやすく表現する
ならば、

「目標」と「現状」の間に存在する「ギャップ」を、効率的に埋めるための方策

と表現できる。

企業が事業を継続していく上で、
利益を得ることは、必ず「目標」の
一部をなしているはず
だ。
利益獲得自体が「目的」になっては
ならないが、利益がないことには
事業継続ができない以上、「目標」
として組み込まれていなければ
ならない
と考えるのである。
(「目標」は、「目的」に至る経過、
中継地点=道標である。)

ということは、「戦略」が成り立つ
には、「利益」を生み出す方策に
なっている必要がある。


この点、「低価格」戦略というのは
ただ単に価格を低く引き下げると
いう意味合いになるが、価格を単に
引き下げるだけでは絶対に利益は
生み出されない。

むしろ利益を絞る、あるいは利益を
なくす話になる。
つまり、戦略たり得ないのだ。

他方、「低コスト」戦略といった
場合には、コスト部分を引き下げる
ことで、もし価格を維持できるなら
利益は着実に増える。

あるいは、利益率は維持しつつ、
コスト引き下げ分だけ価格も引き
下げ
てやれば、より多くの消費者に
買ってもらえる確率が高まり、
結果として利益額は増えるだろう。

このような話が、あの分厚い本の
中で展開されており、思わず
「これはPriceのネタになる!」
とばかり、いそいそとメモを
とったのであった。

この本で語られていることで
より重要なことは、
「一見して不合理」
に見える行動が、戦略ストーリーの
一部を成すことで、競合がマネする
ことのできない強固な強みの源泉に
なる、という趣旨の話だと、個人的
には考えている。

とはいえ、「低価格戦略」と
「低コスト戦略」のくだりも
非常に興味深い。

多少回りくどさがあるものの、
ビジネス書として異例のヒットと
言われるほど売れに売れている
理由は、読めばきっと分かるで
あろう。

楠木さんも、定義を非常に大切に
されている旨が書かれていたと
記憶している。
私などが言うよりも、断然
説得力が高い。
正しく議論をするためにも、
言葉の定義はハッキリさせて
おくべき
なのだ。



己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。