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古本買取の市場

我が家には、私が使っている本棚が
一つある。
さほど大きくないため、目一杯
本を詰め込んで常に満杯。
最近はKindleで読む本も多く、
モノとしての本が増える速度は
格段に遅くなったが、それでも
本棚に入りきらないものが
どうしても出て来る。

死ぬときに、あの世へモノを持って
いけない以上、極力「断捨離」に
励むべし。
そんな考えもあり、本棚に入らない
分については処分し続けるという
マイルール
を課している。

以前は、ブックオフに自らの手で
持ち込んでいた。
しかしながら、最近は宅配買取
一択である。
ブックオフオンラインに登録し、
買取日を指定すれば、その日に
荷物を取りに来てくれる。
しかも集荷は無料。

速やかに査定され、その金額に
異論がなければ一週間後には
もう入金されている。
非常に効率的で、洗練された
サービスだと言ってよいのでは
ないだろうか。

宅配買取も、最初はこんなに
便利ではなかった気がする。
あまり記憶が定かではないが、
集荷にお金を取られたり、
集荷タイミングの設定がかなり
手間だったり、とにかく初期の
印象は決して良くはなかった。

しかし、お客様の不満を、丁寧に
一つひとつ潰していったのだろう、
サービスがどんどん磨かれて、
洗練度が上がっていったのだ。

私自身は、ブックオフに一度登録
してしまって以来、他の買取業者
に浮気することなく、サービス
内容の比較なども考えたことが
なかった。

しかし、どこもサービス内容が
同じように洗練されてくると、
差別化できるポイントが「価格」
に絞られてきてしまう。
そうすると、こういう価格比較
サイトが登場してきて、
サービス内容の違いを丸裸に
されて比較されるのだ。
何とも厳しい時代である。

ランキングを見て、ブックオフが
全然ランクインしていない
ことに
複雑な感情を抱く。
自分は大分損をしていたのでは
ないか?
とはいえ、いちいちどこの買取が
高いかなぁ、などと比較検討する
自分の時間が常に節約できていた

ことを考えると、一概に損だった
とも言い切れない。

ブックオフの買取価格がそれほど
高くないのは、恐らくは、彼らが
リアル店舗を多く抱えているから
であろう。
それなりに大きな店舗を、
全国津々浦々に展開している
以上、その店舗維持にかかる費用
というのは馬鹿にならない。

それに対して、買取を専業で行う
事業者は、家賃の高い場所に店を
構える必要がない。
安い場所に倉庫を借りさえすれば
本の取り扱いは可能なはずで、
運営コストで有利になる分を
買取価格の査定アップに回せる
のではないかと思われるのだ。

こうしてみると、古本の買取市場
でも、自分たちのサービスをどう
差別化するか、苦心しながら営業
している様子が目に浮かぶ。

「差別化」には3つの軸がある
というのはマーケターの大先輩で
ある佐藤義典さんの受け売りだが、

手軽軸:手軽さ=早い、安い、便利、等の価値で差別化
品質軸:品質の良さ、高さで差別化
密着軸:お客様に「寄り添う」力で差別化

という方向性のうちどれか一つで
秀でることで、お客様に選んで
もらいやすくなる、という考え方
である。

本の買取で考えると、先程の比較
サイトで上位に来るような、
買取価格の高さで他から抜きん出る
ことのできる事業者は、「品質軸」
で勝負している
と言えるだろう。
本の買取価格が高いということは、
買取サービスの品質が高いと言える
からである。

ブックオフオンラインの場合は、
やはり「手軽軸」で勝負している
と言えるだろうか。
圧倒的な知名度で、本の買取を
検討する人がまず思い起こすのは
ブックオフであることは想像に
難くない。
それをテコに、一度使うと二度目
からのハードルがかなり下がる
手間いらずなサービスを構築
して
いると言える。

本の買取には極力時間と手間を
かけたくない、私のような場合
には、ブックオフが合っている。
他方で、時間に余裕があって、
少しでも小遣い稼ぎ出来た方が
良いという人の場合は、先の
ランキング上位の事業者を利用
することになるのだろう。

どんな嗜好を持ったお客様に
サービスを提供するか、
その場合の差別化というのは
どう考えるべきなのか、
そういったことを考える上で
分かりやすい事例であろうと
思われる。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。