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高級チョコレートのポートフォリオ戦略

ゴディバジャパンを傘下に持つ
VM2ホールディングスが、
ピエール・マルコリーニ・グループ
買収したとのニュースが、
つい半月ほど前に流れた。

いずれも高級チョコレートブランドで
あることに違いはないが、
両者のブランド戦略にはかなり
隔たりがある
ように感じていたので、
少なからず驚いてしまった。

ピエール・マルコリーニは、
かなり職人気質のイメージ
クオリティにとことんこだわり、
店舗数も無理に広げずに、
「高級の中の高級」という立ち位置
崩さぬように慎重にやってきたと
言えそうだ。

それに対して、ゴディバは近年、
かなりマス寄りの立ち位置での
マーケティング
が目立つ。
このnoteでも何度も取り上げたことが
あるが、高級なチョコレートという
イメージをテコに、積極果敢に
拡販を進めている
のだ。

ゴディバの戦略転換は、
ジュローム・シュシャン社長
リーダーシップによるもの。
氏には、いくつか著書もあり、
かなり積極的にゴディバを変革に
導いたと聞いている。

少なくとも業績がかなり上がったのは
間違いないのだが、ブランドの価値が
かなり損なわれたと危惧する向きも
多く、中長期的な「ゴディバ離れ」が
懸念されるところ。

しかし、今回のマルコリーニ買収の
ニュースを聞いて、シュシャン氏の
深謀遠慮に舌を巻いた。
ただただゴディバのことだけを考えて
ビジネスをしていたわけではなく、
もっとダイナミックな視点で、
諸々のことを進めていたことが
分かったからだ。

持株会社の下で、高級チョコレートと
いう共通点を持ちながらも、
立ち位置の異なる2つのブランドを
ポートフォリオに収めた。

これによって、生産や物流といった面で
シナジーを図りつつ、異なる顧客層への
浸透を図ることができる。

マルコリーニのファンからは、
「ゴディバ化」を懸念する声
Twitter界隈などで騒がれたようだが、
シュシャン氏は「DNAを残す」と明言
しており、あくまでもそれぞれが独立
したブランドとして扱われる見込み。

それぞれのポジショニングを崩さず、
裏ではコスト削減なども進めて
ブランドの体力を高める。
したたかな経営を進める様子に、
大いなる刺激と学びをもらった。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。